第268話「ミスコンバトルロワイヤル(嘘)」


『ということで……期間中に不参加の申請をしなかった女子生徒はミスコン予選大会のへの参加が決定してまーすぼっち!


「「「「「ふ、ふざけるなぁああああああああああああ!」」」」」


「生徒会長は辞任しろ!」

「生徒会のリコールだ!」

「生徒会解散だー!」

「とってもお怒りなフレンズなんだね♪」

「のんきに言ってるけど、貴方もミスコンにエントリーさせられてるのよ」

「フレンズ!?」


「「「「「生徒会長は辞任しろ! 生徒会のリコールだ!」」」」」


「あのバカが……だから、僕は止めろと言ったんだ!」

「またリコール要求ですかぁ~? センパイってリコール言われるのこれで何回目なんですかねぇ~キャピ?

「さぁ、何回目なんだろう……? 五回目くらいなんじゃないかな?」

「確か……これを含めたら今回が安藤くんの『リコール要求七回目記念日』になるわね♪」


「「「…………」」」


(((何でこの人は数えてるんだろう……)))


「この空気最悪ですけど、センパイってどうやってまとめるつもりなんですかねぇ~?」

「そんなの僕は知らないからな! そもそも、この説明だって、安藤が自分でやると言ったんだ!」

「そうだね……。石田くんが説明すると絶対に皆を怒らせるからって、安藤くんが代わりに説明することになったんだけどね……」


(それなのに、安藤くんが説明しても皆を怒らせてるんだから意味がないよね……)


「皆、大丈夫よ! 安藤くんは『自分に任せて』って言ったのよ。なら、安藤くんを信じましょう!」


「「「朝倉さんセンパイ……」」」


(((恋は盲目って本当なんだなぁ……)))



「「「「「生徒会長は辞任しろ! 生徒会のリコールだ!」」」」」


(まぁ、当然こういう展開になるよなぁ……。だって、いきなりのルール変更にミスコン強制参加だろ? これじゃあ皆のミスコンへの印象は下がるところまで下がりきった……。つまり、あとは上がるだけ――、

 そう、ここで俺は『エサ』を投入する!)


『因みに、ミスコンの賞品として一位になった生徒のいるクラスには、エアコンを冬休み前に設置します』


「「「「「なん……だと!?」」」」」


 スカッ……スカッ! ← 会場がざわめく音


『さらに、予選を突破して本選に参加する生徒のクラスには電気ストーブが導入されます』


「「「「「で、電気ストーブ!?」」」」」


 スカ……スカ……

  スカ……スカ…… ← だから、会場がざわめく音だって!

スカ……スカ……


(効いてる効いてる……。元々、この学校にはエアコンの導入遅すぎ問題があって生徒からの不満が凄かったんだよな。でも、全教室のエアコンを設置するとなると流石に一日二日じゃ終わらないから長期休暇の冬休みやる予定だったんだが……逆に一クラスだけなら一日あればエアコンの設置は余裕なのさ!

 だから、こっそり生徒会室につけようとしていたんだけど……今回はそれをミスコンの景品として優勝した生徒のクラスにエアコンが付く権利にすれば生徒の不満も抑えられるって寸法さ!


 だって、自分のクラスの誰かがミスコンで優勝すれば自分のクラスにエアコンが付く可能性があるんだぞ?


 そして、元々エアコンが付くまでの代わりとして導入予定だったが、予算の都合で全クラス分買えないので廃案予定だった電機ストーブも、ミスコン予選を通過した生徒のクラス分なら用意ができる!

 つまり、生徒達にとってみればこの他人事だったはずのミスコンは、クラスの暖房器具問題を巻き込むことで……


『もしかしたら、自分のクラスにエアコンか電気ストーブがもらえるかもしれない!』


――という飴玉おいしいエサに変わったのさ……)


『あ、でもぉ~……皆がどうしてもミスコンしたくないならぁ~? 俺の権限で今年のミスコン中止にするけどぉ~……どおしますかぁ~ぼっち!


