第306話 何故かの(???ルート)「一人暮らし」


 ~ ピンポンパンスカーン♪ ~


 今日の『何故かの』は特別編です。

【安藤くんが朝倉さん、桃井さん、委員長達と出会わないで高校を卒業した世界のお話】となりますので、本編とは関係がないパラレルワールドのお話です。

 是非、誰ルートのお話なのか予想してみてください♪


 ~ ピンポンパンスカーン♪ ~



 ミーン、ミンンミンミィィーーン……ミィーヨン! スゥ~カン! スカーン! スカスカスカァ~ンンン…… ← 蝉っぽい何かの鳴き声



「あぁ~、あちぃ……」


(無事に『ぼっち』のまま高校を卒業して大学生になり、一人暮らしを始めたのはいいものの……)


「今年の夏って暑すぎだろ……」


(やっぱり、ケチってエアコンのない部屋を借りたのが間違いだったよなぁ……。これ、扇風機だけじゃ限界があるって! でも、わずかな仕送りとバイト代でしのいでいる俺にエアコンを買う金も無いしなぁ……)


 メロォ~ン♪ ← チャイムの音だってばよ!


「ん? 誰か来たか? でも、こんな蒸し暑い地獄にわざわざ好き好んで来る奴なんかいるわけないし……NH●の集金かな?」


(まったく、何回来ようとウチにテレビは無いって言ってるんだけどなぁ……。

 よし、居留守を使おう!)


「さて、俺はせっかくの休みだし溜まっているラノベを消化しますか……」


 ガチャリ


(ん? 玄関が開く音だと……まさか、最近のNH●は鍵開けまで――)


「お兄ちゃん! 何でドア開けてくれないの!」 バタン!


(っと、思ったが……何だ妹か)


「いや、NH●かと思ってさ……それに、お兄ちゃん暑くて動く気にならないんだよ」

「それなのにラノベを読む気力はあるとか流石はお兄ちゃんだよね……。ってか、蒸し暑いよ!? え、お兄ちゃんいい加減にエアコン買わないと死ぬよ?」

「バカ者! 一人暮らし始めたばかりのお兄ちゃんにそんな余裕があるわけないだろう? それに、これくらいまだ……いける」

「それで脱水症状になっても知らないからね~? もう、お金ならお母さんに頼めばいいのに……」

「いや……だって、それじゃあますまず『アンタも本当にお父さんに似て来たわね……』とか言われそうじゃん?」

「うーん、それはそうかも……」


(まぁ、そうやってお兄ちゃんが無理するから、妹の私が『仕方なく!』様子を見に来てあげているんだけどね~♪)


「とりあえず、この部屋暑すぎるから窓もドアも開けて部屋の空気を喚起するよ!」

「いや、窓とか開けたらその暑い空気が入ってきちゃうんじゃないの?」

「お兄ちゃん、お外の空気の方がこの部屋よりよっほど涼しいからね?」

「マジか……」


(道理で頭が働かないわけだな……)


「お兄ちゃん、その様子だとちゃんと食べてもいないでしょ?」

「うーん、暑くて食欲が出ないんだよなぁ……。あ! でも、今日は起きてから水は飲んだぞ!」

「それ逆に『何も食べてない』って言っているようなものだからね……?」


(はぁ、本当にお兄ちゃんは仕方ないんだから……)


「とりあえず、夏バテに効きそうな食材買ってきたから何か適当に作るね?」

「お、マジで? なんか、いつも飯作ってもらってゴメンな?」

「まぁ、これでも私はお兄ちゃんの『妹』だから仕方なくだけどね~」


(ダメな兄の世話は妹がするものって決まっているから……本当に仕方なくだけどね♪)


 マスクメロォ~ン♪ ← チャイムの音だってばさ!


(ん? また来客だと……)


「お兄ちゃん、私ごはんの準備してるから出て~」

「はいはい……」


(まったく、誰だよ……今度こそNH●かな?)


「どなたですか?」 ガチャ

「センパ~イ! おはようございまぁ~す♪ えへへ、可愛い可愛い後輩のアタシが遊びに来てあげましたよぉ~キャピ!

「げっ……姉ヶ崎じゃねぇか」


(何でこいつが……しかも、妹がいる時に!?)


「ちょっとぉ~! センパイ『げっ』って何ですかぁー!? せっかく、大学に行ったセンパイが『ぼっち』で寂しい一人暮らしをしていると思って遊びに来てあげた後輩に言う言葉ですかぁ~?」

「いや、ゴメンって……ちょっと、いきなりで驚いただけでさ……」

「まぁ、確かにサプライズで来ちゃったアタシも悪いですけどねぇ~? そうだ! どうせ、センパイてばロクなもの食べてないと思って……ジャジャーン! お昼ご飯作ってあげようと思って食材買って来たんですよ~♪ どうですか? 可愛い後輩がご飯作ってくれるとか惚れ直しちゃいましたかぁ~キャピ?

