第232話「山田の楽しい一日」
キーンコ~ン、カ~ンコーン♪
「よっしゃっ! やっと学校が終わったぜ! おーい! 吉田吉田吉田ぁあ! ゲーセンいこうぜ! ゲーセン! なぁ!? 沢渡も当然一緒にいくよな! な!?」
「ウェーイ!」
「うるせぇ……おい、山田! お前はもう少し声のボリュームを下げられないのかよ? まったく、壊れかけのレコードじゃあるまいし……」
「ガッハッハ! おい、吉田? この俺様がレコードな分けないだろ! 俺は――そう!
俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だうぉれだぁああああああああああああああああああああああ!」
「ウェエエエエエエエエイ!」
「だぁあああああああああ! 分かった分かった! 分かったから、お前ら黙れ! さっさとゲーセンいくぞ!」
「「ウェーーーーイ!」」
十分後
「ひぐっ……どこぉ……」
(なんか、ゲーセンの前で明らかに迷子っぽい幼女が今にも泣きそうな表情でウロウロしてんだよな……。ランドセル背負ってるから、見た目からして小学校低学年くらいか? まったく、保護者は何処にいるんだよ……)
「おい、山田。あれどうするよ?」
(なんか、ヘタに声をかけても、俺達じゃ不審者と間違えられそうで――)
「ヘイヘイヘーイ! そこの幼女! 何を泣いてるんだ!? 辛い時こそ笑顔だぜ! まずは元気に挨拶だ! ヤッホォオオオーーーーッ!」
「ウェーーイ!」
「ふぇ!? お、おにいたんたち……だれ?」
(――って、もう声かけてやがるし!?)
「俺か! 俺の名前は――そう! 俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺ダァアアアアアアアアアアアアア!」
「ウェエエエエエエエエエエエエエーイ!」
「ぴぎぃ……っ!?」
(なに……このおにいたんたち……? 『だれ?』って、きいたのに、なまえ言ってくれない……)
「え、えと……なまえは?」
「あ、そうだった! 俺は山田様だ! そして、こっちが!」
「ウェーイ!」
「友達の沢渡で、あっちで他人のフリしてる吉田がハゲだ!」
「…………」
(畜生、恥かしいから他人のフリしようとしたのに……あのバカ、俺まで紹介しやがった。通報されてもしらねえからな)
「よろしくな!」
「ウェーイ!」
「ふ、ふぇえ……」
ピリピリピリピリ~! ← 防犯ブザーの音
(ほら見ろ! 言わんこっちゃない!?)
「おい……お前ら、少し落ち着けよ。この子がビックリしてるだろ? あと、ゴメン。俺達別に不審者じゃないから、その防犯ブザーは止めてくれないかな?」
「ガッハッハッハ! 吉田、何言ってんだよ? お前はそんなこと言ってるから、ハゲなんだぞ!」
「うるうせぇ! ハゲは関係ないだろ!? て、てか、ハゲじゃねーし!」
「何言ってんだよ! どう見てもハゲじゃん! ガッハッハ!」
「ウェーイ!」
「ふへへ……へんなおにいたんたち」 ピリピリ~! ← 防犯ブザーの音
「な、なぁ? 笑ってないでとりあえず防犯ブザーを止めてくれないか? そろそろ、周りの視線が――」
「うぉおおおお! なんかこの『ピリピリ』なってるのすげぇえ音量だぞ!? よっしゃぁあ! 俺も負けてられねぇえ! うぉおおおおおおおおおおお!」
「ウェエエーーイ!」
「うるせぇえ! そこのバカ二人、防犯ブザーの音を地声で上回るな!」
ピリピリピリピリ~! ← 防犯ブザーの音
「で、お嬢ちゃんは迷子じゃなくて、逆に迷子をさがしていたと……?」
「う、うん……そうなの……ミーたんがいなくなったら、さがしてたの……」
「ミーたんって誰だ? てか、迷子が迷子を捜しているってどういうことだ!?」
「バカ! だから、この子は迷子じゃないんだよ! それに、ミーたんはこの子が飼っているネコだって聞いたばかりだろ?」
「あ、そうだったぜ!」
「えっと……この、おにいたんはバカなの? ハゲのおにいたん?」
「ああ、そうだ――って『ハゲのおにいたん』!?」
「ぎゃっはは! 吉田! お前『ハゲのおにいたん』だってさ!」
「こっちが、バカのおにいたん?」
「がははは! 山田、お前は『バカのおにいたん』だってさ! お前にピッタリの呼び名じゃないか?」
「ウェーイ!」
「こっちのは、うるさいおにいたん」
「ウェーイ!?」
「えっと、えっと……ハゲでバカでうるさいおにいたんたち、どうかミーたんをさがすのをてつだってください!」