「「「「「是非、参加させてください!」」」」」


(よし、落ちたな……)




「と、いうことで、無事にミスコンの開催が決定しましたー。

はい、拍手~♪ わーパチパチ~」


「ふ、ふざけるなぁあああああ! おい、安藤! 確かにこれでミスコンは開催できるかもしれんが、急に予選をやると言われてもそんな時間は取れないぞ! どうするんだ!?」

「まぁ、まぁ……石田くん落ち着いてね? ね?」

「でもそうよね……。安藤くん、石田くんの言う通り、全校生徒へのミスコンの投票集計とか、予選通過者の発表方法とかは考えているのかしら?」

「そうですよねぇ~。予選が全員参加となると投票の集計だけでも時間がかかりますし、発表でもまた体育館の使用許可とかも取らなきゃないらないですし~キャピ?


「え、皆何言っているの? そんなの集計なんかは適当な箱を生徒会前に設置して全クラスに『紙は何でもいいので投票したい生徒の名前を書いて、生徒会前の投票ボックスに入れてください』って通達すればいいんだよ。集計も馬鹿正直に投票数を掲示するんじゃなくて、明らかに票数が少ないのは数えないで予選通過になる上位五名の名前だけを掲示すればいいしね。

 それに、発表はまた適当にポスターで掲示すればいいでしょ? あくまで予選なんだから、わざわざ体育館を借りて発表する必要なんかないって」


「「「「なんか物凄く大雑把!?」」」」


「それに、これは俺の予想だけど……多分、全体の投票数はそんなに多くならないから集計も楽だと思うよ?」

「安藤くん、それはどういうことかしら?」

「朝倉さん、今回の予選って正直かなり急な発表だよね? そんな急にできた予選投票で誰かが集計を集めるんじゃなく、自主的に投票しに行く形をとってちゃんとすべての生徒が投票してくれると思う?」

「それは……確かに、良くて三分の一の生徒の投票が集まれば良い方ね」

「でしょ? つまり、投票をサボる生徒がいるほど、俺達の集計は楽になるのさ! 投票数を発表しなければ、投票していない生徒がいることもバレないしね」

「で、でも……安藤くん? 投票順位とか投票数が発表されないと不満とかの声も出るんじゃないの……かな? かな?」

「えっと、藤林さん? 自分が参加させられる立場になって考えてほしんだけどさ……。もしも、強制でミスコンに発表させられて、自分が学校中の女子の中で何位で何票だとか発表されたら……嬉しいかな? かな?」


「絶対に嫌だよ!? あ、そうか……私みたいに自分の投票数を発表されたくない人もいるもんね」

「そう、特に今回は誰かの所為でミスコンが全員参加になったから」

「おい、安藤。誰のせいだと思っているんだ!」

「だから、特にそういう『目立ちなくない生徒への配慮(という大義名分)』で投票数とか予選通過者以外の順位は発表しない方がいいと思うんだ」


(その方が集計も発表も楽だしな……)


「なるほど……安藤、君が意外とこのミスコンのシステムをよく考えているのは分かった。しかし、このシステムだと不正などが起きうる可能性があるんじゃないのか?

 君が提示した電気ストーブのクラス贈与を目的としたクラスによるグループ投票や個人が予選に出るため他者の投票に見せかけた自演投票など不正をしようと思えばできるような気もするが……」

「そんなの別にしたければすればいいんじゃないの?」


「「「「はぁあ!?」」」」


「おい、安藤! それはいったいどういうことだ!」

「石田。お前は何か勘違いをしているようだが……今の俺達の目的は清純潔白で綺麗なミスコンの開催じゃなくて、悪魔的に汚い手段で集めた参加者であろうとミスコンを『開催すること』なんだよ。つまり、過程はどうであれミスコンさえ開催できれば問題ない!」

「つまり、さっきの方法での不正による参加がまかり通るということじゃないか!」

「なら、石田。逆に聞くけど……それって普通にミスコンの参加者を集めるのと何が違うんだ? もし、同じようにミスコンの参加者を投票じゃなく自薦か推薦で集めたとしても、クラスによるグループ投票がグループ推薦になるだけだし、自演だする自薦するだけだろ? つまり、結果は同じなんだよ」

「ぐぬぬ……ん? そ、そうなのか……?」


(反論はできないが……何故か安藤の奴に良いように言いくるめられている気が?)


