第270話「一番美味しいテーマ」

「一番美味しいテーマ」


「今日のHRは文化祭でやるクラスの出し物を決めるわよ」


「…………」


(このクラスって、一応とは言え生徒会長の俺や学校一の美少女の朝倉さんがいるにもかかわらず、こういうHRの進行となると自然に委員長が仕切っているのは何でだろう?)


「委員長ってだけで自然と仕切り役になる……そういう星の元に生まれたのだろうか?」

「安藤くん。何で貴方が急にアホなことを言いだしたかは深くツッコミはしないけど……このHRをわたしが仕切っている理由は単純に、わたしが文化祭委員だからよ?」


(でも、だからと言って『じゃあ、HRはクラスの出し物決めに時間使っていいから……委員長、あとは任せたわ……』って、去っていく先生もどうかと思うけどね!)


「まぁ、出し物と言っても文化祭までは準備期間も短いし、おすすめは準備に時間のかからない展示系よ。内容としては学校見学に来た来年受験する外部の生徒向けにウチの高校の魅力を伝えられるような『テーマ』で展示内容のアイデアを考えてくれるかしら?」


「「「はーい、委員長」」」


「――って、わけだけど……朝倉さんは何か『テーマ』になるようなアイディアある?」


「『安藤くん』とかどうかしら!」 スカーン!


「…………」


(俺の彼女は一体何を言っているのだろう……?)


「朝倉さん? それは一体どんな展示内容になるのかな……?」

「もちろん! 安藤くんが誕生してから、転生伝冥皇編を乗り越えて、この学校の生徒会を支配し、第七部が終了するところまでよ!」

「朝倉さん!? それは一体どんな展示内容になるのかな!?」


(一体、朝倉さんの中で、俺は第七部までの長きにわたる戦いをいつ乗り越えたことになっているのだろう……。てか、それ一回転生もしているよね……?)


「朝倉さん、できればもっと普通のテーマは無いかな……?」

「そうね……じゃあ、せめて私と安藤くんが出会ってからの日々をフォトアルバム風にまとめて展示するとかどうかしら?」

「これクラスの展示内容の話だよね!? 展示テーマの私物化が半端ないんだけど!」


(……てか、クラスメイトに自分達の思い出アルバムを作らせる展示内容とか誰も幸せにならないんじゃないだろうか……?)


「朝倉さん、そういう個人的なのじゃなくて……もっと広いテーマのアイディアはないかな? 例えば『なんとかの歴史』みたいなのとか?」

「うーん、なら『ネット小説の歴史』とかどうかしら!」

「なるほど、確かにネット小説も歴史をたどれば『携帯小説』から小説投稿サイトが現れたりと時代の流れも激しいもんね……」

「それに小説投稿サイトと言えば有名なのはK●DOKAWAが提供する『カクヨム』もあるわよ!」

「特に有名な小説投稿サイトっていえばやっぱり『なろう』だよね!」

「安藤くん!?」


(しかし、いざこれをテーマにしようとしても皆が『ネット小説』に興味あるわけじゃないから採用は厳しいかもな……でも、朝倉さんが俺をテーマにして惚気を暴走させるよりはマシだな)


「やっほー! 安藤くん、サクラ♪ ねぇねぇ、展示テーマ考えたー?」

「桃井さん!」

「モモ! ええ、私達は『ネット小説の歴史』とかを考えていたところよ!」

「ほほう『ネット小説の歴史』かー……うん、サクラと安藤くんらしいテーマだねー♪」

「桃井さんも何か考えたの?」

「うん、安藤くん。あたしは『美味しい果物』とかどうかなーって思うんだ!」

「へぇー、モモ。面白そうなテーマね♪」

「サクラ、そうでしょー! えへへ~、展示だからいろんな果物を買って実際に試食とかしても面白そうだと思うんだよねー♪」

「『美味しい果物』……うん、確かに桃井さんが考えそうなテーマだね」

「むぅー? 安藤くん、それはどういう意味なのかなー?」

「あはは……と、とくに深い意味はナイヨ?」


(いや、だって、桃井さんって普通に食いしん坊キャラだよね? とか言ったら絶対に怒られる奴だなこれ……)


