第272話「修行の成果」
「ふ~ん……それで、お兄ちゃんのクラスは『メイド喫茶』をやることになったんだね」
「そう! 実に仕方なく……これもすべて山田って奴のせいなんだ……っ!」
「妹ちゃん♪ しかも、これはただのメイド喫茶じゃないのよ! その名も完璧和風猫耳メイド喫茶なのよ!」 スカーン!
「そうなんですね! 私、サクラお義姉ちゃんのメイド服姿を見るの楽しみです♪」
「あら、そう? ウフフ、ありがとうね。妹ちゃん♪」
(そう! 安藤くんが完璧な私にふさわしい完璧なメイド服をコンセプトにした新時代の完璧メイド喫茶よ!)
(う~ん、これはお兄ちゃん……家に帰ったら
「それにしても、久しぶりに食堂を利用したけど……やっぱり、混んでるなぁ……」
(珍しく妹が『サクラお義姉ちゃんと一緒にお昼したい!』って、ワガママを言うから、朝倉さんと食堂に来たけど……すごい混みようだな)
「安藤くん、そうね。お昼休みだから、仕方ないけど……これだと席の確保も難しいかしら?」
「サクラお義姉ちゃん、お兄ちゃん! こっちの席がちょうど空いたよ~!」
「おぉ~、妹よ。でかした! 褒めて使わすぞ」
「ははぁ~、お兄ちゃんごとき、もったいなきお言葉でございます」
「……おい、妹よ。ノッてくれるのは良いんだけどさ? 恐縮したフリしてお兄ちゃんを扱き下ろすの止めてくれないかな……?」
(まさか、実の妹が敬語でここまでディスってこれるポテンシャルの高さにお兄ちゃん、脱帽だよ……)
「それにしても、お前何で急に朝倉さんと一緒に食いたいなんて言い出したんだよ?」
「ぶぅ~! だって、お兄ちゃんてば、いつもサクラお義姉ちゃんとお昼一緒に食べてるんでしょ? 私だってサクラお義姉ちゃんと一緒に食べたいのにお兄ちゃんだけサクラお義姉ちゃんを独り占めするのずるいじゃん!
それに、お昼休み教室とか探しても見つからないし……お兄ちゃんってば、サクラお義姉ちゃんといつも何処で食べてるの?」
「あぁ、そうか……妹には言ってなかったけ? 俺と朝倉さん、生徒会に入ってからメシは生徒会室で食べてるんだよ」
「何それ……生徒会室を勝手に使ったりして、石田先輩とかに怒られないの?」
「妹よ。何言ってんだ? 石田や藤林さんも生徒会室で食っているぞ?」
「前々から思っていたけど、この学校の生徒会ってなんか少しズレているよね!?」
「そう言われてもなぁ……」
(だって、俺と朝倉さんに生徒会室を使っていいって進めてくれたの藤林さんなんだよな。まぁ、石田は嫌な顔していたが……でも、生徒会では朝倉さんと藤林さんの
「じゃあ、席も確保できたし何か食べるの買ってくるか……」
「安藤くん! その必要はないわ!」
「え、朝倉さん。それはどういうこと?」
「実は今日ね。私、安藤くんにお弁当を作ってきたの!」
「えぇええ!? 朝倉さんがお弁当を!?」
(ムフフン! ついに、私の修行の成果を見せる時が来たようね! すべてはこの日のために……安藤くんに手作りのお弁当を作りたい! でも、今まではお弁当を作りたくても、安藤くんが地味に私よりも料理が上手いせいで……
『え、朝倉さんの料理の腕、レベル低すぎ……っ!? まぁ、お可愛いこと……』
――って、思われたらどうしようと思って今までお弁当を作れなかったのよぉぉおおおおおおおおおおお!
そこで、私は考えたわ! レベルが低いなら上げていけばいいのよ! ほら『最下位シェフから最強まで成り上がる ~一番のチートは努力でした~』ってラノベもあるくらいだし、時代は努力チートなのよ!
ウフフ……実はひそかに安藤くんに隠れながら、妹ちゃんに料理を教えてもらっていたのよね♪ それで、この前ついに! 妹ちゃんからも……
『サクラお義姉ちゃん、すでにお兄ちゃんよりも料理上手になったと思いますよ? だって、お兄ちゃんって基本的にめんどくさがりだから、凝った料理とか作りませんからね。だから、ちょっと手の込んだ料理を作れば楽勝ですよ♪』
――って、お墨付きももらったんだから!)
