第274話「妹心」


「それで、妹ちゃんのクラスは文化祭でどんな出し物をやるのかしら?」

「あ、妹よ。それ、俺も気になるぞ?」 ズルズル~ ← 家系ラーメンを食べる音


(そういえば、家でも文化祭でなにやるとか全然聞いてなかったもんなぁ……)


「そういえば、私のクラスのことお兄ちゃんにも言ってなかったね? えっとですね。サクラお義姉ちゃん、私のクラスは校庭に屋台を出して焼きそばの模擬店をやることになっているんですよ♪」

「模擬店! 妹ちゃん、それは楽しそうね♪」

「でも、屋台を出して模擬店とかクラスでやるより面倒そうだよなぁ……。あ、朝倉さん。このラーメンって、しょうがはトッピングできる?」 

「安藤くん、もちろんよ! はい、しょうがチューブよ♪」

「朝倉さん、ありがとう!」 ズルズル~


(なんだろう、この風景? 本来はお兄ちゃんとサクラお義姉ちゃんのラブラブなお弁当タイムだったはずなのに……これじゃあ、ただの屋台でラーメン食べているのと変わらないよねぇ……)


「お兄ちゃん、そんなこと言うけど一年生のほとんどは屋台で模擬店をやるんだよ。生徒会長なのに知らないの?」

「生徒会長って言っても、俺はお飾りだからなぁ……。朝倉さん、そうなの? あと、お酢もあったら欲しいな」

「もちろん、お酢もあるわよ! そうね。妹ちゃんの言う通り、生徒会にきている申請だと一年生は校庭で屋台を出して模擬店をするのが多いわね。逆に二年生はクラスを使った模擬店や展示、三年生になると受験で時間もないからほとんどのクラスが不参加でやっているところでも簡単な展示だけなのが多いわね」

「サクラお義姉ちゃんの言う通り、三年生が受験で忙しい分、一年生はなるべく屋台で模擬店を出して文化際を盛り上げてくださいって担任の先生が言うから、私達のクラスは模擬店で焼きそばを出すことになったんですよ」

「なるほどなぁ……。因みに、焼きそばって他のクラスともかぶりそうだけど大丈夫なの?」

「えーと、確か私のクラス以外にも二店舗焼きそばの模擬店があったかな?」

「ダメじゃねぇか……」

「にゃふふ~、お兄ちゃん! それは心配しなくても大丈夫! だって、私達のクラスは他の焼きそばと差別化を図るべく……『焼き蕎麦そば』にしたからね♪」

「すでに『焼きそば』じゃなくなっているんだよなぁ……」


(でも、妹が作るんだから普通に美味そうだな……。よし、今度家で作ってもらう)


「センパ~イキャピ!

「おう、姉ヶ崎じゃん。学食で会うの珍しいな」

「センパイてば、何言っているんですかぁ~♪ 珍しいのはセンパイ達の方ですよぉ~! だって、いつもは生徒会室で食べてますよね?」

「ああ、今日は妹に誘われたからな。姉ヶ崎だって、使いたかったら生徒会室使っていいと思うぞ……?」

「センパイってば、生徒会長のくせになんで疑問形なんですかぁ~キャピ! まぁ、でも……アタシは生徒会室で食べるのは遠慮しますかねぇ……」


(だって、あのラブラブカップル×2の食事に一人でお邪魔するとか……。うん、普通にそれどんな自殺行為ですかねぇ~?)


「あら、姉ヶ崎さん。こんにちは♪ ウフフ、姉ヶ崎さんも私達と一緒にどうかしら?」

「えぇ~、朝倉センパイいいんですかぁ~! じゃあ、お邪魔しちゃいますねぇ~? あ、安藤さんもいたんだ……。隣に座るけどいいよねぇ~? でも、嫌だったら……ごはんも食べ終わっているみたいだし、教室に戻ってもいいけどキャピ!


(てか、別にアタシはセンパイ達と食べるから先に教室戻れば……?

 みたいなぁ~キャピ!


「もう、姉ヶ崎さんてば冗談が上手いな~♪ 私が姉ヶ崎さんを嫌がるわけないじゃん。だって……わざわざ足元に雑草が生えてたって気にも留めないよね?」


(同じ妹とは言っても、しょせんは贋作フェイカー……ただの雑草ごときに、この英妹王えいまいおうの私が何を嫌がるのかにゃ?

 妹心まいしんせずして何が妹か! だよ♪)


「アハハ! 何それぇ~? 安藤さんてば、マジでウケるんですけどぉ~キャピ!

「えへへ、そうかな~? 姉ヶ崎さんには負けるよ~♪」


「「アハハ~……」」 ゴゴゴゴゴッ!


「朝倉さん、このラーメンって替え玉はあったりしないかな……?」 ズルズル~

「ウフフ……安藤くん、この私を誰だと思っているのかしら? もちろん、あるわよ! はい! 特製替え玉麺よ!」


((てか……アタシ達、何をやってるんだろう)) スカーン……


「そもそも、センパイは何を食べてるんですかぁ? なんか、アタシの目には学食にはありえない本格な家系ラーメンがあるように見えるんですけど……しかも、朝倉センパイが替え玉を用意しているし……」

「えーと……サクラお義姉ちゃんの手作りお弁当……みたいな?」

「へぇ~、朝倉センパイが手作りのお弁当を作って来たんだ。でも、その割にはセンパイは家系ラーメンを食べてるけど?」

「いや、だから……その家系ラーメンがサクラお義姉ちゃんの作ってきたお弁当というか……」


「フ~ン……って、はぁああ!? あの家系ラーメンがお弁当ってマジで!? てか、手作り!? どんぶりは何処から用意したし!」


(う~ん……。やっぱり、そんな反応だよねぇ……)


「安藤くん! あ、味は……どうかしら?」

「うん! 朝倉さん、とっても美味しいよ! これなら毎日食べられるね!」

「そ、そう!?」


(そそそ、それって……


『アハぼっち! ハニー! とってもデリーシャスだよ! できたら、君が作る家系ラーメンを毎朝飲みたいな……。もう、明日から式をあげちゃおうか♪』


 ――って、意味よね! ムキャァ~! 頑張った甲斐があったわ♪)



 この日、何故か学食のラーメンがよく売れたという。





【次回予告】


「いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ♪

 皆『何故かの』2巻の予約報告ありがとうね。予約できないって人も是非、2巻をよろしくね♪

 そんな『何故かの』2巻は3月25日発売よ♪

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*本書を書店にてご注文の方はこの画面を店員さんにお見せください。


タイトル

【何故か学校一の美少女が休み時間の度に、ぼっちの俺に話しかけてくるんだが? 2】


作者【出井愛】


レーベル【MF文庫J】


出版社【KADOKAWA】


発売日【2019年3月25日】


ISBN

【9784040656656】






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 さーて、次回の『何故かの』は?」


次回「心妹」 よろしくお願いします!


「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ。出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ? 

 ペタペタ・ペタりん♪  じゃん・けん・ポン♪」 



 パーかな?



    パーかも?



パーじゃない?




         パーだったりして……

















 本当にパーを出してくるかもしれないわよ……?


















【グー!】


「皆のコメント、評価、待ってるわね♪」

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