「まさかのまとめやがった!?」
「ウェーイ!」
「えっと……だ、ダメ?」
「いや、ダメって言うか……」
(ただの迷子かと思ったら、まさかネコ探しかよ。うわぁ、面倒くせぇな……)
「えっと、えっと……お、おねがいします……」
ピリピリピリピリ~! ← 防犯ブザーの音
「テメェ、このガキ!? お願いしますって言いながら防犯ブザーを
鳴らすんじゃねぇえ! それ『お願い』じゃなくて『脅迫』だからな!?」
「ふ、ふぇ……」
「あぁあああああ! 吉田が幼女っ子を泣かしたぞ! いーけないんだー!」
「ウェーイ!」
「いや、だって……これは――ああぁああもう! 分かった! 分かったよ! 探すの手伝えばいいんだろ!」
「えへへ……ありがとう、おにいたんたち♪」
(そんなわけで、幼女の迷子ネコ探しをすることになったが……)
「ミィイイイイイイイイイタァアアアアアアアアアアアアン! ドォおおおおおこぉおおおおおおおおおおに、いいィイイイイイイイイイまぁアアアアアアアすううううううううううかっぁああああああああ!」
「ば、バカのおにいたん? こわいおじたんが、こっちをすごいにらんでるよ……?」
「うるせぇえぞ! クソガキ! 近所迷惑だからどっかいけぇええ!」
「す、すみません! オラ、山田さっさと逃げるぞ!」
「ウ、ウェーイ!?」
「吉田、見ろよ! 車の向こう側に白い影が見えたぞ! きっと、あれがミーたんだ!」
「バカのおにいたん、あれはただの白いビニールだよ……?」
「おい、バカ!? 山田、信号がまだ赤だぞ!」
「ウェーイ!?」
「どぉわぁあああああああああ!?」
キキィーーッ! ← 急ブレーキの音
「おい! 吉田! もしかして、ミーたん、川で溺れてたりしないよな!?」
「おい、山田……そんなに橋から乗り出すと、落ちる――」
「え! 吉田! 何だっ――て、どぉわぁああああああああ!?」
「ば、バカのおにいたん!?」
「ウェーイ!」
ドボーン! ← 山田が川に落ちる音
「はぁ……はぁ……まったく、山田のバカが! 言ったそばから落ちるんじゃねぇえよ!」
「ガッハッハッハ! 吉田! 引っ張りあげてくれてサンキューな! いやぁ~、全然ビショビショだぜ! って、うわぁあああ!? ヤベエ! 俺、さっきので財布を川の中に落としたかも!?」
「まぁ、あれだけ盛大に川にダイブすればなぁ……」
「ウェーイ?」
「ま、いいか! どうせ、俺の財布の中身五百円くらいしかなかったしな。ガッハッハ!」
「ウェーイ!」
「えっと、えっと……バカのおにいたん、ゴメンなさい……」
「ん? どうして幼女っ子が俺に謝るんだ? んん??」
「えっと……だって、あたちがミーたんさがすのをおねがいしたから、おにいたんが川におちて……」
「ん? んん?? 何で、俺が川に落ちたのとミーたんを探すのが関係あるんだ? 俺が川に落ちたのは、単純に俺の筋肉が足りなかっただけでミーたんは関係ないよな? んん?? ど、どう言うことだ? 俺バカだからわかんねえぞ……?
うん! よく分からないから幼女っ子は気にしなくていいんだぞ!」
「お、おにいたん……」
(まるで、本当の『おにいたん』みたい……)
「えっと、えっと――あ、ありがとう。おバカなおにいたん……」
「ブルゥラァァ~」 ← 可愛いネコの鳴き声
「あ! ミーたん!?」
「おお! 幼女っ子! コイツがミーたんか!? 見つかってよかったな!」
「ウェーイ!」
「いや、ミーたんの声渋すぎるだろ……」
「おにいたんたち、ミーたんをさがしてくれてありがとう! えっと、えっと……ば、バイバイ!」
「ブルゥラァァ~」
「おう! 気をつけて帰れよ!」
「ウェーイ!」
「もう、逃がすなよ~」
(ふぅ、やっと帰ったか……)
「まったく……せっかく部活が無いから遊ぼうと思ったのに、幼女のネコ探しを手伝わされるし、散々な日だったな」
「え!? 吉田、何言ってんだよ? 今日はメチャクチャ良い日だったじゃねえか!」
「……はぁあ? 山田、それマジで言ってんの……? お前なんか、怒鳴られるし、車に轢かれそうになるし、川に落ちて財布は無くすでもっとも、散々な目にあっただろ……」
「ウェーイ?」
(それで、何でこのバカは『メチャクチャ良い日』だなんて言えるんだ?)
「あっははは! そういえばそんなこともあったな! でもさ、ネコが見つかったんだから、結果的にメチャクチャ良い日だろ!」
(…………は?)
