第273話 何故かの(委員長ルート)「バレンタイン」
~~~~~~~~~~ ピンポンパンポーン♪ ~~~~~~~~~~
今回のお話は【特別編】になります。本編とは別ルートで『もし、委員長がメインヒロインだったら』の話になりますのでご理解ください。
~~~~~~~~~~ ピンポンパンポーン♪ ~~~~~~~~~~
「ケホケホ……うぅ~、寒いぃ……体がダルい……」
(畜生……せっかくのバレンタインだっていうのに風邪をひくなんて……今年のバレンタインだけはぼっちの俺でも、妹以外からチョコをもらえる可能性が――)
スカコンコン! ← ドアを叩く音
「お兄ちゃん、まだ生きてる~?」
「い、妹よ……。兄を心配しての言葉だとは思うが……それだと『まだ生きてるの?』みたいに聞こえるぞ……ケホケホッ!」
「あぁ~、もう! お兄ちゃんってば、無理してツッコまなくていいから!」
「いや……じゃあ、ツッコませるなよ……。てか、お前、部活は? 学校から帰るの早くね……?」
「はぁ~、そんなのお兄ちゃんが風邪で倒れているから看病するために早く返って来たに決まっているじゃん! まぁ、私はお兄ちゃんの『妹』だから、仕方なくだけど……ニヒヒ♪ でも、その必要はなかったかもねぇ~?」
「ん? おい、妹よ。それはどういう意味だよ……」
「えへへ~♪ 病気のお兄ちゃんにお客さんが来てるよ~? はい、委員長お義姉ちゃん! どうぞどうぞ~♪」
「ちょ! い、妹ちゃん!? わたしは自分で入るからそんな背を押さないで――」
「え、委員長!?」
「そ、その……安藤くん、具合はどうかしら……? 一応、お見舞いに来てあげたからひれ伏しなさい」
「そんな上から目線のお見舞い初めてだよ……」
「ニヒヒ♪ じゃあ、あとは若いお二人でごゆっくり~♪」
スカバッターン! ← ドアを閉める音です!
「い、妹ちゃん!? ちょっと、何でドアを閉めるのかしら! てか『若いお二人』って、貴方の方が若いわよね!?」
「妹の奴め……」
(まったく、変な気遣いしやがって……)
「そもそも、何で委員長が妹と一緒に帰ってくるんだよ……」
「そんなの安藤くんのお見舞いに来たら、途中で会っちゃったに決まっているじゃない? それに……せっかく、ぼっちの安藤くんにはもったいないくらいの『可愛い彼女』がお見舞いに来たって言うのに、その態度は酷いんじゃないかしら?」
「バカ……その『可愛い彼女』に風邪をうつしたくないから、早く帰るようにあえて冷たくしてんだよ……」
(確かに、一年の時からいろいろあって……結果として委員長と付き合うことになったけど、いまだにこういうことを言うのは恥ずかしいな……)
「クフフ……病気の時くらい素直になるかと思ったけど、相変わらずひねくれた彼氏さんね」
「じゃあ、病気の俺に代わって自称『可愛い彼女』の委員長が素直になってくれてもいいんだぞ……?」
「何よ。そのメチャクチャな理論は……でもそうね。相手が腐っても私は安藤くんの彼女なんだから病気の時くらいは優しくしてあげようかしら……?」
「『相手が腐っても』とか言う時点で優しくないんだよなぁ……」
(それを言うなら『腐っても私は安藤くんの彼女なんだから』だろ? まぁ、そんなこっぱずかしいこと俺と委員長の仲で言うのもあれだから、照れ隠しで毒を吐いているんだろうけど……委員長って、本当にわかりづらいツンデレだよな)
(フン……だって『腐っても私は安藤くんの彼女なんだから』なんてセリフ、わたしらしくないでしょう? だから、あえて安藤くんのために照れ隠しで毒を吐いてあげているのよ。 言うならばこれがわたしなりの安藤くんへの愛情表現かしらね? クフフ……♪)
「それで、優しくしてくれるって具体的に何してくれるの? ケホケホ……」
「そうね……。じゃあ、安藤くんが一番叶えてほしいお願いを聞いてあげる。
なんて、どうかしらね?」
「マジで!? じゃあ、委員長の
「貴方、病人のテンション何処に行ったのよ!?」
(……というか、真っ先に出てくるお願いがソレって……本当にこの男は……っ!)
