第269話「忠告」



「おい、安藤……お前、何で呼び出されたかわかるよな?」

「はて……先生、なんのことですかね?」


(ミスコンの問題も解決したと思ったら、翌日に担任の先生に俺だけ呼び出されたんだが……どうしよう。心当たりが多すぎる!)


「はぁ……まったく大したことにネタは上がってないんだよ。でも、お前のことだ……。

 ミスコンって言えば分るよな?」

「ああ、先日無事に参加者も決まって問題なく文化祭の開催もできそうですね! そ、それがどうかしましたかねぇ……」

「安藤、お前……やってんな?」

「…………」


(アウトォオオオオオオオオオオオオオオオ! ウチの担任、これ確実に今回のミスコンで俺がやったことに検討ついてるじゃん! ど、どうしよう……とりあえず、山田のせいにして誤魔化すか……?)


「はぁ……安藤、別に俺はお前のやったことを責めようってわけじゃない。そもそも、責めようとしてもお前はしらばっくれるだろうし、証拠もないもんだからな。それに、ミスコンが無事に開催されるならそれにこしたことはない」


(しかも、めんどくせぇことにこいつの生徒会の活動実績は意外と馬鹿にできないのが現状なんだよなぁ……生徒達から苦情が来ることはあっても今のところ目立った不祥事も問題もない……それどころか、トイレやエアコンなのどの学校設備の改革、例年負けていた合同体育祭での勝利、など……)


「つまり、このまま下手をすれば……学校はお前に推薦を出さなきゃいけなくなる可能性もあるわけだ……」

「え……せ、先生!」

「しかし……安藤、それはあくまでも『上手くいけば』の話だ」

「えっと……つまり?」


(それは、もしかすると――)


「今回の件は俺の胸の中にだけに閉まっておいてやる……。でも、もしこのミスコンを失敗させて来年の入学希望者数が減るようなことがあれば――、

 お前の推薦は消えると思っておけよ?」




「――ってな、感じで先生に忠告されたよ。朝倉さん」

「まさに、首に死神のカマを当てられた状態ね。安藤くん……」

「まぁ、ミスコンの準備もあれ以来特に問題はないから大丈夫だとは思うんだけどね」

「安藤くん、ここが『なろう』だったら、それは死亡フラグよ……」

「朝倉さん、縁起でもないならやめて! それに、ここは『なろう』の世界じゃないから大丈夫!」

「ウフフ、冗談よ。安藤くん」

「いやいや、朝倉さん。その冗談はマジで怖いからね」


(一応、先生に釘を刺された話は石田に聞かせたくなかったから、朝倉さんの部屋でこっそり話すことにしたけど、最近生徒会が忙しくて朝倉さんの部屋に来ることが少なくなってた所為か今日は朝倉さんのテンションが高い――)


 コンコン……


「あら、ママかしら?」

「お茶でも持ってきてくれたのかもね」


「カチ……コミ……いざ――出・陣……っ!」 バン!


(安藤くぅ~~ん♪♪♪ ひ・さ・し・ぶ・り! だね☆ ヤッホォ~パパだよ!!! もう、久しぶりに安藤くんが家に来たっていうから、パパってば急いで帰ってきちゃったんだからね♪)


「パパ! その様子だと、お仕事が偶然早く終わって帰って来たのね!」

「あ……お久しぶりです。なんか、いきなり来てすみません……」


(なんだ……ヤ●ザのカ●コミかと思ったら、朝倉さんのお父さんか……)


「これ……狩って……きた……っ!」


(あ! そうだぁ~♪ これ、帰る途中で買ってきたマカロンだよ☆ なんか、小っちゃくて可愛いし安藤くんと娘も喜んでくれるかと思ったんだぁ~! パパとママ達の分はわけてあるから遠慮なく食べてね♪)


「え、パパ! このマカロン、お友達からのおすそ分けなの? わぁ~、とっても可愛いお菓子だわ! 安藤くん、いただきましょうか♪」

「朝倉さん、そうだね……。えっと、お父さん……なんか、すみません……」


(いやいや、待て待て……なんか、さっきから朝倉さんとお父さんの会話がかみ合わない気もするけど、俺のヒアリングが間違っている可能性もあるもんな……。そうだ! だって、朝倉さんとお父さんは実の家族なんだから……)