「いや、ネコが見つかったのと、お前に降りかかった不幸は相殺できないだろ? むしろ、一個『良い出来事』があってもお前に降りかかった『不幸』の方が多くてマイナスだぞ」
「んん??? 吉田は何言ってんだ? 何で『不幸』が多いと『良い出来事』がなくなるんだ? どんな『不幸』がおきても『メチャクチャ良い出来事』が起きたって事実は消えないんだぜ! だから、結果的に今日は『メチャクチャ良い日』なんだぜ!」
「はぁあ!? いや、ちょっと待て! それはおかし――」
「ウェーイ!」
「おお! 沢渡もそう思うか!?」
「ウェーイ!」
「こ、こいつら……俺の話まったく聞いてねぇ……」
(でも……案外そう言う考え方もアリかもな)
「よっしゃあ! おい、山田! 沢渡! 今からラーメン食べにいくぞ!」
「うぉおおお! ラーメン!? 行こうぜ、行こうぜ! なんか、ラーメンって聞いたらメチャクチャ腹へってきたぁああああああああああ!」
「ウェェエエエーーイ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「――って、ことがな……この前あったんだよ。安藤」
「なるほどなぁ……。吉田、それがキッカケで今の状況になっていると?」
「あぁ……」
「ただいまぁあああああ! おう、幼女っ子! 今、帰ったぜぇええ!」
「もう! おバカのおにいたん!『幼女っ子』じゃないでしょ!? あたちは、おにいたんの『奥さん役』なの! だから『旦那役』のおにいたんは『おい、お前! いまかえったぞ!』って、いわないとメッなの!」
「わりぃ、わりぃ! 間違えちゃったぜ! でも、大丈夫だ! 今度は覚えたからな! よっしゃぁあ! 今度こそ完璧に幼女っ子のおままごとに付き合ってやるぜ!」
「…………」
(近所の小学校から『最近、ウチの学校の小学生女子と一緒に遊ぶ男子高生がいるんですが、心当たりはありませんか?』って、相談が生徒会に来たから、まさかと思ったが……山田かよ!?)
「つまり、偶然助けた幼女が山田に懐いたのかぁ……。うん、事案だな」
「……事案だろ? そりゃ、心配した小学校から電話もくるよな」
(でも、山田を庇うわけじゃないが……あの子も毎日、山田に会いに来るんだよな。あっちから来るから下手に避けることもできないし……山田はバカだから普通に遊んじゃうし……)
「今では学校が終わったら、ダッシュで公園に行かないと……山田の奴、あの幼女っ子にガチで怒られるんだぜ?」
「幼女に力関係で負けてんじゃねぇよ……」
(まぁ、小学校の方には『精神年齢は同い年なので心配しないでください』って、伝えておくか……)
「おうおう! 幼女っ子ぉおおおおおおおお! この山田様が、帰ったぞォオオオオオ!」
「んっもう! おバカのおにいたんてばあんなにいったのに……まぁ、いいや。 ハイハイ、あなたおかえりなさい♪ ごはんにする? パンにする? それとも……お・か・し♪」
「…………」
「…………」
((やっぱ、事案かなぁ……?))
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ♪
因みに、皆はカクヨムの使い方は慣れたかしら? 『何故かの』を読んでくれている人の中にはカクヨムの機能がよく分からない人もいると思うから、一度カクヨムの機能をここで説明させてもらうわね♪
まず、カクヨムで読者の人が使える機能は以下の通りよ。
①フォロー
②★
③コメント
④💛
①のフォローは『なろう』で言うブックマーク機能よ。カクヨムでは
作者へのフォローと作品のフォローの二種類があって紛らわしいけど、ブックマーク機能は作品のフォローをすれば大丈夫よ。
因みに、フロォーをすると作品の応援にもなるからできれば『何故かの』もフォローしてくれると嬉しいわ♪
②の★は『なろう』で言う評価ポイントよ。なろうがストーリーと文章で、それぞれ1ポイント~5ポイントの五段階評価に対して、カクヨムは★1個~3個だけの三段階評価になっているわ。
レビューを書かなくても★マークを押すだけで評価できるから『何故かの』を応援したいって人は3回★マークを押してくれると嬉しいわ♪
③のコメント機能、これはカクヨムだと各話だとごとにコメントが付けられるようになっているわ。
④の💛機能、各話ごとにTwitterの『いいね』みたいな役割の💛があるわよ。わざわざコメントを書くのが面倒だという人は💛のマークを押して応援してね♪
この二つの機能③と④を皆が良かった!と思う話にしてくれると、各話ごとの評価が分かるから、作者に『何故かの』のどんな話、どのキャラの話が良かったか分かって、今後の話の参考になるし、とっても助かるわ。
だから、できれば面白いと思ったエピソードには③と④の機能を使ってくれると嬉しいわ。
あ! そうそう、皆がコメントに、
「委員長の話がもっと読みたいです!」「委員長が大好きです!」「委員長を出してあげてください!」
とかコメントをくれたら、私の出番がもっと増えるかもしれないから、私への応援コメントも募集中よ♪
さーて、次回の『何故かの』は?」
次回 「男子会」 よろしくお願いします!
「タイトルの時点で私の出番が無いの確定じゃない!? まぁ、いいわ。皆が「女子会も見たい!」とかコメントをくれれば私の出番も来るわよね……。
じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ! 出す手は決まった? もちろん、わたしは決めてるわ。じゃあ、いくわよ?
ペタペタ・ペタりん♪ じゃん・けん・ポン♪」
【チョキ】
「皆のコメント、評価、待ってるわ♪
あと、山田爆発しろ!って思った人は『山田ァアアアアアアアアアアアア!』ってコメントしてね♪」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます