第318話「ガールフレンド(笑)」


 テロリ~♪ テロリ~♪ テロリ~♪ ← ポテトが上がった音


(ふぅ、なんとかバイトの時間前にモックに着いたぞ……。今日もキッチンは、ボイさんとチンさんか……)


「オウ! アンドウさん~、オハヨウヨ」

「ボイさん、おはようございます」

「アンドウ! オハヨ! マルアゲヨ!」

「えっと……チンさんも、おはようございます」


(しかし、何で職場の挨拶って、昼でも夜でも『おはようございます』なんだろう……。あれか? お前ら社畜に『おやすみ』はねぇ! とか言う日本の風習なのかな?)


「センパイ、おはようございます♪ もう、出勤時間ギリギリですよぉ~キャピ!

「別に、遅刻してないんだからいいだろ……」

「ここではバイト出勤の十分前には来るのが常識なんですよぉ~?」

「だけど、時給は十五分ごとの計算だったよな? なら、その十分完全にタダ働きじゃねぇか……。しかも、そのわりにバイトが長引きそうなら先にタイムカードだけは切れって言うしな……」

「まぁ、バイトなんて所詮はそんなものですよねぇ~キャピ! そう言えば、休憩室見たらセンパイのシフトが増えてましたけど……センパイバイトの日数増やすんですかぁ~?」

「ああ……ちょっと、年末に朝倉さんと別に出かける予定が増えてな……」

「ほへぇ~、お熱いことでいいですねぇ~? と言うか……朝倉センパイのプレゼントのためにアルバイトしているのに、また出費の予定増やして何してるんですか……」

「だから、こうしてバイトを増やしているんだろ?」

「でも、そんなにバイトばっかり増やしていると……心配した朝倉センパイが様子を見に来たりしてぇ~キャピ?

「まさか、いくら朝倉さんでもそれはないだろ?」

「アハハ、ですよねぇ~♪」


 スカーン♪ ← お客さんが来店した音


(ん? 誰かお客さんが来たみたいですねぇ~)

(おっと、客が来たか。仕事しないとな……)


「「いらっしゃいま――」」


「クンクン……クンクン!」 キョロキョロ


((なんか、帽子にマスク、サングラスでロングコートを着た変質者っぽい人来たー!?))


「てか、センパイ……あれって……」

「言うな……分かっているから……」


(変装しているけど、あれ絶対に朝倉さんだよなぁ……)


「あ、安藤くんは何処かしら……ハッ!」


(ちょっと、センパイ! こっちに来ましたよ!) ← おなじみのアイコンタクトです


(姉ヶ崎妹、接客は任せた! ほら、俺はポテト揚げなきゃいけないから……) ← おなじみのアイコンタクトです


(センパイ!? 逃げないでくださいよぉ~!) ← おなじみのアイコンタクトです


「こ、コホン! 注文いいかしら?」 ← 朝倉さんの裏声

「あ、はい……いらっしゃいませぇ~。ご注文をどうぞ♪」


(何ですか。この茶番は……朝倉センパイも一体何をしに――)


「身長170cmくらい、体重50キロくらい、血液型はBの肌は色白で体格やせ型の高校二年くらいの男の子を一人出してくれるかしら?」

「あ……(察し)」


(つまり、センパイが目当てなんですねぇ~)


「少々お待ちください……」


(センパイ、ご指名ですよ……) ← おなじみのアイコンタクトです


(え、この店っていつからホストクラブになったの……?) ← おなじみのアイコンタクトです


「いいから、早く行ってください! ポテトはアタシがやっておきますから!」

「ちょ、おい!?」


(うわぁ……。変装? しているとはいえ彼女がお客さんとかやりづらいんだけど……)


「えっと……ご注文はお決まりでしょうか?」

「コホン! じゃあ~、すす、ス――……マイルを一つもらおうかしら!?」

「申し訳ございません。当店ではマイレージポイントは販売しておりません」

「そうじゃなくて! とっておきのスマイルよ! とっておきのスマイルLサイズのセットを持ち帰りしたいの!」

「…………」


(言っていることがどっかのナンパと一緒なんだよなぁ……)


「てか、変装しているけど朝倉さんだよね? 何やっているの……?」

「ほにゃあ!? ななな、何を言っているのかしら? 私は朝倉なんて人ではにゃにゃ、にゃいわよ!?」

「じゃあ、もうそれただの不審者だよ……えっと、朝倉さんだよね?」


(どう見てもサングラスは朝倉さんのお父さんの物だろうしマスクと帽子とロングコートなんて雑な変装してもその声や容姿からあふれる美少女感やにじみ出る特有の残念感はどう見ても俺の彼女さんなんだよなぁ……)


「な、何のことかしら? 私の名前は――そう『チートメロメロイ三世』よ! 朝倉なんて巨乳完璧美少女では断じてないわ!」

「…………」


(うーん、ツッコミたい所は山ほどあるけど……)


「そうかぁ~、朝倉さんじゃないのかぁ~。じゃあ、俺の勘違いだったんだね♪」

「え、ええそうよ! まったく、失礼しちゃうわね!」

「じゃあ……ここにいるのが『朝倉さん』じゃないのなら、俺がいまここで『グレムリンスレイヤー』最新巻のネタバレを言っても問題無いよね♪」

「ほぺ?」


(安藤くん何を言ってるの? グレムリンスレイヤーって、確かCA文庫から出ている私も大好きなラノベで昨日最新巻が発売されたばっかりだから、私もまだ読んでな――)


「最新巻ではあの僧侶がついにこん棒の力に目覚めて殴り僧侶に進化し――」

「ぽわぁあああああああああああああ!? 安藤くん! ゴメンなさい! 私です! 私なんです! ウソつきました! 本当は安藤くんのバイト姿が見たくてパパの服を借りて変装していたのよぉおおおおおおおおおおおおおおおお!」



「アネガサキさん? アノ客ハ、ヤバイ奴デスカ? ケイサツ呼ブ?」

「ワタシ、アイツ、マルアゲネ!」

「アハハ、あれはセンパイのガールフレンド(本物)だから安心して大丈夫ですよ~キャピ!

「ワオ! アノ人モ、アンドウさんのガールフレンド?」

「ワタシ、アンドウサン、マルアゲネ!」

「浮気ハ、ヨクナイヨ?」

「えへへ、心配してくれてありがとうございます♪ でも、これくらいは普通のことですから大丈夫ですよ~キャピ!

「ワオ! 今ノ日本人、スゴイヨ……」

「マルアゲアルカ……」


「「アンビリバボー……」」



「さらに、グレムリンスレイヤーは――」

「だから、それ以上ネタバレを言うのはやめでぇえええええええええええ!」





【次回予告】


「皆、いつも応援してくれてありがとうね。委員長よ♪ 

 さーて、次回の『何故かの』は?」


次回「おうちにおかえり」 よろしくお願いします!


「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ。

 ペタペタ・ペタりん♪  じゃん・けん・ポン♪」 




皆、思っているんじゃない? 


『どうせまたグーなんだろ』って……


そろそろ『グー』以外を出してもいいんじゃないかしら?


だから、わたしを信じてくれないかしら?


今日の委員長は『グー』を出さないって――





















【チョキ】


「クフフ……皆のコメント、評価、待ってるわね♪」


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