第298話「謎の美少女二人三脚」
『それで……自己アピールだったかしら? 何でわたしがそんなことをしなきゃいけないのかしら? だって、わたしの魅力なんて自分で伝えなくても見れば十分に伝わるでしょう? あ、それとも……わざわざ、言葉で伝えなければこのわたしの魅力にも気づけないほどの無能しかここにはいないのかしらね?
でも、残念なことにわたしは皆に自分の魅力を伝えるなんてできないのよ。だって、人間のわたしが豚の言語を話せるわけないでしょう? ……クフフ♪』
「「「な……何んだこの女ぁああああああああああああああああああああああああ!?」」」
「…………」
(おいおい、委員長の奴……これ毒舌すぎないか?
まぁ、でも……声でバレるなら別人が喋ればいいじゃない作戦は成功のようだな。
観客全員に声が聞こえるようにするため、ミスコン参加者はピンマイクをつける。そのピンマイクを俺は委員長に渡していたのさ。つまり、今この会場で超絶毒舌自己アピールならぬ事故アピールをしているのは俺ではなく会場の裏で控えている委員長なのさ!
見た目で誤魔化すために俺が女装し、声でバレないように委員長が声を吹き替える。
名付けて『謎の美少女A二人三脚』! 最初に姉ヶ崎妹からこの作戦の内容を聞いた時は『バカじゃないの?』と思ったが……何とかなっているみたいだな……)
その頃、ステージ裏の控え室
「委員長センパイ、良い感じです! その調子でドンドン罵ってあげてください
「ちょっと、これ本当に大丈夫なの……? 一応、言われた通り毒舌キャラで通しているけど?」
「委員長さん! わたくしの可愛い妹の言うことが信じられませんの!?
可愛い妹がそう言っているのですから、貴方はそのまま毒舌キャラで喋り続けていればいいのですわ!」
「お姉ちゃん、マジでうるさいんだけど?」
「い、妹ぉ!? わたくしは貴方のためを思って!」
「いや、だから、それがウザいんだって……」
「しゅん……ですわ」
「なんかこの流れ、何処かの兄妹で見たわね……」
「まぁ、委員長センパイの不安も分かりますけど、これでOKなんですよ
(だって、普通にやったんじゃミスコン優勝なんて無理ですからねぇ~? 確かにセンパイの女装はアタシのメイクで完璧にしたけど、一言も喋らないでモモセンパイや……しゃ、癪だけど! センパイの妹に勝つのは厳しすぎる。
だからこその『毒舌キャラ』なんですよ♪ そう、アタシが狙っているのはインパクト!
すでに学校で『優勝候補』として取り上げられている二人を忘れさせるくらインパクトのある『キャラ』をこのミスコンで誕生させること!)
「そいうわけで、委員長センパイお願いしますね
「何がそういうわけなのか分からないけど……まぁ、罵ることなら任せなさい?
……クフフ♪」
(あとはセンパイ……任せましたからね
「おいおい! 吉田!? 何なんだよあの女は! 超かわいいくておっぱいデカいからって調子のりすぎなんじゃないのか!?」
「ウェーイ!」
「山田! 沢渡! お前たちはバカなのか? いや、バカだったな! いいか? あの子の姿をよく見ろ!」
「え? どれどれ?」
「ウェーイ?」
「…………」 ぷるぷる
「どうだ? 震えているだろう……? つまり、あの子の言葉は全部ただの強がりなんだよ!」
「「「え、強がり……?」」」 ←会場の生徒
「おい! 吉田! 強がりってどういうことだよ!? 俺バカだからわかんねーぞ!?」
「ウェーイ?」
「仕方ねぇな。じゃあ、俺がバカのお前達にも分かりやすく説明してやるよ。いいか? あの子の見た目からして、このミスコンに積極的に参加するタイプには見えないだろう?
現にあの子は緊張で今もぷるぷると震えているじゃねぇか? そんな子がこんな大舞台で意気揚々と毒を吐き続けると思うか?」
「でも、実際に俺達を豚や家畜のように罵っているぞ!」
「ウェーイ!」
「「「そうだ! そうだ!」」」
「バカだなぁ……それが、強がりだって言っているんだよ。あの子の気持ちになって考えてみろ……いきなり、こんな会場に立たされて緊張しないわけがないだろ? それをあの子は震える自分を誤魔化すために必死に毒を吐いているんだよ!
お前達にはそれが分からないのか!?」
「自分を誤魔化す?」
「ウェーイ?」
「「「な、なるほど……」」」
「さぁ、もう一度あの子の姿を見ながらその声に耳を傾けてみろ……きっと、聞こえるはずだ! あの子の……本当の心の声がな!」
『ほら、貴方達が喋ろっていうから、このわたしがわざわざ話してあげているのよ? 何か言ったらどうなのかしら? 豚でさえ、ブーブーくらいは言うと思うのだけど?
クフフ……♪』
(ふぇぇ~! なななな、何を喋ったらいいのか全然分からないですぅううううううう! とと、とにかく何か喋らなきゃ!
――って、びぇえええええええええええ!? とにかく喋ろうとしたら毒舌な言葉しか出てこないですぅううううう! で、でも……緊張しすぎてこんな風に強がってないと……ままま、まともに喋ることしかできないですぅううううううううう!
み、皆さん……! 豚さんとか言ってごめんなさいですぅうううう!) ← 幻聴です
「……な? 聞こえただろ?」
「「「なんか聞こえた気がする!」」」 ← 幻聴です
「なぁ、沢渡? お前は吉田の言う通りなんか聞こえたか?」
「ウェーイ?」
『あらあら……そこの豚さん達はまだわたしの声が聞き足りないというのかしら? なら、ブヒーブヒーって大きく鳴いてくれるかしら? ……クフフ♪』
「なぁ、吉田! あれはなんていってるんだ?」
「ウェーイ?」
「なるほど、あれは……
『ふぇぇ~! 酷いことばっかり言って本当にごめんなさいですぅううううううう! こ、こんなわたしでも許してくれるなら、ブヒーブヒー鳴いて許してくれると嬉しいですぅううううううううう!』
――って、感じだな!」
「「「僕達何度でも鳴いちゃうぅううううう! ブヒー! ブヒー!」」」 ← 鮮麗された観客達
「…………」 ぷるぷる
(え、恐っ!? 何であいつら喜んでいるの? マジでドン引きなんだけど……)
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとうね。委員長よ♪
令和最初の更新が主人公の女装。そして、メインヒロインの不在……これってジャンルなんだったかしら?
さーて、次回の『何故かの』は?」
次回「第二審査」 よろしくお願いします!
「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわね。出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ?
ペタペタ・ペタりん♪ じゃん・けん・ポン♪」
チョキかな?
パーかも?
グーじゃない?
パーだったりして……
今回は『グー』を出すかもしれないわよ……?
【グー!】
「クフフ……皆のコメント、評価、待ってるわね♪」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます