第233話「男子会」


「まぁ……何だ。狭い部屋だが上がってくれ」

「うわぁ! マジで狭いな!? てか、石田。お前これ狭いんじゃなくて、部屋が汚いだけじゃねぇ? 勉強道具から漫画とか散乱してるし……」

「う、うるさいな、安藤! 仕方ないだろ……。まさか、僕の家にキミ達をあげることになるなんて思わなかったんだからな!」


「おじゃましまぁあああああーーす!」

「ウェーイ!」

「おら、山田と沢渡! ここは副会長の家なんだからあんまり騒ぐなよ!」

「吉田、その調子で山田と沢渡の相手は任せたから」

「はぁあ!? おい、安藤! 俺だけでこいつらの世話を――」

「ハッハッハ! マイ・ベスト・フレンド安藤! まさか、これが『庶民の部屋』と言うんじゃない、よねキラーン!

「ほら……俺はコイツの相手しなきゃいけないから……」

「お、おう……分かった」


「何でこいつらがボクの家に……ッ!」


(元はと言えば、今日の生徒会で――)



『石田ぁ~? そろそろ生徒会室閉めていい~?』

『あ、安藤! ちょっと待ってくれ……あと少し、これだけ終らせればキリがいいんだ!』

『明日でいいじゃーん! もう、朝倉さん達は先に帰ったぞ……』


 ガラガラ~!


『ハッハッハ! やぁ、マイ・ベスト・フレンド安藤! このボクがわざわざ遊びに着てあげたよ! さぁ、一緒に友情を深めようじゃないか、ねキラーン!

『あんどぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! 数学! 数学おしえてくれよぉおおおおおお!』

『ウェェエエエエエエイ!』

『……安藤。お前って数学得意なんだよな? 山田と沢渡が数学で追試らしんだよ。だから、こいつらに数学教えてくれねぇか?』

『ギャハハ! おいおい、追試は吉田も一緒だろ?』

『ウェーイ!』

『ちょ、バカ、山田! お前、それは言うなよ!』


『いや……この時間でこられても、生徒会室もう閉めるよ……』


『『『『え!?』』』』



(――っと、なった結果……。何故か、学校から一番近い僕の家に集まることに……)


「まったく、いきなり家に来られるこっちの迷惑も――」


 ガチャ ← 石田の部屋のドアが開く音


「ねぇねぇ、パパたら見て見て! いつもメガネだけが友達みたいな学生の頃のパパにそっくりだったあの子が……友達をつれて来たのぉ~! それに一気に5人もよ!? キャァ~! ママ、安心したら涙が……あの子ってば本当にパパ似だから、学校で堅物メガネって言われて非リア充まっしぐらの『ぼっち』だったらどうしようって思ってたのぉ~」

「おぉ……確かに、家では学校の話も友達の話もしないから、ウチの子はもしかして『ぼっち』なのかと、心配してた息子が家に友達を――って、なぁ……ママ? ちょっと、さっきから学生時代のパパを引き合いに出すのは止めてくれないかな……?」


 バタン ← 石田の部屋のドアが閉まる音


(……か、母さんに、父さん!? 何でそんな所から覗いているんだ! てか、そのヒソヒソ話やめてくれ! コイツ等に聞かれるだろ!?)


「石田……なんか、いきなり来てゴメンな?」

「安藤……キミに謝れるのがこんなに屈辱だと思ったのは初めてだ……」


(くっ……誰かボクを殺せ!)


「よっしゃぁああああああ! じゃあ、皆ぁああああああ! 何して遊ぶよ!?」

「ウェーーイ!」

「君達は安藤に勉強を教えてもらいに来たんじゃないのか!?」

「なぁ、副会長? そういうけどよ……。この状況でまともに勉強が出来ると思うか?」

「ん? この状況って……」


(どういう意味――)


「ハッハッハッ! 君達、庶民の学校とはこの程度の数式も解けないのか、ねキラーン!

「うぉぉおおおおおお! すげぇええええ!? 白銀の坊ちゃまが俺の解けなかったッ問題を一瞬で解いちまったぞ!」

「ウェーイ!?」

「バカ、白銀! これは山田達の問題なんだから勝手に解くな!」

「よっしゃああああ! 問題も解き終わったし、皆で宝探ししようぜ! この部屋なんかゴチャゴチャしてるから探せば面白いもの出てくるぜ!」

「ウェーーイ!」

「山田ぁあああああああ! 問題を解いたのはお前じゃなくて白銀だろ! 沢渡も山田に釣られるな! ……でも、石田の部屋を荒らす――じゃなくて探すのは面白そうだな……」

「ハッハッハ! 安藤キラーン! では、このボクとどっちが面白いものを探せるか勝負しないか、ねキラーン!