「朝倉さん、ありがとう……。なんか、照れちゃうね?」
「ウフフ、いいのよ。だって……私が作りたくて作ってきたんだから♪」
(にゃふふ~、お兄ちゃんてば、驚いてる、驚いてる~♪ サクラお義姉ちゃんがどんなお弁当を作って来たかは知らないけど、アドバイスはしたから大丈夫だよね。それに、お料理の練習を見てる感じそこまで料理ができないというわけでもないし……むしろ、サクラお義姉ちゃんって基本スペックが高いからメキメキ料理の腕上達してたもんね。
無理言ってお昼を一緒にしたのも、実はサクラお義姉ちゃんがどんなお弁当を作ってきたのか興味があったからなんだよね~♪)
(((((はぁあああああああああああああ!? 学校一の美少女の手作り弁当だと!? 生徒会長! ぼっちの癖に見せつけてんじゃねーぞ! 辞任しろ!)))) ← 食堂の生徒達
「でも、朝倉さん。何で急にお弁当を作ってくれたの……?」
(付き合ってから、そこそこ経つけど……お弁当を作ってくれたのって初めてだよな? 今までは普通にコンビニとか学食で食べてたし……)
「ほへぇ!? そ、それは――、
あれよ! 生徒会で藤林さんがいつも石田くんに手作り弁当を作ってあげているじゃない? あ、あれが……そう! 羨ましかったのよ!」
「あぁ、そういえばあいつらいつも生徒会室で隠れてイチャイチャしてるからねぇ……」
(((((はぁあああああああああああああ!? 副会長も手作り弁当だと!? しかも、生徒会室で隠れてイチャイチャしてるだとぉおおお!
ふざけんな! ついでに、副会長も辞任しろ!)))) ← 食堂の生徒達
(まぁ、石田と藤林さんはイチャついてる自覚はないだろうけど……
『石田くん、はい。今日のお弁当……だよ』
『藤林、毎日すまないな……む? おい、藤林! ピーマンが入っているじゃないか!? これはどういうっことだ! 僕がピーマン食べられないのを知っているだろ!』
『もう……石田くんったらメッ……だよ? それに、これはピーマンのお肉詰めだから、美味しいの! ほら、食べなきゃダメ……だよ? だよ? はい、あーん……しよ?』
『おい、こら! 藤林、止めるんだ! その
『エヘヘ……安藤くん、ありがとう♪ 石田くん、これで逃げられない……よね?
はい、あーん』
『やあ、やめろぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!』
――あの光景はイチャ付いている以外のなにものでもないんだよなぁ……。さては、朝倉さんもそれに毒されたのかな?)
「それで、朝倉さんはどんなお弁当を作ってくれたの?」
「フフン、私は考えたわ! 安藤くんならきっと、どんなお弁当を作ってもきっと『朝倉さん、美味しいよ! そして、完璧だよ! 美少女だよ!』って言うと思うのよね……。でも、お弁当を作るのなら本当に安藤くんが喜んでくれるものを作りたいと思ったの!
だから、安藤くんが何が好きで何なら本当に喜んでくれるか考えた結果……。
作ったお弁当がこれよ!」
「こ、これは……水筒?」
(それにしては少しデカめの水筒だな)
「ムフフン! 安藤くん。まぁ、見てなさい! まず、ここに食堂から生徒会の権限を利用して借りたどんぶりを置くわね。そして、こっちのタッパーから特製の乾燥太麺を入れて水筒の中の豚骨醤油ベースの特製スープを注いでから……別のタッパーに入れた味玉、海苔、チャーシュー、ほうれん草を乗せて、最後に魚粉を上からまぶせば……はい!
安藤くんの大好きな完璧美少女特製! 家系ラーメン弁当の完成よ!」 スカーン!
(((((す、すげぇぇええええええええええええええええええええええええええええ!?
けど……お、お弁当って何だろう……?)))) ← 食堂の生徒達
(あちゃ~、サクラお義姉ちゃん。料理の腕……上達しすぎです……)
「朝倉さん、すごいよ! まさか、学校で本格的な家系ラーメンが食べれるなんて!」
「ウフフ、前に安藤くんが『学食のラーメンって、本格的なラーメン屋さんのラーメンじゃないよね……。普通にインスタントの味っていうか?』って言っていたのを思い出して、頑張ってスープから作ってみた甲斐があったわ♪」 スカーン!
(まぁ、お兄ちゃんが喜んでいるから……いいかにゃ?)
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ♪
次回予告のタイトルが嘘じゃなかったのって、すごい久しぶりじゃないかしら……? まぁ、そんなことは置いといて……
さーて、次回の『何故かの』は?」
次回『何故かの』特別編「バレンタイン」 よろしくお願いします!
「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ。出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ?
ペタペタ・ペタりん♪ じゃん・けん・ポン♪」
【グー!】
「皆のコメント、評価、待ってるわね♪」
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