「あっー! なるほど……つまり、センパイが今回考えたミスコンの予選って名前だけで本当は参加ルールはなにも変わってないってことなんですよねぇ~キャピ!

「そこに気づくとは……姉ヶ崎は流石だな」

「え、そうですかぁ~? それほどでもないですよぉ~キャピ!

「いやいや、流石は腹黒いだけあるな……」

「センパイ! その言い方は語弊がありますよぉー!?」


(まったく、アタシはお姉ちゃんに比べたら全然白い方ですよー!)


「えっと……姉ヶ崎さん? 安藤くんの考えたミスコンの予選が名前だけってどういうことかしら?」

「そうだな……姉ヶ崎さん、僕にも教えてくれないか?」

「…………」


(うーん……私はなんとなくだけど、分かったかな? でも、ここで分かったと言ったら腹黒認定されそうだから黙っていた方がいいよね?)


「つまりですね……センパイが考えた予選ってミスコンに出たいけど恥ずかしくて参加できない人が仕方なく参加させられるように見せる『大義名分』なんですよね~キャピ!

「大義名分……ハッ! なるほど、そういうことなのね。流石は安藤くんだわ!」

「何! 朝倉さんは分かったのか?」

「仕方ないなぁ……。いつまでも理解できない石田のために俺がちゃんと教えてやるよ」

「むっ……安藤、いいからどういうことか説明しろ!」

「えっと、えっと……私はまだ分からない……かな? かな?」

「…………」


(いや、藤林さんは絶対に理解しているだろ……)


「まぁ、いいや。つまり、今回の予選って強制参加とは言っているけど、投票自体は強制じゃないんだよ。投票したい奴が投票すればいいって仕組みだから、必然的に票が入る奴はさっき石田が言った自演やクラスのグループ投票と純粋な女子人気票が上位にはいるわけだろ? そこでなんだけど……これって、さっき言った『自薦、推薦』で参加者を集めるのと何か違いあんの?」

「あ……そう言われれば……」


「だから『予選』とは言っているけど名前だけって意味なんだよ。

 これなら手間もかからないし、参加する奴も『投票されたから仕方なく~』とか『クラスのために~』とか言えるだろ?

 因みに、いじめ目的での投票とかは、予選通過者に本選に出るか確認すれば阻止できるしな。意地悪で投票されても本人が本選を辞退すれば予選結果では発表せず次に票数を多い奴を繰り上げれば、問題はないだろ?」


「そ、それなら……確かに問題はなさそうだな」

「なんか、そこまで考えているなら最初からもっとまともな内容で参加者を集めれそうな気もするんですけどねぇ~キャピ?

「ウフフ、追い詰められないと真の力を発揮できないところが安藤くんの魅力よね♪」

「朝倉さん、それは普通にダメな人の特徴じゃないのかな? かな?」


(まぁ、とりあえず……これでミスコンの問題はすべて解決したな!)





【次回予告】


「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ♪

 安藤くん、そろそろ一回くらいは天罰を受けるべきじゃないかしら……?

 さーて、次回の『何故かの』は?」


次回「忠告」 よろしくお願いします!


「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ。出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ? 

 ペタペタ・ペタりん♪  じゃん・けん・ポン♪」 



 パーかな?



    パーかも?



パーじゃない?




         パーだったりして……

















 本当はグーを出してくるかもしれないわよ……?


















【グー!】


「皆のコメント、評価、待ってるわね♪」



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