「因みに、サクラは『一番美味しい果物』って何だと思う?」

「そうね……。私は『イチゴ』かしら?」 スカーン ← 特に意味はない擬音です

「そうかー、あたしは『メロン』だと思うんだよねー」 メローン ← 特に意味はない擬音です

「…………」


(なるほど……確かに、美味しそうなメロンだもんな……)


「ええー? モモ『イチゴ』の方が美味しいわよ」

「いやいや、サクラ『メロン』の方が美味しいよー」


「「ねぇ、安藤くん! 『イチゴ』と『メロン』どっちの方が美味しいと思う?」」


「へっ!? おお、俺は――もちろん、朝倉さん! そう、朝倉さんと同じ『イチゴ』の方が美味しいと思いますヨ……?」


(別にやましい気持ちなんて……イチゴの種ほどにもないんだからね!)


「ほら、モモ! 安藤くんだって『イチゴ派』なのよ!」 スカン!  ← 特に意味はない擬音です

「ぶぅー! なんか、釈然としない回答な気がするなー?」 メローン?  ← だから、特に意味はない擬音だって!


「様子を見に来てみたら……貴方達、なんて中身のない議論しているのよ……」

「大丈夫! 俺は委員長のも十分に立派だと思うぞ!」


「安藤くん……ミックスジュースにしてあげようかしら朝倉さんに告げ口するわよ?」

調子に乗ってすみませんでしたそれだけは勘弁してください!」


「まぁ、いいけど……安藤くん、そろそろ展示テーマの集計をするからくだらない議論はそれまでにしてね?」

「了解。ところで、委員長? 展示テーマってどうやって決めるつもりなんだ?」

「普通に皆が考えた案を黒板に書き写して、その中からクラスメイトの投票で決めるつもりよ。今回ウチのクラスは展示だけの予定だし、そんなに時間もかからないで決まるでしょう?」

「まぁ、そうだよな」


(じゃあ、無難に展示が楽なテーマとかに決まりそうだな。特に桃井さんのテーマは女子ウケもよさそうだし、よほど変な案が出なければそれが有力候補だろう)


 十分後


「――というわけで、皆のアイディアの中からやりたい展示テーマを投票で決めてみたわけだけど……」


【投票結果】


4位『ネット小説の歴史』 2票


3位『暗黒生徒会の実態』 6票


2位『一番美味しい果物』 8票




1位『展示じゃなくて、メイド喫茶やろうぜ!』 14票




「何で一つだけ『展示のテーマ』じゃないのよ! しかも、投票結果一位って嘘でしょう!?」






【次回予告】


「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ♪


 いつも『何故かの』を応援してくれてる皆にだけ、少し早いけど今日は【お知らせ】があるわよ♪

 そのお知らせとは――」



【何故か学校一の美少女が休み時間の度に、ぼっちの俺に話しかけてくるんだが?】

 第2巻  3月25日 発売予定!



「クフフ……待たせたわね? ついに『何故かの』2巻の発売日が決定したわよ!

 2巻の内容はweb版でも大人気の第二部の内容に加え書下ろし+『なろう版』にしかなかったあの話も収録されているわ。もちろん、皆が期待している挿絵や1巻のような漫画も期待していいわよ♪

 表紙や店舗特典なども情報も解禁されしだいカクヨムやツイッターで報告するからチェックよろしくね?


 え、発売日まで待ちきれないですって……? じゃあ、そんな皆に一つクイズを出してあげるわ。


【問題】

『何故かの』2巻の表紙を飾るキャラは誰でしょう?


 皆の予想をコメント欄に書いてね。正解した読者の人には……クフフ、何か良いことがあるかもしれないわね♪


 さーて、次回の『何故かの』は?」


次回「メイド喫茶やろうぜ!」 よろしくお願いします!


「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ。出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ? 

 ペタペタ・ペタりん♪  じゃん・けん・ポン♪」 



 グーかな?



    チョキかも?



パーじゃない?




         チョキだったりして……

















 2巻の表紙をかざるのは、委員長のわたしかもしれないわよ……?


















【グー!】


「皆のコメント、評価、待ってるわね♪」


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