第321話「ダミ声」
「姉ヶ崎妹、大丈夫か?」
「センパイ何でいるんですか!? 朝倉センパイと帰ったんじゃ……」
「詳しい話は後でな……」
(とりあえず、今はこの男の相手だな)
「俺の後輩にナンパしないでくれます?」
「オー、ソレハ勘違いデース! ワタシ、道ヲ聞いたダケデース」
「そうか。だったら……」
(なんか、コイツの話し方ボイさんやチンさんと比べてエセっぽいな……)
「近くの交番からお巡りさんを呼んでおいたから、その人に聞けば大丈夫だぜ?」
「安藤くーん! お巡りさんを呼んできたわよ~!」
「う゛ご゛く゛な゛! 事件は、こ゛こ゛か゛!?」
(なんか、めちゃくちゃダミ声のお巡りさんが来たな……)
「この子から『女の子が男に絡まれている』と報告があった! 市゛民゛の゛平゛和゛は゛こ゛の゛俺゛朝加巡査が゛守゛る゛!!」
「あ、すみません。なんか、この外国人の人が道を聞いていただけらしくて……だから、お巡りさん。この外国人の人に道を教えてあげてくれませんか? それはもう『じっくり』と♪」
「何゛そ゛れ゛は゛本゛当゛か゛!?」
「ワッ!? み、ミーは……」
「あ、はい! お巡りさん、センパイの言う通りです♪ アタシ達じゃ、言葉が分からないのでお願いしていいですかねぇ~
「分゛か゛っ゛た゛! 迷子を助けるのも警察の役目だ! さ゛あ゛! 君も俺が来た゛からには、安゛心゛だ゛ぞ゛! まずは交番で何処に行きたいのか聞こうじゃないか!」
「チョ、離セ……ま、マッテクダサーイ!?」
「…………」
(ふぅ、なんとかお巡りさんに引き取ってもらうことには成功したか……)
「姉ヶ崎さんも大丈夫だった!?」
「あ、はい……。朝倉センパイ、お巡りさんを呼んでくれてありがとうございます……」
「もう、安藤くんがいきなり『姉ヶ崎さんがタチの悪い男に狙われているかもしれない』なんていうからビックリしたのよ?」
「えっ? センパイ、どういうことなんですか……?」
「いやぁ~、何と言うか……さっき、お前をナンパしてた男……見覚えあるだろ?」
「確か、センパイが最初にバイトした時に追い出した人ですよね?」
「ああ、あの時はちゃんとは聞き取れなかったんだけど……どうにも言ってた内容が姉ヶ崎妹にちょっかいかけようとしている感じだったんだよな」
「え! じゃあ、それで追い出していたんですか!?」
(つまり、あの時『ハウス』って言って追い返したのはアタシを守るために――)
「いや『ハウス』って言ったのは、純粋に初めての接客でムカついてたからだ」
「何ですかそれ……」
(ちょっと、期待したアタシがバカみたいじゃないですかぁ~!)
(まぁ、聞き取れた内容から『多分、こいつは追い出していい客だな』って確信はあったけどな……)
「まぁ、それだけなら気にしなかったんだけど……気づかなかったか? あの外国人の男、ちょくちょく店の前を意味もなく通っていたりしたんだぞ」
「え……ちょ、何でそんな大事なこと教えてくれなかったんですかぁ~!」
「いや、教えてもただ怖がらすだけだろ?」
(それに、本当にたまたま店の前を通っていた可能性もあるからなぁ……。姉ヶ崎にちょっかい出されない限り、俺の気にしすぎって可能性も否定できなかったんだよ)
「だから、帰り道は気を付けろって言っただろ?」
「あ! じゃあ、センパイがアタシを送ってくれていたのも……」
「まぁ、何かあったらヤバイと思ったからな……」
「私もそのことを安藤くんに聞いた時は『まさか!』って思ったわよ。でも、気になって姉ヶ崎さんの所に戻ったら、姉ヶ崎さんが絡まれているじゃない?」
「だから、朝倉さんには近くの交番に助けを呼んでもらったんだよ」
(ぶっちゃけ、俺みたいな『ぼっち』が助けに行っても余裕で返り討ちに会うのは目に見えているからあらかじめ朝倉さんにお巡りさんを呼んでもらったのさ! そうすれば、俺は時間を稼げばいいだけだしな!)
「まぁ、何だ? 姉ヶ崎妹……大丈夫か? 怖くなかったか?」
「せ、センパイてば、何言ってるんですか! あんなのただのナンパですしぃ~?
別に……こ、怖”く”な”ん”か”……」
(あ、あれ? なんか、安心したら……声が急に震えて……)
「う”ぅ~……セ”ン”パ”イ”の”バ”ーカ”! 来るのが遅すぎですよぉ~!」
「ちょ! おい……いきなり、泣き出しながら抱き着くなよ……」
(まったく、酷いダミ声だし服に涙とか鼻水とかくっつくだろ……)
「はぁ……よしよし、怖かったな。姉ヶ崎妹……」
(まるで、本当に『妹』がもう一人増えたみたいだよ……。まぁ、背中をポンポン叩くくらいならセクハラにはならないだろ)
「ウフフ……安藤くん? ちょっと、スキンシップが過激じゃないかしら♪」
「いででで!? 朝倉さん!? ちょっと、まじめな場面だから背中の肉をつまむの止めてくれるかな!?」
(…………
「エーンセンパイーコワナカッタデスヨー」 ← 棒読み
「てめぇコラ、姉ヶ崎妹! それ絶対に嘘なきだろ!? すぐに離れろ!」
「ウフフ……安藤くん♪」 ギュゥ~ッ! ← 安藤くんの肉をねじる音
「いででえぇええ!? 朝倉さん、ストップ! ストォーップ!」
「エーン、エーン」 ← 棒読み
(もう少しだけ……こうしてもいいですよね
「ウフフ……♪」 ギュゥ~ッ! ← 安藤くんの肉をねじる音
「いででえぇーーええ!?」
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとうね。委員長よ♪
ついに、発売した『何故かの』3巻皆はもう買ってくれたかしら? なんか、3巻は売れないと思われていたのか全体的に入荷数が少ないみたいで、池袋や秋葉原でも土日の時点で売り切れの書店があるみたいだから、まだ買ってない人はなるべく早く買ってね♪
さーて、次回の『何故かの』は?」
次回「愛人バリューセット」 よろしくお願いします!
「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ。
ペタペタ・ペタりん♪ じゃん・けん・ポン♪」
【グー】
「クフフ……皆のコメント、評価、待ってるわね♪」
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