(だって、しょうがないじゃん! せっかく人生で初めての彼女が
「安藤くん……他にもっと違ったお願いがあるでしょう? と、特に『今日』とか……」
「今日って――、
もしかして……バレンタイン?」
「クフフ……ようやく気付いたようね? そうよ。毎年、妹ちゃんくらいにしかチョコをもらえなかった安藤くんが、今年だけは妹以外の『可愛い女の子』からのチョコがもらえるんじゃないかとひそかに期待していたであろう、そのバレンタインよ」
「その言い方がすでに可愛くないんだよなぁ……」
(てか、委員長の奴。俺の考え分かりすぎだろ……。この彼女、俺のこと好き過ぎかよ?)
「まてよ……。ということは何? 委員長てば俺にチョコを渡すためにわざわざお見舞いに来てくれたの?」
(な、なんだよ……。委員長てば、口では毒を吐きつつも俺のために――)
「そんなわけないでしょう? だって、わたしは『チョコをもらえるかと期待したけど、わたしがチョコを持っていないと知って、底知れぬ絶望の淵へと沈む安藤くんの表情』を見に来ただけですもの……?」
「お前、ホント……マジで帰れよ!」
(なんなのコイツ……っ! 本当に俺の彼女なの!? 彼女って……こう! もっと、甘くてメロンメロンした関係じゃないんですかねぇえ!?)
「クフフ……安藤くん、冗談よ♪ はい、安藤くんが内心ではものすごーく欲しかったであろうバレンタインのチョコよ。一応、わたしは安藤くんの『彼女』なんだし……本命ってことにしてあげるわね?」
「いちいち、言い方にトゲがあるんだよなぁ……」
「え、いらないのかしら……? なら、このチョコは妹ちゃんに――」
「ああああああああああ! 最高! バレンタインの本命チョコ嬉しいなぁ~~っ! 俺はこんな可愛い彼女がいて本当に幸せ者だなぁーーっ!」
「安藤くんてば、そんなにはしゃいじゃって……見苦しいわね♪」
「…………」
(俺の彼女、マジで可愛くねぇ……。だけど、コイツの口から出てる言葉をミュートにできれば、その笑顔だけは可愛いんだけどなぁ……。まぁ、そんなことを言うと激しく逆ギレしてくるから言わんけど……。委員長の奴も自分では『可愛い彼女』って言うくせに、こっちが『可愛い』とかいうと照れて逆ギレしてくるからタチが悪いんだよ)
「安藤くん……? 急に黙り込んでどうしたのよ……。もしかして、まだ具合が悪いとか? 少し、悪ふざけしすぎたかしら……?」
「あぁ……委員長、大丈夫。ちょっと『面倒くさい俺には、面倒くさい委員長がちょうどいいのかもなぁ……』って、考えていただけだから」
「なんか、心配して損したわ……」
(フン、面倒くさい彼女で悪かったわね……? そもそも、安藤くんのような面倒くさい男と付き合える女なんてわたしくらいなんだから、感謝してほしいわね……)
(まぁ、俺もたいがい面倒くさい男だけど……。そもそも、委員長のような面倒くさい女の子と付き合える男も俺くらいだろうし、逆に感謝されてもいいのでは……?)
「てか、委員長のくれたチョコ市販のチョコじゃん」
「……なによ。もしかして、安藤くんは『可愛い彼女が一生懸命作ってくれた手作りチョコ』とかを期待しちゃうタイプだったのかしら……?」
(別に、チョコが市販のやつなのは、わたしが手作りに自信がなかったとかじゃないわよ……? ほ、本当なんだから……ふ、フン!)
