第302話「成長」
「朝倉さん、これでやっと文化祭の行事も全部終わったね」
「安藤くん、まだ片付けが残っているでしょう?」
「うわぁ、そう言えばそうだった……」
(なんか、もう片付けとか明日で良くない? それか、ちゃっかり一日文化祭を楽しんでいた石田にやらせようよ……)
「センパ~イ! そっちで、サボってないでこっちの片づけくらい手伝ってくれませんかぁ~
(と思ったけど、呼ばれたし行くかぁ……)
「分かっ――」
「あらあら、安藤くん? 私って彼女がいながら……この期に及んでまだ違う子に浮気するつもりかしら~? ウフフ♪」
「朝倉さん、滅相もございません!」
「そう、ならいいわ♪ 姉ヶ崎さんは私が手伝うから、安藤くんはここで落ちているゴミとか片付けておくこと! いいわね?」
「はい、朝倉さん。かしこまりました!」
(ふぅ……これ以上、朝倉さんをグレムリンもとい……アナザー美少女化させるわけにもいいかないから、ここは大人しくしておこう)
「姉ヶ崎さん、待たせてごめんなさいね?」
「いえいえ、朝倉センパイ、ありがとうございます
(うわぁ……センパイてば、めっちゃ尻に引かれてますねぇ~
「さて、ゴミでも拾いますか!」
「では、まずは安藤くんという大きな粗大ゴミから片付けなくてはいけませんですわね?」
「そうそう、まずは『ぼっち』の俺という社会の粗大ゴミから回収を……
って、誰が大きな粗大ゴミなんだよ!?」
(まったく、こんなヒデェこと言うのは誰かと思ったら……)
「あら、わたくし何か間違ったこと言いましたでしょうか?」
「姉ヶ崎先輩……」
(まったく、何の用だよ。こっちは大人しく片付けをしなきゃいけないって言うのに……)
「姉ヶ崎妹のことが心配なのか……?」
「な! 何でそう思うのですわ!?」
「いや……だって、姉ヶ崎先輩が俺に声をかける理由なんてそれ以外にないだろう?」
「そ、それもそうですわね……」
(来年にはわたくしも卒業……妹のことを見ていられるのは今年で最後ですわ。だからこそ、わたくしは安藤くんに妹が一人になっても大丈夫なように、この文化祭を妹に任せて欲しいとお願いしたわけですけど……)
「わたくしの可愛い妹は……ちゃんと、できていたでしょうか」
「…………」
(ここで、嘘でも『出来ていた』と答えるのは簡単だけど……)
「まぁ、ぶっちゃけ微妙だな……」
(ミスコンだって肝心なところでミスをしたし、始まる前からも結構俺が手伝っていた場面とか……なんだかんだで大体の事務作業は姉ヶ崎妹も俺も苦手だから、石田の奴に全部押し付けたし――)
「うん、流石に一人で全部できたとは言えないなぁ……」
「なっ!? 安藤くん! 貴方、ここは嘘でも『出来ていたから、大丈夫だ!』くらい言うべきですわよ! わたくしは来年卒業してしまうのですわよ! せめて、安心させる言葉くらい――」
「だから、俺が面倒見てやるよ」
「はぃ……ですわ?」
「先輩は来年で卒業だもんな。その分……俺が姉ヶ崎妹の面倒も見てやるって意味だよ。だから、姉ヶ崎先輩は安心して卒業していいんだぞ?」
「安藤くん、貴方てば……」
(最初っから、わたくしが妹のことが心配なのを分かってて……)
(姉ヶ崎妹だって全部一人で完璧にできなくてもいいんだ。その証拠に俺だって生徒会長なのに一人じゃ何もできないもんな! それに、ミスコンの最終審査だって姉ヶ崎妹の機転で乗り越えることができた。姉ヶ崎妹が何もできないなんてことは決してない。
少なくても、アイツは俺よりも優秀だ。だからこそ、姉ヶ崎妹の足りないところは先輩である俺が何とかしてやればいい。
それに――)
「俺の妹もこの学校にはいるしな……」
「はぁ? 安藤くん、それはどういう意味ですの?」
「つまり、姉ヶ崎妹が頑張ってくれないと、俺が卒業した時に俺の妹が困るってことだよ」
(だから、姉ヶ崎妹には俺の妹が楽しい高校生活を謳歌できるように、頑張ってもらわないとな!)
「まったく、少しは良いことを言うかと思ったら……フフ、本当に貴方は
(でも、そんな安藤くんの生徒会だからこそ……)
「ウチの可愛い妹もいつの間にか成長していたのですわね」
(心配をする必要なんてないくらいに――)
「本当にな……。フッ、姉ヶ崎先輩の胸は一向に成長しないのに……」 ボソッ
「ゴォオォォオオオオオオオ~、ロォォオオオオオオオオオオオオオオ~、ズズゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ~ッ!」
「うわっ! やめろ、このペッタンコ!?」
「はぁ……お兄ちゃん、何やっているのかにゃ……」
「センパイとお姉ちゃんてば、またケンカしてる……もう、あの二人本当に仲悪すぎなんですけどぉ~
「あらあら、安藤くんてば……ウフフ♪」 ゴゴゴゴッ!
おまけss「姉妹」
「ただいまー」
「おかえりー」
「お姉ちゃん、帰ってたんだ。珍しいー」
「お姉ちゃん、だってたまには家にいるってのー。それより、今日って文化祭だったんでしょ? どうだったー?」
「めっっっ…………ちゃ!!! 疲れたぁ~~! もう、なんかウチのクラス出店でケバブ屋やったんだけど……何故か私が店番やった時に限ってめっちゃ売れるの!」
(休憩で交代した人に聞いたら『え、全然売れてないよ?』とか言うし……)
「しかも、私が店番の時に限ってカップルが何組もくるし! 中には毎回別の女を連れてくる男とかもいての!」
「分かる! お姉ちゃんもその気持ち凄い分かるッ!! 私のバイト先にも、毎回別の女を連れてくる男が客で来るんだよね……」
「そう言えば、お姉ちゃん。今日はバイトじゃないの?」
「今日はカフェのバイト休みだから、大学終わって速攻で帰って家でだらけてるの~」
「お姉ちゃんがバイト休みなんて珍しいね……もしかして、彼氏とかでき――」
「てねぇえよ! 何!!? お姉ちゃんは彼氏ができなきゃバイト休んじゃダメなの!」
「なんだ……。でも、お姉ちゃんもそろそろ就活なんでしょ? 大丈夫なの?」
「大丈夫、大丈夫~♪ 良い会社に就職してバイトも辞めて良い男捕まえて寿退社してやるんだから!」
「ふーん……」
(こうはならないようにしよう……)
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとうね。委員長よ♪
分かっていると思うけど、おまけSSのお姉さんはいつものバイトさんよ♪
さーて、次回の『何故かの』は?」
次回「第二回人気投票」 よろしくお願いします!
「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわね。出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ?
ペタペタ・ペタりん♪ じゃん・けん・ポン♪」
グーかな?
また、グーかも?
やっぱり、グーじゃない?
きっと、グーだったりして……
もしかしたら『チョキ』を出すかもしれないわよ……?
【グー!】
「クフフ……皆のコメント、評価、待ってるわね♪」
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