第267話「ノー・ライアーゲーム」


「女子生徒、全員参加ってどういうこと!?」

「てか、二名を除くってその二名は誰なの!」

「とっても、大騒ぎなフレンズなんだね!?」


「「「生徒会長は事情を説明しろ!」」」


(だよなぁ……。そりゃあ、皆こんな反応するよな? だからこそ、今回の集会は石田じゃなくて、俺が自ら出る羽目になったんだが……まぁ、ここは朝倉さんに言われた通りなるべく穏便に説明するとしますか……)


『あれれぇ~? 事情を説明しろも何も……今回から、ミスコンは全員参加の予選を設けるって説明したはずだけどなぁ~?』


「「「「「そんなの聞いてなぁあああああああああああああああああああああいい!」」」」」


『おかしいぞぉ~? ちゃんと細かいルールまで掲示中のポスターに書いてあるんだけど……皆はポスターを確認していないのかなぁ~?』


「「「「「ぽ、ポスター……?」」」」」


(そう、全ての仕込みはミスコンエントリー締め切りの昨日で終わっていたのさ……)




 数日前、生徒会室


「「「「ミスコンに全員参加の予選を加える!?」」」」

「そう……名付けて『ミスコンの参加者が集まらないのなら、集めなきゃいいじゃない?』 理論だ!」

「「「「どこのマリー●ントワネット!?」」」」

「えっと……でも、安藤くん……それだと参加したくない女子生徒も参加させられるわけだから、かなりの不満が出ると思うのだけど……?」

「朝倉さん、それなら大丈夫だよ。ちゃんと『事前に申請をすれば参加を取り消せる』システムを作ったからね」

「なるほどね。それなら、少しは不満も抑えられるのかしら……?」

「あ、因みに藤林さんは、やっぱりミスコンは参加しない? しないならここで不参加ってことにしておくけど?」

「安藤、当たり前だろ! 藤林はミスコンなんぞには絶対に参加させ――」

「石田、うるさい! 俺は藤林さんに聞いているんだよ。それで、どうかな?」

「あ、えっと……その、参加しなくていいなら……したくない……かな?」

「了解♪ じゃあ、今のところ不参加は殿堂入りの朝倉さんと藤林さんの二人だね」


(うーん……学校を代表するミスコンなのに会長センパイ副会長石田センパイ両方の彼女が不参加とか……なんか、生徒会の闇を感じますよねぇ~)


「でも、センパ~イ? そもそも、ミスコンのエントリー締め切りが明日の一日しかないのにその一日だけで『ミスコンのルール変更の告知』と『各女子生徒の参加、不参加の確認』に『予選出場生徒の名簿作り』と全部やるのは厳しくないですかぁ~キャピ?

「確かに、姉ヶ崎さんの言うとおりね。これだけの大規模なルール変更だと全学年のクラスに通達するのに一日……参加、不参加の確認だけでも三日は必要だわ」

「朝倉さんの言う通りだな。それに、安藤。文化祭の前にミスコンの予選を開くとなると、その分の大規模な準備と発表の場も必要になるんじゃないのか?」

「えっと……」


(なんだか……石田くんも朝倉さんも、安藤くんの言うことをまともに受け取っているけど……あの安藤くんが言い出した案だよね? しかも、安藤くんはさっきなんて言ったかな? ちゃんと『事前に申請をすれば参加を取り消せる』システムを作ったからね……? そう『作ったからね』って、過去形で言ったんだよ? これはもう……絶対にロクでもないシステムな気がするのは私だけ……かな? かな?)


「なるほど……確かに、朝倉さん達の言いたいことは分かるよ。でも、残念ながら皆は少し勘違いをしている……いや、これは俺の言い方が悪かったとも言えるな……」

「安藤くん、勘違いって……どういうことかしら?」

「安藤、そうだ! 一体、僕達が何を勘違いしていると言うんだ!」

「センパ~イ、もったいぶらないで教えてくださいよ~キャピ!

