第255話「実行委員会」


「はぁ……センパァ~イ? マジで今回の文化祭、アタシが仕切るんですかぁ~キャピ?

「何回もこれ見よがしにため息付いても結果は変わらないぞ……。それに、さっき説明した通りこれはお前のためでもあるんだからな? 俺達二年生がいなくなっても、姉ヶ崎が困らないように――」

「と、言いながら実の所はぁ~キャピ!

「ついでに、俺もサボれてラッキーだぜ!」

「ほら、もぉーーっ! プンプンですよぉ~!」

「冗談だよ! 冗談! ……それに、いくら姉ヶ崎に任せるとは言え、今日の文化祭実行委員会の集まりに俺も付いてきているし、当日以外なら俺も朝倉さんや石田に藤林さんもサポートはするから安心しろよ」

「それ遠回しに当日はアタシ以外の生徒会役員『エスケープ宣言』してますよねぇ……キャピ?

「ほ、ほら! 姉ヶ崎! もう、会議室代わりの教室についたぞ!? 委員会が始まる前に入るぞ!」

「あ、ちょっと……もぉ~! センパイ、誤魔化さないでくださいよぉー!」


(こうなったら、センパイだけでも当日までしっかりと手伝ってもらいますからね!)




「じゃあ、今から文化祭実行委員会、第一回目の会議を始めるわ」


「……てか、何で委員長が仕切っているの?」

「安藤くん……貴方、生徒会長なんだから自分のクラスの文化祭の実行委員くらい覚えておきなさいよ……。てか、生徒会からは安藤くんと姉ヶ崎さんしか来ていないのね?」

「ああ、今回俺はただの付き添いで、文化祭はここにいる姉ヶ崎が生徒会の代表だから」

「へぇ……なるほど、大体の事情は分かったわ」


(つまり、生徒会の代替わりに備えて後輩を育成しようって魂胆ね。あの安藤くんがそこまで先を見据えた考えをするわけないから、どうせ誰かの入れ知恵だとは思うけど、文化祭は他の行事と比べて小規模だし、後輩に経験させるには確かにいい案ね)


(うわぁ~、センパイてばこれだけの会話で委員長さんに今の言葉が朝倉センパイとデートする為のサボる口実だってバレているじゃないですかぁ……。センパイって本当に生徒会長の癖に信用がないんですねぇ~)


「まぁ、文化祭の会議っていってもそこまで議論する事もあまりないのだけどね」

「ほぇ、委員長センパイ。そうなんですかぁ~キャピ?

「ええ、だって文化祭なんて、出し物を希望する各クラス、部活動がおのおのの教室または部室で何かをやるわけだから、別に場所を用意する必要もなければ元々予算もないから準備も各クラスと部活動任せよ。だから、私達委員会の仕事は精々、各クラス、部活が文化祭で何をやるのかをまとめるだけ。それも、全てのクラス、部活動が参加するわけじゃないから予想より簡単な仕事なのよ」

「なるほどぉ~。でも、それでもアタシに出来るかと言われたら少し不安になっちゃいますねぇ……」

「姉ヶ崎さん、心配しなくても大丈夫よ。だって、文化祭が大変な行事だったら安藤くんみたいな置物にしかならない男を生徒会がサポート役につけるわけないもの」

「あ、そうですよねキャピ!

「お前らなぁ……」


(いや、まぁ……その通りなんだけどね? でも、委員長がいるなら文化祭は姉ヶ崎後輩に任せても大丈夫そうだな)




「じゃあ、次はアニメ堪能部の出し物を発表してくれるかしら?」

「イーッ! 僕達アニメ堪能部は今期の覇権アニメ『ゾンビランド・グンマ』の舞台となった群馬に赴き、そこで各聖地を取材してまとめた展覧会をする予定であります! 無論、部室では現在放送中の『ゾンビランド・グンマ』の録画映像を第一話から放送する予定でもあります!」

「次、茶道部は何か出し物はあるかしら?」

「うちらは『メイド喫茶』をする予定でありんす~」

「カルタ部は?」

「文化祭を楽しみたいので出し物はやりません!」

「次は……将棋部は?」

「右に同じでやりません!」

「最後は……えーと『死んだブタの目栄養不足シャトーブリアン部』は何か出し物をするのかしら……?」

「俺か? 出来れば何かやりたいが……だが無理だ。

 俺が参加したら、文化祭は俺に破壊されてしまうからな」

「貴方達の部活は本当に一体何なのよ……」

「『死んだブタの目栄養不足シャトーブリアン部』……通りすがりの文化部さ」


「センパイ……あの人なんなんですかぁ……?」

「シッ! 見ちゃいけません!」


「まぁ、いいわ……。じゃあ、これで各クラスと部活の出し物は確認し終わったら、退室してもらって大丈夫よ」


「「「「「はーい」」」」」


「よし、会議も終わったし戻るか。姉ヶ崎」

「そうですねぇ~、センパイキャピ!


「あ、生徒会の二人はまだ話したいことがあるから待ってくれるかしら?」


「「……………」」


((なんか、面倒な予感がする……))





【次回予告】


「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ♪

 待たせたわね。ついに、私の出番よ。さぁ、祝いなさい! クフフ~♪

 さーて、次回の『何故かの』は?」


次回「こたつとうたた寝」 よろしくお願いします!


「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ。出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ?

 ペタペタ・ペタりん♪  じゃん・けん・ポン♪」 



 チョキかな?



    チョキかも?



チョキじゃない?




         グーだったりして……

















 本当はチョキを出してくるかもしれないわよ……?


















【パー!】


「だから、言ったじゃない? クフフ……

 皆のコメント、評価、待ってるわね♪」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る