七章【クリスマス】

第304話「ノベの一日」


「ぶねぇ~」


(吾輩のは猫である。名前はまだない)


「ノベ~? ごはんだよ? 何処にいるの~?」

「ぶみぃ~」


(ゴメン。ウソついた。名前あったわ。そうだ『ノベ』これ吾輩の名前だったわ……)


「あー! ノベったらまたテレビの裏で寝てたのかにゃ~? もう、ほこりがつくからあんまり変なところに行ったらダメだよ? はい、ごはんだにゃ♪」

「びみゃ……」


(この者が吾輩の主である。そして、この家のぬしだと吾輩は思っている……。何故なら、吾輩の野生の勘がそう訴えてくるからである)


「妹、おはよー。もう、起きてるのか……。早いな」

「もう、お昼の時間だよ? お兄ちゃんが起きるの遅すぎるんだよ!」

「学校が休みの土曜は昼まで寝てるって決めてるからいいんだよ……。むしろ、何で妹は休みの日でも起きるのが早いんだ?」

「だ、だって……お兄ちゃんが起きないんだから、私が起きていないと朝ごはん作る人がいないでしょ! もう、お昼だけどね……」

「あれ? 母さんは?」

「お母さんなら、昨日は泊まりで帰ってきてないよ」

「相変わらず忙しい母さんだな……。それで、親父は――」

「言う必要ある?」

「無いな……」


(どうせ、いつも通りどっかで飲んだまま帰ってきてないんだろう)


「まぁ、とりあえず朝ごはんをいただくとしますか……」

「お兄ちゃん! それより、先にノベのトイレ片付けてよね! ノベの朝ごはん私がやったんだから!」

「……はいはい」

「ぶみゃ~」


(この男は吾輩の下僕である。さらに吾輩のトイレをあさる変態でもある。まぁ、

たまに飯も用意してくれるので、寛大な吾輩は許してやっているのである)


「ぶみー」

「ノベどうしたのー? お眠なのかにゃ~? もう、ノベも仕方ないな~♪」

「ぶみぃ……zzZZ」


(時にこの娘の膝の上は吾輩のお気に入りスポットの一つである。今日は昼までこの膝の上で眠りにつくとするのである……zzZZ)



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「お兄ちゃん、お客さんだよ。ノベが膝の上にいて動けないから出てくれる?」

「了解ー」

「……ぶみゃ?」


(……どうやら、吾輩が寝ている間にこの家に客人が来たみたいである。この家に客人とは珍しいのである)


 ガチャ


「安藤くん、お邪魔するわね♪」

「朝倉さん、ゆっくりしていってよ」

「サクラお義姉ちゃん、いらっしゃいです! ウチに来るの久しぶりですよね?」

「妹ちゃん、お邪魔しているわね♪ そうね。最近は私の家ばっかりだから、たまには安藤くんの家に行ってみようてね? ウフフ、それに妹ちゃんにも会いたかったもの♪」

「サクラお義姉ちゃん……私もです!」

「びみぃ~」


(この娘は吾輩の妾である。その証拠に吾輩が挨拶にしに行ってやると――)


「ノベちゃん、元気にしていたかしら? ノベちゃん、さらさらモフモフで癒されるわ。ウフフ♪」

「び、びみゃ~」


(この通り、吾輩を撫でまくって来るのである……。みゃぁ~……き、気持ちよくなんてないんだからな! ゴロゴロ……)


「朝倉さん、ノベの扱い上手いよね。ノベ~? 俺も撫でていいか~?」

「フしゃぁあああああ!」


(触るな、無礼者! 下僕の分際で調子に乗るでない!)


「あぶっね!? 危うく引っかかれるところだったよ……」

「ウフフ♪ 安藤くんてばまだノベに懐かれてないのね?」

「何で懐かないんだろうなぁ……?」


(こいつのトイレはほぼ俺が片付けてやっているのに……)


「お兄ちゃんー! 私、そろそろ部活に行くからー! サクラお義姉ちゃんにあまり迷惑かけないでねー? じゃあ、サクラお義姉ちゃん! お兄ちゃんのお世話お願いします♪」

「ウフフ♪ 妹ちゃん、任せて頂戴!」

「いいから、さっさと出ないと部活遅刻するぞ?」


(てか、何で俺が朝倉さんに迷惑かける前提で話しているんだ? まぁ、いいけどさ……)


「じゃあ、行ってきまーす!」 バタン!


「「…………」」 シーン……

 

「ぶむみゃ~」


(この家はたまにこうして吾輩の妾と下僕二人っきりになる時がある……。こういう時はいつも――)


「あ、安藤きゅん! ふ、二人っきりになっちゃったわね……?」

「あ、朝倉さん……そうだね……」

「そのぉ~、私……安藤きゅん! の部屋に行きたいのだけど……」

「うぇ!?」

「も、もちろん! ラノベが読みたいからよ!? あ、安藤きゅんの部屋は……ラノベがたくさんあるから……」

「そ、そうだよね! ラノベがあるからね!」

「う、うん……」

「ぶみゃぁ~」


(大抵この会話から始まり……)


「じゃあ、俺の部屋に行こうか……? も、もちろんラノベを読むだけだよね!?」

「も、もつぃみょん! そ、そうに、決まっているでしょ!?」

「だ、だよね! あはは……」

「え、えぇ……」

「ぶみゃぁ~」


(そして、決まったかのようにいつもの部屋へと消えていくのである……。しかし、今日は吾輩もその後をつけてみたいと――)


「みゃ?」

「あらあら、ノベちゃんはこっちのリビングでお留守番してましょうね~? ウフフ♪」

「あ、朝倉さん? 本当にラノベを読むだけだよね……?」

「……ウフフ♪」

「ぶみゃぁ~」


(……世の中は誠に理不尽である)





【次回予告】


「皆、いつも応援してくれてありがとうね。委員長よ。

 この後どうなったのかは……皆の想像に任せるわ♪

 さーて、次回の『何故かの』は?」


次回「第二回人気投票 結果発表」 よろしくお願いします!


「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわね。出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ? 

 ペタペタ・ペタりん♪  じゃん・けん・ポン♪」 



 グーかな?



    また、グーかも?



やっぱり、グーじゃない?




         きっと、グーだったりして……

















 もしかしたら『チョキ』を出すかもしれないわよ……?


















【パー!】


「クフフ……皆のコメント、評価、待ってるわね♪」

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