第231話「妹デイズ」


「ありがとうございましたー」


 カランコロ~ン♪


「ふぅ、ここの喫茶店は静かだし落ち着くなぁ……」

「そうだねぇ……」


(のどかな日曜のお昼に、美味しいアイスコーヒーを飲みながら、最近書籍化が決定した『何で学校一の美少女が、ぼっちの俺に話しかけてくるんだ?』をスマホで読む……。うん、我ながら実に充実した時間だ。

 ただ、一つだけ不満があるとすれば――)


 カランコロ~ン♪


「いらっしゃいませー」


(くぁああああああ!? 日曜日だからカップルの来店が止まないぃぃいいいい!)


「……なぁ、妹さんや?」

「なにかにゃ? お兄ちゃんや」

「むかーし、昔。あるぼっちの家に妹がいたそうな……」

「…………」


(うわぁ……。また、お兄ちゃんの茶番が始まったよぉ……)


「ある日、妹は言いました――、

『ゴミ――じゃなかった。お兄ちゃん♪ 日曜日だからって、そんな所でゴミゴミしてたら、粗大ゴミ――じゃなかった……。え、えーと……うん!

 そんな所でゴミゴミしてたら、お兄ちゃんになっちゃうよ♪』」

「うん、そんな気持ち悪い裏声じゃなかったけど……確かに、言ったね」

「声のことはツッコむなやい! そんな妹の剣山のような鋭く尖った発言に、兄はこう答えたそうなぁ……。

『……ねぇ、今純粋にお兄ちゃんをゴミと間違えなかった? てか、ゴミゴミしてるとか言い方に隠す気ゼロだよね? それに「粗大ゴミになっちゃう」を「お兄ちゃんになる」って言い換えたけど、それ全然オブラートに言えてないからね? だって「粗大ゴミ」を「お兄ちゃん」に置き換えちゃったら、まるで「お兄ちゃん」が「粗大ゴミ」以下の存在になっちゃうからね?』と……」

「お兄ちゃんってば、よく今朝の会話を一字一句ちゃんと覚えていられるよねぇ……」

「まぁ、そんな流れで……俺はせっかくの日曜だと言うのに、朝から『妹の買い物の荷物持ち』と言う大役をまかされて、お前のウィンドウショッピングに連れまわされたわけだが……」

「うん、それの何処が不満なのかにゃ?」

「不満しかないよ!? だって、俺は妹の『荷物持ち』で付いてきたのに、お前何も買ってないじゃん!」


(これじゃあ、俺いらなかったよね!?)


「はぁ……お兄ちゃんってば本当に何も分かってないなぁ~」

「え、分かってないって……何が?」

「『ウィンドウショッピング』なんだから見て回るだけで、実際に買う予定なんてあるわけないじゃん?」

「じゃあ、はなっから『荷物持ち』必要ないじゃん!?」

「あ、そうだねぇ~……テヘ♪」


(はぁ、お兄ちゃんってば……本ッ当ーに! 何も分かってないなぁ~……。お兄ちゃんが一緒じゃないなら、そもそも『ウィンドウショッピング』する意味もないんだよねぇ……)


「じゃあ、お兄ちゃん。そろそろ、休憩も終わりにして――」

「おう、帰るか!」

「ちぎゃーうでしょ! まだお昼なのになんでもう帰るの!?」

「はぁあ!? だって、もう買い物は終ったんじゃないのかよ?」

「それはさっきのデパートだけでしょ? まだ、夜までは時間があるんだから、今度は向こうのショッピングモールの方に行ーくーのぉ~っ!」

「えぇえええ!? まさか、俺は夜までずーとお前の買い物につき合わされるのか!?」

「むぅ~っ! だって……最近のお兄ちゃん、私以外の妹(偽)にかまってばっかりだったしぃ~、これはその罰なの!」

「まさか、お前……俺が姉ヶ崎にばっかりかまってたのを未だに根に持って……」

「そ、そんなんじゃない……よ? それに、私の買い物にばっかりつき合わせるのも悪いから、次のショッピングモールでお兄ちゃんのデート用の服も選んであげるから~! ほら、もう直ぐ冬服が必要になるし……ね♪」

「はぁ……分かった分かった。付き合えばいいんだろ」

「わーい! やった! お兄ちゃん、大好き♪」

「安っぽい『大好き』だなぁ……」


(まぁ、最近は妹にかまってやれなかったし、今日くらいは『妹孝行』してやるか……)


(まぁ、お兄ちゃんも体育祭で忙しかったし、今日くらいは『兄孝行』で甘えてあげないとね~? にゃフフ♪)


 カランスカ~ン♪


「ありがとごじゃました~」


(ひぃーっ! まったく、忙しいって言うのに、またカップルが一組イチャイチャしてる――って、男の方はいつも違う女をつれてくるハーレム男じゃん……。今日はどんな女の子をって……『お兄ちゃん』って、言ってるから兄弟かな? ……いや、あのハーレム男のことだし『妹プレイ』なんて可能性も……うわぁ。だって、あの二人の雰囲気ってただの兄妹にしてはイチャイチャしすぎじゃない? ハッ! ま、まさか……本当の兄妹だけど『禁断の――』的な!? って、いけない! 今はバイトに集中しなきゃ!

 フン、私だっていつまでも寂しいシフトにしかモテない女だと思ったら大間違いよ! 何故なら、私もついにバイト以外に夢中になれる人を見つけたんだから!

 そう、その人の名は――、


『イクメン戦国』!


 いつまでも、三次元の男にこだわる必要なんてなかったのよ!

 この最近リリース開始した『イクメン戦国』なら、数々のイクメン戦国男子が私を見てくれるんだから! 今日のバイト終りにはメンテが開けて新しいガチャが実装される予定なんだし~♪ しかも、今回のガチャから通常のイクメンキャラに加えて、レア度の高い戦国武器っていうのもガチャから出るようになる見たいだし楽しみだな~♪

 でも、このガチャって結構確率が渋いんだよね……。星5のイクメン男子は確率が1%だから、今回の星5キャラも来るか……でも、1%の確率なんだから100連くらい回せばあたるよね!? そのためにバイトの回数も増やしたんだし……フフフ、新たなイクメン戦国男子が私を待ってるわ! このバイトが終ったら、目当ての星5キャラだけは100連でも300連でもして出るまでガチャを回すんだから!)


 カランスカ~ン♪


「いらっしゃいませー♪」







【次回予告】


「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ♪

 クフフ~♪ 『何故かの』の書籍化、驚いたかしら? 一応近況ノートには詳しい情報は書いてあるのだけど、ここでも報告させてもらうわね?」



タイトル『何故か学校一の美少女が休み時間の度に、ぼっちの俺に話しかけてくるんだが?』


レーベル『MF文庫J様』


イラスト『西沢5ミリ様』


発売日『11月24日』



「もちろん、皆は発売日に書店で買ってくれるわよね? もし、皆が発売日に買ってくれて、初動がよければ『何故かの』の2巻や3巻も夢じゃないんだからね? そうなればいずれ……私たちの水着回が書籍化されて、水着姿のイラストが見れる日が来るかもしれないわね♪


因みに、わたしや桃井さんの一人称が変わっていたのも書籍化の伏線だったのよ♪


 さーて、次回の『何故かの』は?」


次回「山田、フラグが立つ!」 よろしくお願いします!


「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ! 出す手は決まった? もちろん、わたしは決めてるわ。じゃあ、いくわよ?

 ペタペタ・ペタりん♪  じゃん・けん・ポン♪」 















































【グー】


「皆のコメント、評価、待ってるわ♪」


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