「あ……(察し)」


(安藤くんの考えていること……なんとなくわかった――かも? うわぁ……本当にそうだとしたらえげつないくらいに悪どいなぁ……)


「いやぁ~、実はミスコンのルール変更はすでに通達済みなんだよね。だから、あとは明日の締め切りまで不参加の申請をする生徒を待つだけ♪ みたいな……?」


「「「え、えぇええええええええええええええ!?」」」

「あぁ~……」


(やっぱり、そのパターンなんだね……)


「安藤! それはどういうことだ!? ま、まさか……君はまた卑怯な手を使ったんじゃないだろうな!?」

「おい、石田ァ! お前がそういうことばっかり言うから、俺のイメージがなんだか『ネクラぼっち』だの『暗黒ぼっち』とか変な名前で広がるんだぞ! ちょっとは気をつけろよな!」

「す、すまん……つい、過激に反応し過ぎたな……」


「ただ、俺は――絵柄はそのままにして、ルールの内容だけを書き換えて印刷したポスターを事前に張っていたポスターと入れ替えただけだ!」


「「「ものすごく質が悪い!?」」」


「安藤くん? 因みにそのポスターって……」

「うん、朝倉さん。ちょうど、さっき作った奴が一枚余っているから見る? ほら、これだよ。よくできたと思うんだよね?」

「ほ、本当に絵柄は前のと全く同じなのね……。書いている内容だけは全然違うけど……」

「うわぁ……センパイってばマジでポスター偽造してますよぉ……。しかも、フォントまで同じですし……」

「えっと……てか、これってパッとした見た目が同じだから書いてある内容が変わっても気づかない……よね?」


(というか、安藤くんはそれが狙いでこのポスターの絵柄を同じにしたんだろうなぁ……)


「安藤! 君って奴はぁああああああああああああああ! この大馬鹿が! そんなことをして学校側がルールの変更を認めるわけが無いだろうが!」

「ところがどっこい! 実はこれ……すでに学校公認なんだよね」


「「「「いつの間に!?」」」」


「ついさっきだよ。さっき、職員室に行って『ミスコンの締め切り明日なんで、このままだと全員参加の予選になりますけど、いいですよね?』って言ったら職員室の先生方全員に『何言っているの!?』って、問いただされたよ……」


「「「「そりゃあね!」」」」


「だから『え……事前に、ポスター見せたじゃないですか? 先生達もミスコンのポスターは確認しましたよね?』って、言って黙らせた」


「「「「本当に何言っているの!?」」」」


(皆、分かってないなぁ~……。この俺が何のためにミスコンのポスターの絵柄を変えずに入れ替えたのか? 何のために、学内に四枚しか掲示されていないミスコンのポスターを一人でこっそり入れ替えたのか……?

 その答えはただ一つ――)


「ミスコンのルールを『変えた』のではなく……元々、ミスコンのルールは『変わっていた』と先生達に誤解させるためだったのさ!」


(つまり、先生達はポスターがその日のうちに入れ替えられたとは知らずに、俺の言葉を聞いて、ミスコンのルールが元々変わっていたと誤解したのさ!

 そうなれば、後は簡単さ。


『何でルールの変更を言わなかった!』と言った先生に――、

『だから、ミスコンこれでいいですか? って、一週間以上前にポスター渡して確認しましたよね?』


 と言えば……


『確認したのは誰だ!』

『あれはポスターの確認だと思って……それに、ポスターは他の先生達も見たでしょう!』

『てか……こんなルール書いてあったか?』

『そんな一週間以上も前のことなんて覚えてませんよ!』

『それより、どうするんだ!』


 ――といった醜い争いの結果、俺の『マズイな……。先生達が許可してくれないなら、今年のミスコンは中止になりますけど、いいですか? いいですよね?


