第328話「拗ね倉さん」
「お邪魔しまーす……」
(今日は生徒会もバイトも何も予定の無い日。ということで、久々に朝倉さんの家に来たわけだが……)
「あらあら、安藤くん。いらっしゃい♪ ウフフ、久しぶりね♪」
「えっと……最近はバイトで忙しくてなかなか来れなくてすみません」
「あらあら、娘から事情は聞いているから、別に謝らなくていいのよ。ウフフ♪」
「あ、ありがとうございます……」
(やっぱり、朝倉さんのお母さんは美人だし、優しいなぁ……。最近は何かとすぐに怒り出す女子としか会話してなかったせいかやけに癒されるぜ……)
「それで……いるのはお母さんだけですか?」
(俺は一度家に帰って荷物を置いてから来たから、朝倉さんは先に帰っているはずなんだけど……姿が見当たらないよな?)
「それなんだけど……ごめんなさいね? 安藤くんが中々家に来れなかった事情はちゃんと分かっているはずなんだけど、変に拗ねちゃって部屋に閉じこもっているみたいなのよ」
「あぁ、そうですか……。えっと、声をかけて来てもいいですかね?」
「お願いできるかしら? 多分、拗ねているのもただの構ってアピールだと思うから、安藤くんが声をかけてくれればいつも通りになると思うのよね」
「分かりました。じゃあ、お部屋の方失礼しますね?」
「ええ、どうぞ。上がって頂戴。ウフフ♪」
「失礼しまーす……」
(さーて、久々に来たけど……確かこの部屋だよな)
コンコン
「えっと……開けてもいいですか?」
「…………」 ムスッ!
(うわぁ……。返事も帰ってこないってことはこれは相当拗ねているよなぁ……)
「あらあら……久々に安藤くんが来てくれたって言うのに返事もしないなんて……ごめんなさいね?」
「謝らないでください。悪いのは……ほったらかしにしちゃった俺の方なんで……」
(しかし、この天岩戸状態のドアをどうやって開けたものか……)
コンコン
「えー、つまらない物ですが……しばらく来れなかったお詫びに、有楽町マルイの【MF文庫J後夜祭 ㏌ 天空の商人街】で販売していた。
【何故か学校一の美少女が休み時間の度に、ぼっちの俺に話しかけて来るんだが? ミニ缶バッジ付 ヒロインクランチボックス】(*現在は販売終了しております)
を買ってまいりましたので、どうぞ収めください……!」
「…………」 ギギィ……
(お! 扉が開いた――)
「…………」 サッ! スカ! バタン!
「あ、ちょっ!」
(くっ! 缶バッジ付のお菓子だけ取ってドアを閉められてしまったかぁ……。よし、こうなったら――)
「あのぉ……すみませんが、今日ってお昼はもう食べましたか?」
「お昼? そうねぇ~、今日は安藤くんが来るって聞いていたから一緒に食べようと思ってまだ用意していないのよ」
「じゃあ……久しぶりにお邪魔してこんなお願いをするのもあれなんですが……良ければ今日のお昼は俺に作らせていただいてもいいですか?」
「あらあら、安藤くんがお昼ご飯を作ってくれるの? ウフフ、大歓迎よ♪」
「――ッ!?」 ガタガタッ!
(あらあら……安藤くん、どうやら効果があったみたいね?) ← アイコンタクトです
(はい……あと、もう一押しですね!) ← アイコンタクトです
「あ! でも、誰かさんが部屋から出てこないってことは……一体何人分作ればいいんですかねぇ~?」 チラ?
「あらあら……せっかく、安藤くんが家でお昼を作ってくれるって言うのに、このままだと誰かさんは食べれなくなっちゃうわね……? ウフフ♪」
「でも、部屋から出てこない人の分を作ってももったいないですよね? じゃあ、このまま――」
バタン! ← ドアが開く音
((――ッ!? ドアが開いた!!))
「…………ッ!?」
(ま、待ってぇえええええええええええええ! 拗ねて閉じこもってたのは謝るから……パ、パパも安藤くんの作るお昼ご飯を食べたいよぉおおおおおおおおおおおおおお!)
「あらあら……パパったら、やっと出て来たのね? ウフフ♪」
「冗談ですよ。ちゃんとお父さんの分も作りますから」
「…………ッ!?」 ギ、ギロッ!
(ほ、本当! 安藤くん、嘘だったらパパ暴れちゃうからね!?)
「ちょっとぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! 何で彼女の私がほったらかしなのよぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
スカーン……
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとうね。委員長よ♪
皆は『何故かの』の缶バッジは手に入れてくれたかしら?
さーて、次回の『何故かの』は♪」
次回「フリーパス」 よろしくお願いします!
「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ。
ペタペタ・ペタりん♪ じゃん・けん・ポン♪」
【グー】
「クフフ……皆のコメント、評価、待ってるわね♪」
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