第237話「女子会の犠牲者」



「へー♪ 委員長もそんな初々しい話があったなんて意外と隅に置けないねー?」


(くっ……桃井さん、わたしにもやり返す時くらいあるってことを教えてあげるわ)


「……あら、そういう桃井さんは『そういう話』はどうなのかしら……? だって、自分から女子会を開いておいて……まさか『恋バナ』の一つも持参してない……なんてことはないわよねぇ……?」

「ほえ? い、委員長ー? なんか目が怖いかなー? って、アハハ……」

「あ! 私も桃井先輩の恋バナ聞いてみたいです!」

「たしかぁ~? モモセンパイって朝倉センパイに負けないくらい人気ですよねぇ~? なら、恋バナの数も凄そうっていうかぁ~キャピ!


(や、ヤバイよー! まさか、矛先があたしに向いてきちゃった!?)


「あれ? でも、私はモモと結構一緒にいるけど……モモのそういう話はあまり聞いた事がないわね?」

「さ、サクラァー!?」

「え……でも、朝倉さん。桃井さんって結構モテそうだよ……ね? ね?」

「それほどの乳をお持ちなのに浮いた話がない――なるほど。どうやら、浮いているのは乳だけのようですね……と、早坂は邪推いたします」

「あらあら……桃井さん、ゴメンなさいね? わたしってば、てっきり桃井さんなら『恋バナ』なんて掃いて捨てるほどあると思ったのだけど……まさか、あの桃井さんが藤林さんにも劣る『恋愛難民』だったんてねぇ……?」

「ほぉーう?」


(……カッチーン♪)


「ちょっと、委員長さーん!? さっきから、たびたび出てくる私を使った比較は――」

「委員長ー? その『侮辱』は……あたしも流石に聞き流せないかなー♪」

「桃井さぁーん!? 私を比較にされることがどうして『侮辱』なのかな! かな!?」


(藤林さんが何か言っているけどー、今はそんなことより、あたしのプライドを守るのが最優先だよねー♪)


「仕方ないなー。あたしって皆の話を聞くのが好きだから、あまり自分のことは話さないんだけど……実は最近男の子とデートしたんだー♪」


「「「「「「え!?」」」」」」


「あ、でも……恥かしいし相手のプライベートもあるから相手は秘密だよー?」

「てか、モモって彼氏がいたの!?」

「えーと、彼氏ってわけじゃないけど……まぁ、少し気になる人かなー♪」

「桃井さん……あ、相手はうちの学校の男子なのかしら……?」

「うーん、ヒ・ミ・ツ♪」

「桃井先輩! そ、それってどんなデートしたんですか!?」

「えっとねー? でも、普通のデートだよー? ランチでご飯行って~♪ あと、ショッピングモールでブラブラしてー? それで、最後はプレゼントしてくれたんだー♪」

「そ、それで……モモはその男の子とは付き合うのかしら?」

「それはー、ちょっと無理かなー?」


(だって、その相手……安藤くんだもん♪ 前に安藤くんに教えてもらったライトノベルを読み終わったから『他にもあたしにお勧めの小説とかあれば一緒に探して欲しいなー?』って、名目で呼び出したから本人はデートって自覚してないだろうしねー)


「そ、そうよね……。例え、デートしたからって付き合うとは限らないわよね!」

「つまり、お試しデートってことかしら……。まぁ、確かに桃井さんの御眼鏡にかなう男の子は中々いなさそうよね……」

「委員長ー、それはどういう意味かなー?」

「ふわぁ~、桃井先輩ってば大人だよ~」


(ふぅ、これでアタシのピンチは乗り切ったから、後は責め放題だねー♪)


「じゃあ、アタシも自分の恋バナを話したんだから次は誰の話を聞こうかなー?」

「でも、残っているメンバーで話を聞いていないのって――?」

「妹ちゃんと、姉ヶ崎さんと、早坂さんの三人ね……」

「じゃあ、次は妹ちゃんだ!」

「何で、私なんですか!?」

「え、だって、早坂さんの恋バナはサクラ経由で聞いているしー?」


アザャグラザマ!?朝倉さま!? アンデゥルルラギッタンディスカー!何で裏切ったんですかー!