「いや、別にそういうわけじゃないけどさ……ただ、この市販のチョコって結構高いチョコなんじゃないの?」
(てっきり、委員長のことだからバレンタインチョコと言っても『●ッキ―』や『タケノコの●』みたいな安い市販のお菓子を買ってくるかと思ったんだけど……このチョコはラッピングといい、箱のデザインといい、明らかに千円以上はしそうなんだけど……?
もしかして、委員長って思っている以上に俺のことが好き――)
「クフフ……安藤くん。ホワイトデーのお返しって『何倍返し』か知っているかしら?」
(違ったぁあああああああああああああああああああ! これ、タチの悪いバレンタインの押し売りだぁあああああああああああああああ!)
「え、えっと……三倍くらい……?」
「クフフ……、トゴ(十日でチョコ五倍の金利)よ♪」
(俺の彼女、どこの悪徳金融機関だよ!?)
「クーリングオフします!」
「どこの世界に彼女の本命チョコをクーリングオフする彼氏がいるのよ! 貴方、失礼じゃないの!?」
「この世界に彼氏への本命チョコを闇金の金利替わりにする彼女がいるからだよ!」
(あぁ~、もうホントこいつ嫌だ! 何で俺、委員長に告白なんてしちゃったんだろ……。でも、なんだかんだで付き合ってもう長いんだよなぁ……。いや! もう、別れる! 決めたね! 俺、この風邪が治ったら委員長と絶対に別れてやるからな!
……でも、チョコはもらいますけどね!?)
「クフフ……だって、ホワイトデーなら安藤くんも流石にケチれないでしょう? だから、あえて高級チョコをプレゼントすることで、ホワイトデーのお返しのハードルを上げているのよ♪」
「バレンタインなのになんて甘くない理由なんだ……」
(まぁ、これも高級チョコを渡すのが恥ずかしい委員長の照れ隠しだと思えば……か、可愛い……か?)
「うっ……ケホスカ、ケホケホ……」
「あ、安藤くん! 大丈夫?」
「あぁ……ちょっと、しゃべりすぎたかな……?」
「そうね。まだ、病み上がりみたいだし無理をさせてもあれだから、わたしはこれで帰るとするわ」
(今日一日、学校に安藤くんがいなかった所為でつい喋りすぎちゃったかしらね……。彼が早く元気になるためにもここは帰ると――)
「……え『委員長の
「バレンタインの本命チョコあげたでしょう!? それで、我慢しなさいよ!」
(貴方、本当に病気なのよね!? ちょっと、元気すぎじゃないの……?)
「えぇーっ!? 一番叶えてほしいお願いを聞いてあげるって言ったじゃーん!」
「それだけ、騒ぐ元気があれば大丈夫ね? もう、わたしは帰るわよ」
「委員長のケチ―!」
「はぁ……」
(……まったく、仕方ないわね)
「…………そっちのお願いは風邪が治ったらね?」
「へ……い、委員長?」
「お、お大事に!」
バタン! ← 委員長がドアから出ていく音
(そ、それって――)
「メロンパンのことかぁあああああああああああああああああ!」
「お兄ちゃん、うるさい!」 バタン!
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ♪
わたしのメインルートが来るって予想できた人はいたかしら? クフフ……♪
さーて、次回の『何故かの』は?」
次回 時間があれば「本編」 無かったら「SS」になります よろしくお願いします!
「じゃあ、じゃんけんを始めるわよ? 出す手は決まった? チョコはもらえた? もちろん、私は決めたわ。いくわよ……あ、そうだわ。今回はバレンタインだから、今年も【チョコ】に因んで【チョキ】を出すかもしれないわねぇ~? もし、私が【チョコ】に因んで【チョキ】を出した場合……【パー】以外は受け取ったって言えるのかしら? 【グー】や【チョキ】で受け取るって失礼よねぇ~?
皆、良いかしら? じゃあ、行くわよ…………ペタペタぺたりん♪ じゃん・けん・ポン♪」
1個かな?
2個かも?
3個じゃない?
0個だったりして……
本当にいらないの……?
【チョキ】
「もちろん義理だからね? ハッピーバレンタイン♪」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます