第271話「揺れるメイDF服」


「文化祭までは準備期間も短いし、準備に時間のかからない展示がオススメだって、わたしは言ったわよね!? なのに、これはどういうことなのよ!」



1位『展示じゃなくて、メイド喫茶やろうぜ!』 14票



「はいはいはいはぁああああああああああああああい! その案を出したのは……俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だぁああああああああああああ!

 なぁ、皆! 展示とかつまんねぇことよりメイド喫茶やろうぜ!」

「山田ぁああああああああああああ! 貴方、そこまで言うのならもちろん、準備もちゃんとやるんでしょうね……?」

「は? 何言ってんだよ! そういうのは委員長の仕事だろ?」

「ふざけんじゃないわよぉおおおおおおおおおおお!」


(哀れ、委員長……もう、本当にそういう星の元に生まれたとしか思えない役回りだな)


「安藤くん、この投票結果どうなるのかしら……?」

「朝倉さん、そうだね。今からメイド喫茶をやるとか準備の時間を考えたら結構ギリギリだし……本当なら委員長の言う通り展示系にするのが無難だけど……」


(でも、あの投票数からして俺以外の男子が全員『メイド喫茶』に投票してるんだよなぁ……。多分、山田アホに他の男子アホが釣られただけだろうから、趣旨違いで却下にはできるだろうが――、


 果たして本当にそれでいいのだろうか……?


 いや、だってさ。もし、もしも、この案が通ればダヨ? 朝倉さんや、桃井さんに委員長とか……クラスの女子に合法的な手段でメイド服を着せることが……できる!

 なるほど……そりゃ、クラスの男子が全員投票するはずだよなぁ……。まぁ、俺の場合、朝倉さんに限っては頼めばメイドだろうがチャイナだろうがサンタだろうが着てくれそうな気はするけど……でも、ぼっちの俺にそんな大それたことをお願いする度胸なんて存在しない!

 それに、もしこのメイド喫茶をさりげなく押し通すことができれば主犯は山田ということにできるし、自然な流れで朝倉さんのメイド服姿を見れ、おまけに委員長や桃井さんの揺れるメイDFドゥフゥー服までもが見れる……っ!

 しかし、問題はどうやって流れをメイド喫茶にするかだが――)


「とにかく、メイド喫茶は却下で投票の仕切り直しをするわよ!」


「「「えぇえええええええええええ!」」」


「メイド喫茶か……でも、俺は朝倉さんのメイド服も少し見てみたい気がするかな? なんちゃってね」

「ヒョヘ!? あ、安藤くんそれって――」


(安藤くんが私のメイド服を見たいですって!? メイドさんってラノベでもよく出てくるご主人様にご奉仕して敵と戦える完璧美少女のことよね……ハッ! それって私と同じってことじゃない! ムフフ、なるほどね! つまり、安藤くんは完璧美少女の私にはメイド服が似合うから着てほしいって遠回しに伝えているのね! で、でも、それって……メイドさんはご主人様にご奉仕するお仕事だから……完璧美少女の私がメイドさんになって安藤くんご主人様にご奉仕してほしいって意味だったりして……ムキャァアアアアアアアア~ッ!

 でも、安藤くんのためなら――ッ!)


「委員長、私もメイド喫茶に一票を入れるわ!」 スカァアアーンッ!

「……へ? って、えぇえええええええええ! あ、朝倉さん……貴方まで何を言っているのかしら?」


「委員長、私は気づいたのよ! 文化祭の出し物って効率とか準備が簡単なんて理由で選んだからダメだって! だって、これは誰のための文化祭の出し物なのかしら? それはきっと、私達『学生のため』の文化祭なのよ! だから、楽な出し物をするんじゃなくて、私達『在校生』と文化祭に来てくれる来年入学してくれるかもしれない『新入生』の両方が楽しめる『出し物』を選ぶことが重要なんじゃないかしら!」


