第319話「気遣い」
「朝倉さん。一応、俺バイト中だからこういうのはお店や他のお客さんにも迷惑がかかるから止めた方が良いと思うんだ」
「安藤くん、ごめんなさい……」
(むぅ~、安藤くんが正論と言う名の武器を振りかざしてくるわ……)
「うわぁ~、朝倉センパイが叱られているとかメッチャレアな光景なんですけどぉ~」
(二人って、生徒会ではいつも無駄にいろんな意味で甘々だから、こういう時にセンパイがちゃんと叱るのって意外ですよねぇ~)
「もう、仕方ないから……朝倉さん、一緒に帰ろうか?」
「え、安藤くん。いいの?」
「当たり前だよ! 可愛い彼女を一人で家に帰らせるほど俺もバカじゃないからね♪」
「あ、安藤きゅん! うん♪ 私一緒にかえりゅ!」
「じゃあ、朝倉さん。今からバイト上がって帰る準備するからちょっと待ってて――」
「おい、ちょっと待てセンパイ!」
「おぉう……何だよ。姉ヶ崎妹」
「何だよ? じゃないですよ! 何サラッと帰ろうとしているんですか! まだバイトに来たばっかりじゃないですか!」
「だけどさ、姉ヶ崎妹……。可愛い彼女と可愛いくない後輩、どっちかを選ぶとしたら『可愛い彼女』を選ぶのが男として正しくないか?」
「ぶっ飛ばしますよ!? それ『先輩』としては失格ですから! てか、センパイが帰っちゃったら、ホールがアタシが一人になるんですからね?」
「分かった。分かったよ……」
(まったく、姉ヶ崎妹も冗談が通じないなぁ~。こんなの八割冗談に決まっているだろ)
「と言うわけだから……朝倉さん、ゴメンね? とりあえず、俺のバイトが終わるまでこの『フルーリーのスカスカオラオ』でも食べてて客席で静かに待っていてくれるかな?」
「わぁあ! フルーリーの新作だわ! 私、これ大好きなのよね♪」
「あと、ドリンクが欲しかったら言ってね? だから大人しく待っててくれるかな?」
「うん! 安藤くん、私大人しくして待ってるわ♪」
(安藤きゅんのアルバイトが終わるまであと三時間くらいだし、これならスマホでなろうの作品一つくらい読んでいればあっという間ね♪)
「はぁ~、結局センパイは甘々なんですからね…………」
(その甘やかしを少しは『可愛い後輩』にも分けてくれてもいいんじゃないですかぁ~?)
「へい、アンドウさん」
「はい、ボイさん何ですか?」
「浮気ハ、ヨクナイヨ?」
「アンドウ! オマエ! マルアライネ!」
「浮気……?」
(何のことだろう……。ああ、もしかして、姉ヶ崎妹が朝倉さんを俺の彼女って説明したのか? だから、朝倉さんみたいな彼女がいるんだから浮気するなよ的なことを言われているのか……)
「大丈夫です! 俺は浮気なんて決してしませんよ。何故なら……『本気』ですから!」
「ツマリ……アネガサキさんガ言ってたママヨ……」
「アルアゲ! マジ本気ネ!」
「「アンビリバボー……」」
「……?」
(姉ヶ崎妹の言う通り? 何だ。姉ヶ崎妹も、俺が朝倉さん一筋だって説明してくれてたんだな)
「もう、センパイ! ボイさん達とおしゃべりに夢中になってちゃダメですよぉ~
「へいへい、戻りますよぉ……」
(あぁ~、早くバイト終わらないかなぁ……)
「アネガサキさん、アンドウさん、オツカレヨ」
「二人トモ、オツカレ! マルアゲネ!」
「「お疲れ様です~」」
(よし、今日のバイトが終わったぞ!)
「これで、やっと朝倉さんと帰れるぜ」
「センパイてば、バイト先でまで朝倉センパイと惚気るの止めてくださいよぉ~」
「別に、俺がバイト先で朝倉さんと惚気ても、姉ヶ崎妹に迷惑かけるだけならいいだろ?」
「斬新な開き直り方しないでくれますかね!?」
(それに、センパイが他の女の人とバイト先でイチャつくとセンパイの評判も落ちちゃうんですからねぇ~?)