「あ、あはは……そ、それは嬉しいなぁ……」


(マズイ……この展開は非常に! マズイ……)


「ん~……?」 


(センパイのこの反応はもしかして……)


「ちょっと、センパイ~? 外も暑いんでそろそろ部屋に入れてくれませんかねぇ~?」

「いや……ほら、俺の部屋エアコンも無くて外より暑いからさ……」

「でも、部屋に入らないとご飯作ってあげられないんですけどぉ~?」

「そ、それは……」


「ちょっと、お兄ちゃん! いつまで玄関にいるのー? 誰かお客さ――、

 って、あ……」


「ヤッホー♪ 安藤さん、こんにちは~キャピ! そ・れ・で……

 センパイキャピ?

「お兄ちゃん……」

「な、何でしょう……」


「「これはどういうこと(ですか)?」」




「へぇ~、安藤さんはセンパイの様子を『たまたま』見に来ただけなんだぁ~キャピ?

 なんか……お兄ちゃん思いの妹ブラコン拗らせすぎって、感じだよねぇ~?」

「へぇ~、姉ヶ崎さんもお兄ちゃんの様子を『たまたま』見に来ただけなんだ~?

 ホント……先輩思いの後輩ただの他人の分際でって、感じだよねぇ~?」


((……あぁあん!?))


「…………」


(気まずい……何故か一人暮らしの俺のところに『たまたま』妹と後輩が遊びに来ただけなのに……この状況、めちゃくちゃ気まずいんですが)


「まぁ、とりあえず……妹さんが来てたのは仕方ないですし~、アタシはさっさとセンパイのごはん作っちゃいますねキャピ!

「ちょっと、姉ヶ崎さん!? お兄ちゃんのごはんはもう私が作り始めてるんだけど!」

「そう言われてもぉ~? アタシもすでにセンパイにごはん作るつもりで食材買ってきちゃいましたし~キャピ?

「だから、人の家のお兄ちゃんに勝手にごはんあげないでって前にも言ったよね!?」

「だって、安藤さんは生徒会で忙しくてセンパイのお世話できてないみたいだし~? アタシがお世話してあげなきゃ見たいなぁ~キャピ?

「お兄ちゃんの世話は妹の私がするって決めてるの!」

「ちょっと、待って! なんか、俺の扱いおかしくね!? 俺って犬や猫じゃないんだけど――」


「「お兄ちゃんセンパイは黙ってて!!」」


「ハイィッ!」


(おかしい……俺が一番年上のはずなのに人権が無い……)


「それに、姉ヶ崎さんはお兄ちゃんと何の関係も無いでしょ!?」

「はぁ~? 別に、関係ありますけどねぇ~キャピ!


(……ね? セ・ン・パ・イキャピ♪


「はぁ? ちょっと、それどういう意味……」

「だってぇ~♪ アタシとセンパイは――」

「ちょっ! 姉ヶ崎……」


(それは――)


「超仲が良い先輩と後輩男と女の関係ですもんねぇ~キャピ!

「あ、あぁ……まぁ、そうだな……」


(あ、あぶねぇ……姉ヶ崎の奴。まさか、この場で自爆テロでも起こすのかと思ったじゃねぇか……)


「ふーん。まぁ、いいけど……それより、お兄ちゃん!」

「そう♪ そんなことより、大事なのは……センパイキャピ!


「な、何でしょう……」


「私が作るお昼ごはん!」

「アタシが作るごはん♪」



「「どっちが食べたい(ですか)?」」


「そ、それは……」


(ヤバイヤバイヤバイよ……これは一体なんて答えるのが正解なんだ!? せ、せめて、二人を刺激しないような言い方をしないと……そうだ!)


「ど、どっちも――



 この後、安藤くんは自分の発言をめちゃくちゃ後悔した。





【次回予告】


「皆ぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ! いつも応援してくれてありがとうなぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!

 そんな俺はぁあああああああああああああああああああああああ!!

 俺だ!俺だ!俺だ!俺だ!俺だ!俺だ!俺だ!俺だ!俺だ!俺だ!俺だ!俺だ!俺だ!俺だ!俺だ!俺だ!俺だ!俺だ!俺だ!俺だ!俺だぁあああああああああああああああ!!! そう、山田さまだぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!

 皆、待たせたな! 皆の人気者、山田様だぜ! なんか今日は委員長が謹慎処分とかなっているから、この俺様が代理で【次回予告】を担当することになったぜ! それで、次回予告って何をすればいいんだ……?

 そうか! じゃんけんすればいいんだな!? じゃんけんなら俺得意だぞ!!

 よし、いくぞぉ~!!!


 じゃぁあああああああああああああん!


 けぇええええええええええええええええん!


 ぽぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!」









【チョキ!】


「じゃあな! 次の次回予告は誰がやるんだろうな?

 もちろん、俺でも全然OKだぜ!!

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