「ち、違うのよ……早坂さん? 私はただ、皆に協力を求めるために……仕方なくね?」


「姉ヶ崎さんの恋バナはなんかただれてそうなんだからねー」

「そもそも、姉ヶ崎さんって……ちゃんとした恋バナできるのかしら?」

「ちょ!? モモセンパイに委員長センパイも、それってどういう意味ですかぁーっ!」


「「だって……ねー?」」


(桃井さんの言うとおり、姉ヶ崎さんって遊んでそうなイメージだから、そう思われるのも仕方ないのよね……)


「ぶぅー! アタシだって皆と同じで普通ですよぉー! この前とかも、少し気になる人がいて何回かアタックとかしてますしぃ~キャピ!

「へー、アタックって例えばどんなのー?」

「というか、姉ヶ崎さんに気になる人とかいたのね……」


(てっきり『この前、パパがぁ~キャピ!』とか言い出すんじゃないかと思ったわ……)


「別に普通ですよぉー? 家で焼いてきたクッキーを持って――、


『これ今日の調理実習で焼きすぎちゃったんですけどぉ~、食べてくれますかぁ……キャピ?


 とかぁー? ちょっと難しいけど、頭が良い人なら解けるちょうどいいくらいの問題を持って……


『あ! ちょうど良いところにー! えへへぇ~、実は難しい宿題があって困ってたんですよぉー♪ って、わけで……教えてくれませんかキャピ♪


 ――みたいな感じでアピールしてますねぇーキャピ!

「うわー。姉ヶ崎さん、あざとーいよ……」

「でも、アホな男ならイチコロで落とせそうなアタックの仕方ね……」

「うーぬぬ……およ?」


(あっれぇ~? 姉ヶ崎さんが誰かにアタックしてるなんて一年の情報網にあったかなぁ~? そんな情報あったら、同じ一年の私が知らないわけないはずなんだけど……相手って誰なんだろう……他校かな?)


「そ、それで! アタックの結果はどうなのかしら……姉ヶ崎さん?」

「朝倉センパイ、それが全然なんですよぉ……。まぁ、アタシとしてはちょっと面白いかなぁ~? てきなつもりでアタックしたんで別にいいんですけどね~」


(だって、その相手って朝倉センパイの彼氏さんですしぃ~キャピ!


「うん……。姉ヶ崎さんの話はあたしが想像してる恋バナとなんか違うんだよねー……。って、わけでやっぱり最期は妹ちゃんの恋バナでシメでだよねー♪」

「桃井先輩、やっぱりその流れになるんですかー!?」

「妹ちゃん、諦めなさい……皆が通った道よ貴方だけ逃がしたりなんかさせないわ

「委員長先輩、何か別の意味が聞こえるのは気のせいですかー!?」


(うにゃぁ~『恋バナ』なんて、私持ってないよぉ……でも、このままだと私があの姉ヶ崎さんより下みたいな空気で終る可能性が……そ、、それだけはダメェ!)


「じ、実は……私もこの前、男の子と二人っきりでご飯を食べに行って――」


(うにゃにゃ~♪ 実は『男の子』って、言ってもお兄ちゃんのことなんだけど……まぁ~、この際? 何か適当な『恋バナ』をでっち上げないとこの女子会が私の一人負けみたいな感じで終っちゃうし……仕方なく、そう! 仕方なく……お兄ちゃんとの久々の外食を『デート』ってことにしてあげても――)




「「「「「「あ、兄妹お兄ちゃんってオチは無しでね?」」」」」」


「何で分かるんですかぁああああああああああああ!?」



 *結局、女子会は妹ちゃんの一人負けみたいな感じで終った……。






【次回予告】


「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ♪

 長かった女子会も(わたしが)無事で終わったね。

 さーて、次回の『何故かの』は?」


次回「トリック・オア・トリート」 よろしくお願いします!


「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ! 出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ?

 ペタペタ・ペタりん♪  じゃん・けん・ポン♪」 




































【グー】


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