第297話「謎の美少女は語りたい」
『ミスコン第一審査は美少女なら自分の魅力は語れて当たり前! 名付けて……
【美少女ちゃんは語りたい】自己アピール審査です! ではエントリナンバー一番の方からどうぞ~♪』
『はい! 私のアピールポイントはアボガドを人差し指で貫けます!
ブラァアアア!』 ズボッ!
「「「うぉおおおおおおおおおおおおおお!」」」
「…………」 ぷるぷる
(あ、アピールポイントだって!? や、ヤバいぞ……。こんな架空の人物Aにアピールポイントなんてあるわけねえじゃねえか! こんなの即興で偽者の自己紹介作るようなもんだし……姉ヶ崎姉妹に委員長……任せたからな! っと、そんなこと考えているうちにそろそろ順番も回ってきそうだな……)
『ウホ! ウホウホ! ウホホーイ? ウホッホウッホ!』
「「「うぉおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」
『はい、エントリーナンバー五番の方、ありがとうございました~♪
では、お次はこのミスコン優勝候補の一人と言われいるこの方……
桃井さんでーす♪』
(――って、ぎゃぁあああああああああああああああああ! そう言えば、このミスコンって桃井さんも参加しているんだった! や、ヤバい……流石に身内だと俺が女装しているって……ば、バレるか?)
『はーい! エントリーナンバー六番、桃井さんだよー♪』
「「「うっぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! 桃井さぁああああああああああああああああああああん!」」」
『アハハ、皆凄い声援だねー♪ ありがとうねー!』
(正直、今年のミスコンはサクラが殿堂入りしているから張り合いもないんだよねー? でも、最後に飛び入り参加してきたあの女の子……あんな子ウチの学校にいたかなー?)
(や、ヤバい……。何故か桃井さんが俺をチラチラ見てるんだけど!? なるべくバレないようにミスコン中は下を向いて顔を見せないようにしよう……)
『桃井さん、ありがとうございましたー♪ 実に鬱陶しい巨乳でしたねー? では、お次はエントリーナンバー七番の方どうぞ~!』
『どうも! 1年A組の安藤です♪ 一応、お兄ちゃんがこの学校の生徒会長なんだけど、知っている人はいるかにゃ♪』
(うぎゃぁあああああああああああああああああ! 妹ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!? そうだよ! 桃井さんどころか、ウチの妹も参加してるじゃん! てか、このミスコン俺の身バレの危険性高過ぎじゃない!?)
(うんん~? あの飛び入り参加した女の人、何となく初対面じゃない気がするんだけど……どこかで会っている人かにゃ?)
(ヤバいヤバいヤバい……。妹がこっちをガン見している……。さ、流石に実の妹だと女装はバレるかも……。なんか身バレの恐怖で体の震えが止まらない件……)
『はい! 自己アピールありがとうございましたー♪ では、お次が最後!
飛び入り参加の謎の美少女Aさん! 自己アピールをお願い致しますー♪』
「…………」 ぷるぷる……
(さて、ついに俺の番になってしまったわけだが……)
「おいおい! 吉田! あの謎の女の子ぷるぷる震えているけど大丈夫か!?」
「ウェーイ?」
「ありゃ、ミスコンの空気に飲まれちまってるな……。
きっと、周りの女子に『可愛いから出てみなよ~』とかそそのかされて飛び入り参加したけど、いざ自分の番になって緊張しちゃったんだろう」
(しかし、あの謎の美少女。黒髪ロングのメガネっ子巨乳美少女で素材は良いのに、見た目から分かる内気な性格があだになったな。ああいうタイプは女子にしては背も高いんだし、もっと顔をはっきり見せてスカートも短くして大人なOL美少女として見せれば、桃井さんにも負けない勝負ができると思うんだよな。
なのに、あれじゃあ普段は地味で目立たないメガネっ子が髪をおろして少しオシャレして参加したようにしか見えないぞ?)
「…………」 ぷるぷる……
(正直、いくら俺が女装をして参加しても、ある程度は顔はカツラとメイクで誤魔化せる。だけど、絶対に誤魔化せないところも存在してしまう……。その一つがスカートの長さだ!
本来なら男子ウケ的にはスカートは短くした方がいいんだろうけど、そんなことしたら足で男だってバレる! だから、あえてスカートは長めにして……
『普段は地味で目立たないメガネっ子が髪をおろして少しオシャレしました』
てきな清楚路線を行くしかなかった。
だけど、それよりも大きな問題は『声』なんだよなぁ……)
『あ、あのー? 謎の美少女さーん? 自己アピールをしてくださーい? 聞こえてますかぁ~? アピールをしてくれないと司会のメガネちゃんも困っちゃうなぁ~?』
「おいおい! 吉田! あの子、全然喋んないぞ!?」
「う、ウェーイ!?」
「どうやら、本格的に緊張して声が出ないみたいだな……。これは棄権かもな」
「…………」 ぷるぷる……
(声だけは話した瞬間に絶対に男だとバレてしまう。しかし、ミスコンで話さずに優勝を目指すのも無理な話だろう。
だから『俺達』は考えたのさ――)
『えー、このまま謎の美少女さんが喋らないようでしたら第一審査はここまでに――』
『……さぃ』
「おい、吉田! あの子なんか喋ったぞ! でも、声が小さくて全然聞こえないぞ!」
「ウェーイ!」
「ホントちいせぇ声だな……。おいおい、もっと声出さないと聞こえないぞー?」
「「「そうだ! そうだー!」」」
『すみませんー! 会場のお客さんヤジは飛ばさないでくださいねー? えっと、謎の美少女さんも、せめてもう少し大きな声で話してくれますか~? あと、そろそろ名前だけでも教えてくれると、司会のメガネも呼びやすくなるんだけどなぁ~?』
(と言うか、この人本当に誰? 生徒会からごり押しで飛び入り参加させろって来たからメガネもこの生徒が誰なのか知らないんだよね~)
『……よ』
「「「え、なんだって?」」」
『あのぉ~、もう少し大きな声でお願いしたいんですけど……』
『はぁ……黙りなさいって言ったのよ。聞こえないのかしら?
このブタ肉どもが……ッ!』
「「「……え?」」」
『……え?』
シーン……
『どうやら、ようやく静かになったみたいね?
……クフフ♪』
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとうね。委員長よ♪
最後の『声』の正体は一体誰かしらね? 答えは令和最初の更新までお預けよ♪ ……クフフ♪
さーて、次回の『何故かの』は?」
次回「謎の美少女二人三脚」 よろしくお願いします!
「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわね。出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ?
ペタペタ・ペタりん♪ じゃん・けん・ポン♪」
チョキかな?
パーかも?
グーじゃない?
パーだったりして……
本当は『グー』を出すかもしれないわよ……?
【グー!】
「クフフ……皆のコメント、評価、待ってるわね♪」
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