「おい、バカ者共!? そ、それは止めろォオオオオオオオ!」


「……な、勉強にならないだろ?」







おまけSS【人狼ゲーム】



*ここからは久々の『おまけSS』となります。話の続きにはなりますが『人狼ネタ』ですのでご了承いただけると幸いです。皆も誰が人狼か一緒に考えよう!



「第一回~、人狼ゲーム……」


(てか、これ吉田の持って来たカードゲームなのに、何で『ぼっち』の俺が仕切ってるんだ……?)


「よっしゃぁあああああああああああああああああ! 人狼なんかに負けないぜえええええええええ!」

「ウェーイ!」

「……まぁ、このバカ二人に負けることはないだろう」

「ハッハッハ! 例え、ゲームであろうとボクが完璧なリア王であることを証明して見せようじゃない、かキラーン!

「まったく、何で僕が君達とゲームなんか」

「そう言いながら、石田もちゃっかりゲームには参加するんだな……?」

「し、仕方ないだろ! 君達だけに遊ばせて、また部屋を荒らされても困るからな!? それに、今日は北高の生徒会長もいるんだぞ? 君達に任せて失礼があれば南高の恥になるからな……フ、フン!」

「ハイハイ、そうですね……」


(仲間外れが嫌ならそう言えばいいのに……このツンデレめ)


「じゃあ、カードを配るから、それぞれ配られたカードを確認したらゲームを始めるぞ」

「ちょ、ちょっと待ってくれ、安藤!」

「石田、どうした? もしかして、文句でもあるの?」

「いや、そうじゃなくてだな……この『人狼ゲーム』とは一体どんなルールなんだ?」

「なんだ、人狼のルール知らないのか……えーと、他にルール知らない奴はいる?」

「ハッハッハ! 安藤キラーン! ボクの親友としてルールを説明する権利を上げようじゃないか、ねキラーン!

「えーと、吉田は当然知ってるよな? だって、これ吉田の持ち物だし」

「ああ、それに山田や沢渡も俺と一緒に遊んでるから覚えているはずだぜ?」

「モチのロンだぜ! つまり、人狼に……えっと――つまり、生き残ればいいんだぜ!」

「ウェーイ!」

「……吉田、一応こいつらにも説明しておく?」

「そうだな……」


『人狼ゲーム』


①カードを全員に配るよ! 配ったカードは自分だけが見れるよ!


②殆どのカードは『市民』のカードだけど、一人だけ『人狼』のカードが配られているよ!


③誰が『人狼』のカードを持っているか話し合いで探ろう!


④話し合いをして『人狼』だと思う人を多数決で決めよう!


⑤多数決で選ばれた人はゲームから脱落だよ。


⑥『人狼』が残ってたら、好きなプレイヤーをゲームから脱落にできるよ!


⑦残っているプレイヤーで、また④からゲームを始めよう!


『勝敗』

・多数決で『人狼』が選ばれたら残っている『市民』の勝利だよ!

・『人狼』が『市民』と同数以下になったら『人狼』の勝利だよ!



「まぁ、こんな感じかな? じゃあ、配ったカードを確認して始めるぞ」

「よっしゃぁああ! 俺の役職は何だ!? 市民だ市民だ市民だ市民だ市民だ市民だ市民だ市民だ市民だぁあああああああああ!」

「いや、だから、山田……それ言ったら意味がないって毎回言ってるだろ?」

「ウェーイ!」

「ハッハッハッ! 安藤キラーン! ボクのカードは『リア充』に決まっているよ、ねキラーン!

「いや、そんな役職はねぇから……」

「なるほど……つまり、話し合いの内容から誰が『人狼』かを当てる頭脳ゲームのようなものなんだな」


(頭を使うゲームなら、学年テスト総合二位の僕が有利だな! 安藤は悪知恵が働きそうだが……北高の生徒会長はこういうのには向かない性格だろうし、他の三人は安藤に勉強を教わりに来るくらいだし論外だろう。

 さて、僕のカードは――)


「あ、それと『市民』の中には二つ『市民(占い師)』と『市民(騎士)』ってカードがあって、この二つは多数決の後にこのルールブックに書いてある行動が出来るから」


・『占い師』は好きなプレイヤーを一人選んでその人のカードを確認できるよ!

・『騎士』は好きなプレイヤーを一人選ぶ、選ばれた人は⑥で『人狼』に狙われても脱落しないよ!


