第251話「名前」


「「「子猫を拾った!?」」」


「安藤くん、それってどういうことなの!?」

「貴方……それ誘拐じゃないでしょうね?」

「安藤くん! それってどんな猫ちゃんなのー?」

「朝倉さん、桃井さん、ちゃんと説明するから落ち着こうか……? あと、委員長、お前俺のことを何だと思っているの……?

 えーと、経緯はウチのクソ親父が拾うアテも無いのに捨て猫を貰ってきたのがきっかけなんだけど……」

「それで、安藤くんはその猫をどうするの……?」

「うーん、本当は誰か貰ってくれる人を探す予定だったんだけど……ウチの母と妹がね」

「つまり、情が湧いちゃって安藤くんの家で飼うことになったのかしら?」

「委員長、ご名答……」


(まぁ、うすうすそんな予感はしていたんだよ? だって、クソ親父が拾った段階で結構弱っていたから動物病院に持っていって体力付くまで家で保護してたらあの母と妹、たったの二日で『家で飼う!』とか言い出したからな)


「えぇー! 見たい見たい! 安藤くん! あたしも安藤くんの家の猫ちゃん見に行っていいかなー?」

「安藤くん! 私も見に行きたいわ!」

「そうね……。ぼっちの安藤くんがちゃんと猫を飼えるかも心配だし……安藤くん、わたしも見に行くわ。もちろん、拒否権は無いからね?」




(と、いうわけで、朝倉さん達が家に来たわけだが……)



「ぶにゃぁ~」 ← 可愛い猫の泣き声


「「「可愛いぃ~っ!」」」


(いや、いうほど泣き声可愛いか……?)


「ですよね! ですよね!? もう! それなのに、お兄ちゃんてば『なんかこの猫……鳴き声濁ってね?』とか言い出すんですよ! もう、酷いと思いませんか!」

「にぎゃぁ~」

「安藤くん。それはちょっと、この猫ちゃんがかわいそうだと思うわよ……?」

「ぶにゃぁ~」

「安藤くん、そうだよー? 猫ちゃんの鳴き声、わたしは凄くキュートだと思うなー♪」

「ぶみゅぃ~」

「安藤くん、そうよ。いくら『ぼっち』過ぎて猫にも相手されないからって、猫にすら嫉妬するのはどうかと思うわね」

「ぎゅにゅ~」

「いや! どう考えてもこの泣き声はおかしいだろ!? だって、最後の方とか猫っぽさ0だったよ!?」


(それに、この白猫全身真っ白で顔もなんか『ぬぼー』ってしているから、それほど『可愛い』ってイメージがわかないんだよなぁ……)


「ねぇ、妹ちゃん。因みにこの猫ちゃんの名前はなんていうのかしら?」

「えっと、ですね……。サクラお義姉ちゃん、実はその子まだ名前が決まってないんです」

「あら、そうなのね。でも、名前は早く付けた方がいいんじゃないかしら?」

「安藤くん、そうだよー。この猫ちゃんの名前なんで付けてあげないのー?」

「いや、急に飼う事になったから、名前の候補が決まらないんだよ……」

「名前……う、頭が」


(そもそも、最初は家で飼う予定でもなかったしな。それが急に妹と母が飼うって言い出したから、名前なんて決めてなかったんだよ。

 あと、委員長は何で急に頭を押さえ始めたの? 頭痛? それとも中二病かな?)


「もう、お兄ちゃんてば何言っているの! 元はと言えばお兄ちゃんが私とお母さんの考えた名前を否定して変な名前ばっかりつけようとするからでしょー!」

「妹よ! 変な名前とは何だ!? むしろ、俺の考えた名前の方がお前や母さんの考えた奴より断然マシだぞ!?」

「安藤くん! まぁまぁ、落ち着きましょうね……? 因みに、安藤くんはどんな名前をこの猫ちゃんに付けようとしたのかしら?」


(安藤くん、この猫ちゃんにあまり興味なさそうだから、きっと適当に『白猫だから』とか言って『シロ』見たいな名前にでも――)


「『シャ●セン』」


「安藤くん! それは絶対に付けたらダメな名前よ!?」

「ですよね!? こんな可愛い猫に『三味線』なんて本当にふざけていると思いませんか!? サクラお義姉ちゃん!」

「う、うん……そうね。本当につけたらダメな名前ね……」


(い、言えない……! 多分、安藤くんが思っている『シャ●セン』は妹ちゃんの思っている『三味線』とは別物なんだけど、元ネタ的には一緒だからどの道アウトだし、そんなラノベオタクしか分からないようなネタを私が言うなんて絶対にできないでしょ!)