「朝倉さん、お待たせ。待ったかな?」
「安藤きゅん! いいえ、全然待ってないわよ。スマホで『転生したらペンは剣より強しでした』を読んでいたからあっという間だったわ♪」
「確か、転生特典で『文豪スキル(物理)』を手に入れた主人公が、絶対に折れない筆ペンで文豪(物理)の限りをつくす異世界文豪バトルファンタジーだっけ? あれ面白いよね」
(まぁ、ウチのバイト先でセンパイが女たらしで噂されているのは、アタシのせいなんですけどねぇ~
「もう、センパイ達だけでイチャつかないでくださいよぉ~! それで、なんの話をしているんですかぁ~
「別に、朝倉さんが俺を待っている間に読んでいた小説の話をしていただけだよ」
「そう言えば姉ヶ崎さんも同じアルバイト先だったわよね♪ 姉ヶ崎さん、安藤くんはちゃんとアルバイトできているかしら?」
「そうですねぇ~……(朝倉センパイみたいな)一部のイレギュラーなお客さんがいなければ、まぁまぁできてますかね
「おい、姉ヶ崎妹。その一部の客にはちゃんとできてないみたいな言い方は止めろよ」
「いやいや、実際に変なお客さん(朝倉センパイ含む)が来た時に限って、センパイって暴走するじゃないですかぁ~? この前も英語しか話せないお客さんが来たら『ハウス』とか言いますし……」
「でも、あれ以降はちゃんとしているだろ?」
「まぁ、そうですけどぉ……」
(確かに『アタシの迷惑にもなる』って言った後からは特に変なことも……あれ? もしかしてセンパイってばアタシに気を使ってちゃんとしてくれて……いや、でも今日の朝倉センパイの来店でまた暴走しましたし気のせいですよねぇ~)
「じゃあ、センパイ。アタシのことは送ってくれなくていいので、今日は朝倉センパイと一緒に帰ってあげてください
「おい、姉ヶ崎妹。そんなこと言って大丈夫かよ。周りは、もう結構暗いぞ?」
「あれれぇ~? センパイてば、そんなこと言って……本当は朝倉センパイより、アタシと帰りたいとかですかぁ~
「ちょ、おま! 変なこと――」
「ウフフ……安・藤くぅ~ん♪」
「朝倉さん、待って! 違う!」
「と言うわけで、センパイ♪ お先に失礼しますねぇ~
(まぁ、センパイの気遣いは気のせいかもしれないけど……ここは、後輩らしくセンパイ達の邪魔はしないであげますか♪)
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとうね。委員長よ♪
今回は皆にお知らせがあるわよ♪ なんと7月28日ベルサール秋葉原で開かれるMF文庫J夏の学園祭で『何故かの』のグッズが発売されるわ!
まぁ、と言っても出るのは(一応)メインヒロインである朝倉さんの缶バッジとアクリルスタンドの二種類なんだけどね?
でも、この缶バッジとアクリルスタンドは西沢5㍉先生が描き下ろしてくれた夏の学園祭限定のイラストよ!
他にも、夏の学園祭では様々なイベントやMF文庫J作品のグッズが発売されるから、是非遊びに来てね?
因みに、わたしのオススメは夏の学園祭会場で発売される『パンフレット』よ♪ このパンフレットにはMF文庫J作品の描き下ろしイラストと書き下ろしSSが沢山詰まっているのよ。もちろん『何故かの』のSSも載っているわ。クフフ……♪
詳しい情報は下の夏の学園祭HPから確認してね?
【夏の学園祭HP】
http://mfbunkoj-fes.com/
そして、夏の学園祭を記念してMF文庫Jのフェアも行われるわよ♪
このフェアでは対象のMF文庫J作品を買うとフェア用に書き下ろされたMF文庫Jヒロインの限定描き下ろしステータスカードがもらえるキャンペーンよ♪
なんと(何を血迷ったのか)このキャンペーンのヒロインにも『何故かの』の朝倉さんが限定描き下ろしステータスカードとして登場しているから、良ければゲットしてね♪
限定描き下ろしステータスカード対象書籍
『自称Fランクのお兄さまがゲームで評価される学園の頂点に君臨するそうですよ?』①〜⑥
『教え子に脅迫されるのは犯罪ですか?』①〜④
『スコップ無双 「スコップ波動砲!」( `・ω・´)♂〓〓〓〓★(゜Д ゜ ;;;).:∴ドゴォォ』①〜②
『何故か学校一の美少女が休み時間の度に、ぼっちの俺に話しかけてくるんだが?』①〜②
『僕のカノジョ先生』①〜③
『宮本サクラが可愛いだけの小説。』①
『神童勇者とメイドおねえさん』①
『ようこそ実力至上主義の教室へ』①
詳しい情報は下のHPからチェックしてね?
【MF文庫J夏の学園祭フェア】
https://mfbunkoj.jp/special/fair-2019summer/
ふぅ、とまぁ……宣伝はこんなものかしらね? まったく、わたしってば宣伝にだけいいように使われてないかしら……?
そろそろ、MF文庫Jの公式宣伝キャラを名乗ってもいい気がするわ。
クフフ……報酬は『何故かの』の次の表紙で構わないわよ♪
さーて、次回の『何故かの』は?」
次回「ハウス」 よろしくお願いします!
「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ。
ペタペタ・ペタりん♪ じゃん・けん・ポン♪」
【グー】
「クフフ……皆のコメント、評価、待ってるわね♪」
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