「流石は朝倉さん! 俺、感動したよ! そうだよね! やっぱり、一年に一度の文化祭なんだから皆が楽しめる内容をやるべきなんじゃないかな! だって、ただ展示するよりも、皆でお店をやる方が『(メイドさんが揺れて)楽しそう』じゃないか! 大丈夫、準備期間が無くても皆で力を合わせて生徒会の権限でゴリ押せばなんとかなるって!」


「「「うぉおおおおおおおおおおおおおお!」」」


「流石は朝倉さん! そうだよね! なんか、山田の意見だからあれだと思ってたけど、メイド喫茶って楽しそうじゃない?」

「私、メイド服ってちょっと興味あるかも……」

「おい、安藤が珍しく良いことを言ったぞ!」

「生徒会がバックにつくなら準備もなんとかなるんじゃねぇのか!?」


「ちょ、ちょっと! 皆、まずは落ち着いて……」


(クッ! なんで急に朝倉さんが意見を翻したのかと思ったら……安藤くん! すべては貴方の所為ね!) ← アイコンタクトです


(はて……なんのことでしょう? 委員長、俺はただ愛する彼女にほんの少し本音をつぶやいただけですよ?) ← アイコンタクトです


「アハハー、なかなか面白そうな流れになって来たねー♪」

「桃井さん! 桃井さんはこのメイド喫茶って案はどう思うかしら……? 桃井さんは『一番美味しい果物』のテーマが良いと思っているよね!?」


(くっ! この状況を変えられるのは……もう、桃井さんしかいないわ! 桃井さんだって自分が考えたテーマの方がいいはずだし、桃井さんがわたしに味方してくれればクラスの女子もつられてメイド反対派になるはずよ!)


(さーて、これはどうしようかなー? 安藤くんの狙いは何となくわかるけど……でも、これって、サクラだけじゃなくて、あたし達のメイド服にも興味あるってことだよねー?

 だったら……少しは協力してあげてもいいかもねー♪)


「そうだねー。うん、メイド喫茶良いんじゃないかなー? 実は、あたしもメイド服って一度は着てみたかったんだよねー♪」


(――って、何で桃井さんもそっち側に付くのよぉおおおおおおお!)


「あの、桃井さんが言うなら……私も賛成かな」

「確かにメイド服ってこんな理由がないと着ないしね」

「ちょっといいかも!」


(えへへー、安藤くん。これは一つ貸しだからねー♪) ← 恒例のアイコンタクトです


(……はて、桃井さん? 貸しとは一体なんのこと――)


「サークーラ~♪ 安藤くんが見たいメイド服って実はね――」

「うわぁああああああああああ! そ、そう! 実は、俺が見たいメイド服ってただのメイド服じゃなくて……わ、和風猫耳メイド服が見たいんだ! やっぱり、清楚な朝倉さんには洋風のありきたりなメイド服じゃなくて和風が似合うと思うし! それに、猫耳を加えたメイド服の朝倉さんはきっと、最高に似合うと思うんだよね!」

「ひょへ!? そ、そう……かしら? じゃあ、安藤くんがそこまで言うのなら――、

 そ、その……『和風猫耳メイド服』着てみようかしら♪」

「う、うん……本当に? ありがとう、朝倉さん!」


(桃……井……さんんんっ!!! 分かりました! 分かりましたから! 貸しでいいです! いや『貸し』にさせてください! だから、どうかむやみにウチの『魔王グレムリン』を呼び起こそうとするのは止めてくれませんかねぇえ!?)


(エヘヘ~、安藤くん……言質アイコンタクト取ったからねー♪)





「――というわけで……先生! 皆で話し合った結果、ウチのクラスの出し物は『和風猫耳メイド喫茶』になりました」

「……委員長。確かに『任せる』とは言ったがなぁ……。

 まぁ、いいか……」





【次回予告】


「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ♪

 さーて、次回の『何故かの』は?」


次回「修行の成果」 よろしくお願いします!


「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ。出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ? 

 ペタペタ・ペタりん♪  じゃん・けん・ポン♪」 



 チョキかな?



    パーかも?



グーじゃない?




         チョキーだったりして……

















 本当はチョキ~~を出してくるかもしれないわよ……?


















【パァー!】


「皆のコメント、評価、待ってるわね♪」

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