「あはは……安藤くん、それはやりすぎじゃないのかなー? 因みに他の候補はあるのかなー?」

「うん、ほらコイツって白猫だよね? だから――」


(あ、やっぱり『シロ』とかそういう安易な――)


「『カマ●ラ』」


「それも絶対にダメェェエエエエエエエエエエ!?」

「で、ですよね。サクラお義姉ちゃん! ほら、お兄ちゃんも見てよ! サクラお義姉ちゃんだってここまで反対するんだよ!?」

「いや……あの、妹ちゃん?」


(安藤くん! それらの名前を付けたい気持ちは分かるわよ? 分かるけど! でも、流石にそれは攻めすぎよぉおおおおおおおおおおお!)


「ねぇ、皆? その猫の前にもっと他に名前を付けてあげなきゃいけない人物がいるんじゃないかしら……? ねぇ? 聞いて――」


(それは聞いてないよー♪)


「因みに、安藤くんが却下した妹ちゃんの考えた名前ってどんなのかなー?」

「えっと……私が考えたのが『エリザベス』で」


「「「え『エリザベス』……ッ!?」」」


「お母さんが考えたのが『マリアンヌ』です」


「「「ま『マリアンヌ』……」」」


「因みに、この白猫はオスだからな?」


「「「ダメじゃん!?」」」


「うにゃぁ……で、でも、可愛くないですか?」


「「「それは分かる!」」」


「え、分かるの!?」


(でも、だからってオス猫に『エリザベス』や『マリアンヌ』はダメだろ!? だって、それ男の子に『サクラ』って名前を付けるようなもんだよね?)


「というわけで、なかなか名前が決まらないので、できればサクラお義姉ちゃん達もいい名前考えてくれませんか?」

「そうね! 妹ちゃん、この私に任せて頂戴!」


(私も安藤くんとは今後、その……何人もの名前を一緒に考える機会もあると思うのよね……? だから、これはいい練習だと思ってとびっきりの名前を考えてみせるわ!)


「ねぇ……? その前にもっとも名前を考えるべき人物が――」

「そうだねー♪ よーし、皆で安藤くんの猫ちゃんの名前を考えよう! もちろん、委員長も一緒にねー?」


(だから、それは聞いてないよー♪)


「じゃあ、それぞれが考えた名前を発表して多数決でいいのがあればそれに決定でいい?」

「そうね。安藤くん!」

「発表はサクラから、あたし、委員長、妹ちゃんの順番だねー♪」

「ねぇ、わたしはそれよりも、もっと必要な『名前』があると思うの……分かる?」

「ハイハーイ! 今度は私も男の子にちゃんと合う名前を考えました!」

「では、皆準備も出来てるみたいなので……朝倉さんから発表してくれるかな?」


(てか、何で俺が司会みたいなポジションになってるんだ? まぁ、いいけど……)


「安藤くん、任せて! これが私の考えたこの猫ちゃんの『名前』よ!」

「ぶにゃ~ん」


『フェンリル』


「確かに『オス』らしいけど『猫の名前』じゃないだと!?」

「フフン! 安藤くん、甘いわね! これは見た目は『猫』だけど、その中身は勇猛果敢な『狼』だということを表現した名前なのよ!」

「朝倉さん……」


(さては最近話題のなろう小説『ニャンニャン物語 ~金持ちの猫にしてとは言ったが、フェンリルにしろとは言ってねぇ!~』を読んだな……?)


