第320話「ハウス」


(最初、見た時はなんて特徴のないセンパイだろうと思った)


『生徒会長選挙に立候補してまーす。安藤でーす。よろしくお願いしまーす』


(見るからにやる気もなさそうだし、ぶっちゃけこの人が当選するのは無理だと思った)


『姉ヶ崎さんって、あの生徒会長の妹さんなんだよね?』

『ねぇ、姉ヶ崎さんってどんな人なの? あ! ゴメン、姉ヶ崎さんってお姉さんのことね?』

『姉ヶ崎さんって、お姉さんがあの生徒会長なんでしょ? いいな~』


(姉が成績優秀な生徒会長だというせいで回りから姉と自分を比べられることが嫌だったアタシにとって、姉から『生徒会長』という肩書が消えることは正直なところ嬉しかったし、早く生徒会長でなくなって欲しいとも思っていた)


『マァァアアアアアアアアアイ・エンジュェェエエル~シスタァアアアアアー! このわたくしが生徒会長を止めても、わたくしの可愛い可愛い妹である貴方が来年の生徒会になれるように次期生徒会長はちゃんと手配しておきますから安心してくださいまし!』

『うん、お姉ちゃん。マジウザイ……』

『とりあえず、今年は朝倉さんを生徒会長に添えて、貴方は会計の役職に入るのですわ! そうすれば、来年の生徒会選挙で朝倉さんから推薦をもらい可愛い可愛いマイスィートエンジェルである貴方が生徒会長として――』

『はぁ? お姉ちゃん、何言ってんの? キモイ、ウザい。……てか、アタシ生徒会なんかに入るつもりないから。マジであり得ないし……』

『どうしてですのぉー!?』


(だからこそ、最初は生徒会なんかに入るつもりもなかった。お姉ちゃんは来年アタシを生徒会長にするためにいろいろ動いていたみたいだけど、アタシからしたらお姉ちゃんが生徒会長じゃなくなったことで、ようやく姉と比べられる物が一つ消えたって言うのに、そのアタシが生徒会なんかに入ったら、また比べられるに決まっている)


『姉ヶ崎さんって、意外とテストの点数いいよね♪ やっぱり、お姉ちゃんが生徒会長だからかな?』

『姉ヶ崎さん、勉強だけじゃなくて運動もできるんだ! やっぱり、生徒会長の妹なだけあるよね!』


(お姉ちゃんは凄い。勉強も学年トップだし、運動もできる。そして、何より人の上に立つカリスマを持っていてなんでも簡単にできる人だ。でも、アタシは違う。そんなお姉ちゃんを身近で見て来たから『姉もできるなら妹もできて当然』というプレシャーに耐えて生きてきた。

 勉強だって、いつも陰で必死に努力している。この学校に入ったのだってお姉ちゃんと比べられるのが嫌だったからだ。もし、お姉ちゃんが受かった高校に落ちるようなことがあれば『姉はできたのに妹はダメだ』というレッテルを張られる。だから、必死に勉強して合格した。

 入った後もテストがあるたびに家で勉強して学年10位以内には入るようにしている。そう、必死に勉強した成績が学年10位以内をキープするのがやっと……お姉ちゃんは違う。お姉ちゃんは生徒会もやりながら、家でも勉強するどころか、妹であるアタシの夜食を作ったりアタシの勉強を見たりとアタシに時間を使うのだ。それでいて、お姉ちゃんは学年トップの成績を平然とたたき出してしまう。

 アタシは努力してお姉ちゃんに追いつこうとしているのに、全然追いつけなくて……それでいて周りはアタシの努力を知らずに『生徒会長の妹だから』ですべてを片付けてしまう)


『俺……お前、嫌いだわ』

『先輩、運が良ければまた会いましょう♪』

『ごめんこうむります……』


(だからこそ、アタシを『生徒会長の妹』だと知らないセンパイとの出会いは衝撃だった。この生徒会長の妹アタシに『嫌い』だと言える人の存在が……それはほんの小さな興味だったけど――)


『俺に賭けろ!』


(あの演説を聞いてアタシは思ったんだ……。この人の生徒会になら入ってもいいかもしれないって……そして、センパイはアタシに言ってくれた)


『誰よりもお前を姉と比べているのはお前自身だよ……』


(あの言葉にアタシは心から救われた。このセンパイの生徒会に入って本当によかったって……)


「まぁ、悔やむべきはアタシがもう少し早く生まれていればよかったみたいなぁ~キャピ?


(流石に『一年』のハンデはデカイですよねぇ~……)


「センパイ……」

「Hey, how are you doing?」

「ひゃ!? え、誰……」


(うわっ! いきなり、後ろから声かけられたからビックリしたんですけどぉ……てか、この外国人……あ、そうだ! この前、センパイが接客で追い出したお客さん!)


「Where are you going?」

「え、えっと……」


(なんか、発音が早くてうまく聞き取れないけど……え、もしかしてこれナンパされてる?)


「す、すみません……。アタシ、英語分からないんで……」


(とりあえず、ヤバそうだし言葉通じない振りして逃げよう……)


「ソーリー、ワタシ、少しダケ日本語デキマース! ゴメンナサーイ。ワタシ、迷子デース。道ヲ教えてクダサーイ」

「え、道……? それなら……」

「サンキュー! では、行きマショウ!」

「え、ちょ! 何で腕つかむんですか!?」


(てか、迷子じゃないの!? ヤバい! これ逃げた方が――)


「その子、俺の後輩なんで手離してくれる……?」

「ハァ?」

「え」


(この声ってもしかして……)


「なぁ……『ハウス』って言ったよな?」

「せ、センパイ!?」


(って……何でここにいるんですか!?)





【次回予告】


「皆、いつも応援してくれてありがとうね。委員長よ♪

 さて、今日は皆にお知らせがあるわ。そのお知らせとは……


 クフフ♪ 『何故かの』3巻の店舗特典情報よ! しかも、今回の店舗特典は『何故かの』ヒロインの水着イラストが載っている超豪華な使用になっているわ。

 購入する店舗によって、ヒロインの水着イラストが違うから注意してね?

 

 その店舗特典の内容はこれよ!」


【メロンブックス】

桃井さんメインの書き下ろしSSリーフレット(朝倉さんと桃井さんの水着イラスト)


【ゲーマーズ】

委員長メインの書き下ろし4Pリーフレット(委員長と妹ちゃんの水着イラスト)


【とらのあな】

妹ちゃんメインの書き下ろしSSペーパー(朝倉さんと妹ちゃんの水着イラスト)


【アニメイト】

朝倉さん、桃井さん、委員長、妹ちゃん、4人が写った水着イラストカード

(書き下ろしSSはありません)



「以上の4つよ! アニメイトだけSSじゃなくてイラストカードだけだから気を付けてね? アニメイトで4人の水着イラストを拝むもよし、各店舗で押しのヒロインの水着イラストが描かれた書き下ろしSSを手に入れるもよし! 

 クフフ……発売日が待ち遠しいわね♪


 さーて、次回の『何故かの』は?」


次回「『何故かの』3巻 7月25日発売」 よろしくお願いします!


「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ。

 ペタペタ・ペタりん♪  じゃん・けん・ポン♪」 

































【パー】


「クフフ……皆のコメント、評価、待ってるわね♪」

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