 別に文化祭の目玉イベントであるミスコンが無くても、ウチの高校なら入学希望者は殺到しますよね! 例え、来年の入学希望者が減ってもそれは今回のミスコン中止とは関係性なんて証明できないですし、ミスコンを中止させた先生達が悪いなんて……


 誰も言いませんもんね♪』


 ――って、言った結果……)


「何故か先生達が急に掌を返して『べ、別にミスコンを開催できるのなら問題なんじゃないか……?』『そもそも、生徒会はそのミスコンのルールで開催の準備を進めているのだろう?』『生徒達の自主性をうんぬんかんうん』

みたいなことを言って快くOKを出してくれたぜ!」


「「「「本当に何しちゃってるの!?」」」」


「安藤! それは先生達を騙しただけじゃないか! 僕はそんな嘘をつくような真似は決して認められないからな!」

「石田、失礼だな! 俺は嘘なんか何一つ言ってないぞ!」

「嘘をついてないだと!? ふざけるのもたいがいにしろ!」

「あ、安藤くん? 流石の私もそれは擁護できないわよ……?」

「センパイ……、そこまでやって、よく『嘘を言ってない』なんて言えますよねぇ~」

「あのぉ……多分、なんだけどね……? さっきの安藤くんの言葉って……本当に『嘘は』言ってないと思うだよ……だよ?」

「何!? 藤林! お前は何を言っているんだ!」

「い、石田くん!? お、落ち着いてね? あの……さっき説明にあった安藤くんの言葉をよく思い出してくれるかな? かな?」

「安藤の説明だと……」

「えっと、確か――」

「センパイの説明の仕方って――」



『ミスコンの締め切り明日なんで、このままだと全員参加の予選になりますけど、いいですよね?』 ← 事実


『え……事前に、ポスター見せたじゃないですか? 先生達もミスコンのポスターは確認しましたよね?』 ← 安藤くんが作った方のポスターとは言ってない


『何でルールの変更を言わなかった!』と言った先生

『だから、ミスコンこれでいいですか? って、一週間以上前にポスター渡して確認しましたよね?』 ← やっぱり、安藤くんが作った方のポスターとは言ってない


 

『マズイな……。先生達が許可してくれないなら、今年のミスコンは中止になりますけど、いいですか? いいですよね?』 ← 事実


『別に文化祭の目玉イベントであるミスコンが無くても、ウチの高校なら入学希望者は殺到しますよね!

 例え、来年の入学希望者が減ってもそれは今回のミスコン中止とは関係性なんて証明できないですし、ミスコンを中止させた先生達が悪いなんて……

 誰も言いませんもんね♪』 ← ただの安藤くんの個人的な意見をのべただけ



「「「ほ、本当だ……嘘は言ってない……」」」





【次回予告】


「訴えられたら、普通に負けるんじゃないかしら……?


 皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ♪

 今回は『何故かの』の書籍化作業で、更新が遅くなってごめんなさいね?

 因みに、皆はツイッターはやっているかしら? もし、やっているなら作者の出井愛先生のツイッター(@dexiai )をフォローするのがオススメよ♪

 何故なら、出井愛先生のツイッターをフォローすれば『何故かの』の情報が一早くゲットできるのよ! もちろん、今回みたいに更新が遅れる時も事前にツイッターでお知らせがでるわ♪

 他にもウェブ版『何故かの』更新のお知らせや、書籍版『何故かの』のお知らせにラノベ作家同士のお話などが見れちゃうかも?

 クフフ……気になった人は是非、フォローしてみてね♪ 


 さーて、次回の『何故かの』は?」


次回「ミスコンバトルロワイヤル(多分嘘予告)」 よろしくお願いします!


「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ。出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ? 

 ペタペタ・ペタりん♪  じゃん・けん・ポン♪」 



 グーかな?



    グーかも?



グーじゃない?




         グーだったりして……

















 本当にグーを出してくるかもしれないわよ……?


















【グー!】


「わたしも嘘は言ってないわよ? クフフ……

 皆のコメント、評価、待ってるわね♪」



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