1巻発売記念小説「委員長の部屋」


「皆、いつも『何故かの』を応援してくれてありがとうね。

 今日は『何故かの』一巻の発売を記念して、カクヨム限定小説「委員長の部屋」をお送りするわ♪

 さて、記念すべき『委員長の部屋』第一回目の特別ゲストは、これでも主人公のこの男――、

 安藤くんよ♪」


 ラ~ララ♪ ラララ、ラ~ノベ♪ ラ~ラ~ラ~ラ~、ラ~ノベ~♪


「……委員長、何これ!?」

「安藤くん、これはね。一巻発売を記念して、わたし達が『何故かの』について自由に語るという、作中の時間軸とか物語とかを無視した『おまけトーク!』……というのを大義名分にした! 本当は『委員長の委員長による委員長のためのおまけ小説』よ!」

「……なんて文字数の無駄遣いしてんだよ」

「無駄遣いじゃないわよ!? 『何故かの』と言えば、わたし『委員長』でしょう! わたしは『何故かの』が書籍化する前から、ずっーーと! ウェブ時代の『あとがき』や『次回予告』を一人でやって来たのよ! 読者の皆だって、本当はわたしの出番を待っているはずなのよ!」

「分かった、分かった……。とりあえず、落ち着けって……それで、何をするんだって?」

「分かればいいのよ。もちろん! するのはトークよ。安藤くんはゲストだから、流れ的にはわたしが『何故かの』について質問するから、それに答えてもらう感じね」

「オッケー。まぁ、ちゃんと答えられるか分からんがやってみるよ……」

「じゃあ、最初の質問ね」


【『何故かの』が書籍化できたことについて一言】


「……まぁ、よくこれを書籍化しようと思ったよね」

「初っ端から主人公のする発言じゃないわよ!?」

「……いや、だってさラノベなのに『地の文無し』だよ? もし、俺が編集なら『どうやって本にしよう……』って、段階で悩むレベルじゃん」

「ま、まぁ……確かにそこは否定できないけど……ほら! もっとこう~カクヨムに移ってとかいろいろあるでしょう?」

「いろいろねぇ……あ!」

「何かあった?」


「な●う『学校一の美少女』増えたよね!」

「だから、止めなさいって!」


(……くっ! この男が意外と辛口だったのを忘れてたわ。このままだと、わたしの新しいコーナーがボツに……ここはさっさと次に移りましょう!)


「じゃあ、次の質問よ♪」

「おっ、誤魔化したぞ」

「黙りなさい」


【書籍版『何故かの』への抱負を一言】


「抱負か~、特に無いなぁ……」

「何か一つくらいあるでしょう? 無いなら今作りなさい『友達百人作る』とか?」

「このMC、ゲストに喧嘩売ってんの……? 因みに、参考だけど……委員長は抱負とかあるの?」

「わたし? そうねぇ~、わたしはもちろん『名前をもらう』かしらね!」


(何故かこの小説って、わたし以外の主要ヒロインには『名前』があるくせに、私だけずーーっと『委員長』のままだから、書籍化したからにはいずれ私のメイン回が来て『名前』がつけられる日も――)


「なるほど……なら、俺の抱負は『非名三原則ひめいさんげんそく』だな」

「ひ、ひめい……? 何よそれ?」

「これは俺が考えた委員長への『名をもたず、つくらず、もちこませず』という標榜かな?」

「何よその悪魔みたいな抱負は!?」

「いや、だってさ……委員長って名前が無いからこその『委員長』であって、読者もそれを望んでいるんじゃない? みたいな?」

「でも、私は望んでいるのよ!」

「では、時間もなくなったので今回はこれで……」

「安藤くん! わたしのコーナーなのに、まさかの貴方が締めるの!?」


 ラ~ララ♪ ラララ、ラ~ノベ♪  ラ~ラ~ラ~ラ~、ラ~ノベ~♪



「また二巻が発売したら、会いましょう~。まぁ、売れたらだけどね……」

「しかも、最後に縁起でもないこと言うんじゃないわよ!? 皆、またね!

 あと、いつかはわたしも絶対に『名前』をもらってみせるわよ!」






 2018年●月 都内某所 高級すき焼き店



出井愛「やっぱり、書籍化するなら……委員長とかにも名前を付けた方がいいですか?」

担当編集「いや、いらないでしょう?」 モグモグ



『何故かの』の打ち合わせはこの会話から始まったという……。


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