「じゃあ、次は桃井さんね」

「ちょっと、安藤くん! 何で私の考えた名前を無視するの!?」

「うん! あたしが考えた名前はね~♪」

「――って、モモまでそのまま進めようとしないで!?」

「みぎゃ~ん」


『シロえもん』


「「「「アウトォー!?」」」」


「えぇ~、ダメかなー?」

「確かに『オス』だし! 『猫』だけど、一番ダメ! っていうかダメな要素しかないよ?」

「モモってば……小●館の怖さを知らないのね」

「ちょっと、あまりの危険さにわたしまで正気を取り戻しちゃったじゃない……」

「桃井先輩……恐ろしい人です!」

「えー、そんなにダメかなー? てへ♪」

「…………」


(桃井さんの場合、分かっててやってそうで怖いんだよなぁ……)


「じゃあ、次は委員長か……」

「コホン……。じゃあ、わたしが考えたのは――」

「は飛ばして……はい、次は妹だな!」

「――って、わたしの番を飛ばすんじゃないわよぉおおおおお!?」

「アハハ……」


(もう、お兄ちゃんってば本当に委員長さんとは仲が悪いんだから……)


「えっと、私が考えた名前はこれです!」

「って、妹ちゃんも、わたしの番を飛ばして発表するの!?」

「んなぁ~ご」


『ミケ』


「「「妹ちゃん!? 白猫なのに!?」」」


「お前……三毛猫の『三毛』の意味分かっているの?」

「え……でも、男の子っぽい名前だよ? お兄ちゃん」


(いや、どっちかと言うとそれも『メス』よりだからな……?)


「はぁ……これなら、俺の考えた名前の方がマシじゃないの?」

「え? お兄ちゃんも名前考えてたの?」

「え? 妹よ? むしろ、お前は兄に司会だけ押し付けて、名前を考える権利はくれないつもりだったの?」

「うん♪」


(こいつ……最高に可愛い笑顔してなんて小悪魔な妹なんだ……)


「まぁまぁ……安藤くんがどんな名前を考えたのか私も気になるし、妹ちゃんも一応は聞いてあげたらどうかしら?」

「サクラお義姉ちゃんがそういうのなら……じゃあ、お兄ちゃん発表してもいいよ♪」


(あれ……? 兄ってなんだろう?)


「えっと……俺が考えた名前はこれかな」

「びみゃ~ん」


『ノベ』


「むむむ……お兄ちゃんにしてはまともじゃん……」

「へぇー、なかなか良さそうな名前だねー♪」

「安藤くん! この名前いいと思うわ! 妹ちゃん、私はこの名前凄くいいと思うのだけど……どうかしら?」

「さ、サクラお義姉ちゃんがそういうなら……うん、私も賛成です!」

「そりゃあ、どうも……」

「名前が決まって、良かったわね。安藤くん♪」


(ウフフ♪ 安藤くん、私は分かっているわよ? この名前……一見普通に見えて『ライトノベル』の『ノベ』だけを取ってネーミングしたのね! それは……私にしか分からない名前の付け方! つまり『いつか、大人になったら、二人だけで二人の大事な名前を考えようね』ってメッセージなのよ!)


「もう、安藤くんってば……大胆なんだから♪」

「…………?」


(朝倉さんは何でクネクネ躍っているんだろう? まぁ、いいや。

 しかし、ようやく猫の名前が決まったよ~! コイツなんか顔が『のベー』ってしてるから適当に付けた名前だけど……)


「名前、決まってよかったな……ノベ?」

「ぃぎゃぁ~」



「ねぇ、私の名前……は?」






【次回予告】


「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ♪ そう『委員長』よ。ええ『委員長』ですけどなにか!?

 さーて、次回の『何故かの』は?」


(どうせ、わたしは猫の名前すら喋らせてもらえないわよ!!)



次回「このへんのラノベがすごい! 2019 結果発表」 よろしくお願いします!



「あれ、結果発表もやるの!? いつになったら六部は始まるのかしら……

 じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ。出す手は決まった? もちろん、私はいつもどおり【】に決めてるわ。じゃあ、いくわよ?

 ペタペタ・ペタりん♪  じゃん・けん・ポン♪」 




































【グゥー!】


「皆のコメント、評価、待ってるわね♪」


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