「血が……タギル……」


(あれれ~? なんか、この部屋少し暖房利かせ過ぎじゃないかな? それとも、パパが急いで帰って来たから熱く感じるだけかもね♪)


「え、パパ! 喉が渇いたの? ママ―!」

「あらあら、ウフフ……♪ 貴方、呼ばれなくても分かっていますよ? はい、温かいお茶ですよ♪」

「い、イタダキマス……」 ゴクゴク……

「流石はママ! パパのことならなんでも分かるのね!」

「あらら、ウフフ……当然よ♪」

「…………」


(よし、深く考えるのはよそう……)


「安藤くん、今日は何時まで家にいられるのかしら? 九時? 十時? それとも……七時とかかしら?」

「うん、朝倉さん……? 何でその選択肢の順番で、七時を最後に持ってきたのかな? もしかして、最後の七時の選択肢って、明日の朝の時間じゃないよね?」

「あらら……安藤くん。心配しなくても部屋なら娘の部屋を一緒に使ってもらっても、私は大丈夫よ? ウフフ♪」

「それ全然大丈夫じゃないですよね!?」

「もう、ママってば! 何言っているのよ……キャ♪」

「ニガ……サナイ!」


(えぇ~、安藤くんってば帰っちゃうのぉ? パパもう少し安藤くんとお話ししたいな~? そうだ! 安藤くん、今日はウチに泊まっちゃいなよ♪ 娘と一緒の部屋が恥ずかしいなら……パパの部屋で一緒に寝る? キャ! なんてね……? ヘテテ♪)


(それだけは絶対に嫌だぁあああああああああああああああああ!

 入る者は拒まず、去る者は家族総出で引き留める……朝倉さんの家は一体どこのモンスターハウスなのかな?)


「朝倉さん、ゴメン。俺、そろそろ……」

「安藤くん、本当に帰っちゃうの……?」


(ぐぅぅう! 朝倉さん、その上目遣いは反則だよ……)


「でも、本当に帰らないと妹の奴が――」

「あん……だと……!?」 ゴゴゴゴゴッ!


(ふぇええ! 安藤くん、本当に帰っちゃうのぉ……? パパ、せっかく早く返ってきたのに悲しいなぁ……)


(ひぃいい! お父さん、その上目遣いメンチは反則だよぉ……)


「あらあら、せっかく安藤くんの分も晩御飯を用意したのに無駄になっちゃうわね……?」

「ぐっ……」


(そして、朝倉さんのお母さん……それはもっと反則ですって……)


「じゃ、じゃあ、ごはんだけごちそうになります……」

「安藤くん、本当!」

「……っ!?」


(え、本当! 安藤くん、ウチでごはん食べて行ってくれるの? わーい! やったー!)


「そうだわ! 安藤くん、ついでだし、妹さんもウチに呼んだからどうかしら?」

「あらら、良いわね~♪ 夕食の準備が一人増えるのも二人増えるのも変わらないし、どうかしらパパ?」

「泊まら……ないか?」


(パパも大賛成だよ♪)


「えっと……じゃあ、朝倉さん達が迷惑でなければ……」

「ええ、是非♪」

「あらあら、もちろん妹さんと一緒に泊まっていってもいいのよ? ウフフ……♪」

「あはは……」


(やべぇ……これはもう、逃げられないパターンだな……)



 この日……結局、安藤くんは朝倉さんの家に泊まった。





【次回予告】


「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ♪

 久しぶりの『何故かの』はどうだったかしら? この作品の作者ってば予防注射もNGを食らうようなクソ雑魚免疫力しかないから、しょっちゅう体調壊すのよね。

だから、ツイッター(@dexiai )のフォローお願いね?

 今フォローしたら2巻のお知らせも最速でゲットできるかもしれないわよ……?

 

 さーて、次回の『何故かの』は?」


次回「準備期間と出し物」 よろしくお願いします!


「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ。出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ? 

 ペタペタ・ペタりん♪  じゃん・けん・ポン♪」 



 グーかな?



    グーかも?



グーじゃない?




         パーだったりして……

















 本当にパーを出してくるかもしれないわよ……?


















【グー!】


「皆のコメント、評価、待ってるわね♪」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る