「おい、安藤! そういう大事なことはもっと先に言ってくれ!」

「仕方ないだろ……。人狼のルール説明なんて人に話すことあまりないんだよ……」


(普段はラノベの中で出てくる人狼ゲームを見たりするだけで、あまりやった経験はないからなぁ……)


「なるほど……これを読むかぎり『騎士』は自分以外のプレイヤーを『人狼』から守れるのか……」

「だから『騎士』は誰が『人狼』なのかを見極めると言うより『人狼』に狙われそうなプレイヤーを見極めるのは重要だな」

「おい、二人とも? カードはもう皆確認済みなんだし、ルールの確認はそれくらいにして話し合いを始めようぜ?」

「ああ、そうだな。すまない」

「吉田の言うとおりだな……始めますか」


(さて、まずは何を質問するか……)


「じゃあ役職の無い『市民』の人は手を上げてー」

「お、おい! 安藤!? いきなり、そんな質問をしていいのか!? そもそも、

そんな質問に誰も正直に答えてなんか――」

「はいはいはぁあああああああい! 『市民』は誰だ!? それはぁ~、俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だぁあああああああああああ!」

「ウェーイ!」

「――って、答えただと!?」

「副会長、そんなに驚くことじゃねぇぞ? これが嘘を言っている場合もあるから、本当にこいつらが『市民』だとは限らないし、正直に言った場合『人狼』に狙われる可能性もあるから『市民』がワザと手を上げない場合もあるんだよ」


(まぁ、このバカ二人の場合に限っては嘘ってことはなさそうだけどな……)


「あ、なるほど……そういうことか。でも、じゃあ、安藤はなんでこんな質問をしたんだ?」

「そりゃあ、何でもいいから情報が欲しいからだよ。人狼ゲームの場合は最初でどれだけの情報が手に入るかが重要なんだ。多数決を何回もやればやるほど、人数が減って『人狼』の勝利が近づくからな……。それに、今の質問で手を上げなかったのが『俺』『石田』『吉田』『白銀』の四人だろ? 山田達が正直に『市民』で手を上げてた場合、残っている役職は……『市民』『市民(占い師)』『市民(騎士)』『人狼』の四つだろ? つまり、この中に『市民』だけど手を上げなかった奴が最低でも一人はいることになるんだよ」

「つまり、そういう情報の中から誰が『人狼』で『市民』なのかを探すと言うことか……」

「じゃあ、今度は俺が質問をさせてもらうぜ?」


(俺の質問は――)


「残念ながら、もう生えて来ないと思います……」

「吉田の毛根はもう来ん! なんてな!」

「ヒェーイ!」

「誰が髪の毛の質問だなんて言った!? てか、生えて来るからな!? これはボウズにしてるだけで『ハゲてる』わけじゃねぇから!」

「哀れな庶民よ……。時には素直に諦めることも重要、さツルピカーン!

「おい、北高の会長! 初対面の癖に、お前も大概失礼な奴だな!?」

「えっと、そのなんだ……。諦めたらダメだよな。うん……」

「副会長!? なんか、真面目なコメントやめてくれる!? なんだかんだで、それイジられるよりダメージ来るんだけど!」

「毛根にはダメージすら感じないのにな……」

「吉田の毛根はもうダメージも来ん! なんてな!」

「ハゲェーイ!」


「テメェらは黙ってろ!」


「はーい。じゃあ、多数決を取りたいと思いマース……吉田の毛根はもう手遅れだと思う人!」

「はいはいはいはいはいはぁああああい!」

「ウェーイ!」

「ハッハッハッキラーン!

「…………」

「では、多数決の結果……吉田の脱落が決定しました~」

「多数決で聞く内容ちがくね!? 『人狼』を選ぶんじゃないの!? って、副会長ぉおおおおおおおおおおお!? 何で、無言でシレっと手を上げてるんだよ!? おい、こっち見ろよ!? 石田ぁああああああああ!!」


 【吉田】脱落


「……じゃあ、俺が脱落したから、他のプレイヤーは目を閉じやがれ、このクソ野郎共……」 ← 最初に脱落したので進行役になった吉田

「進行役はもっと、丁寧な言葉遣いでお願いしまーす」

「チッ……安藤、お前本当にいい性格してるよな。わかった、わかったよ!

 最初の夜です『人狼』は顔を上げて脱落させたい人を指差してまた伏せてください!

 次に『占い師』は顔を上げて占いたい人を指差してまた伏せてください!

 最後に『騎士』は顔を上げて守りたい人を指差してまた伏せてください!

 ……はい! 全員顔を上げてください!」


「これで、また話し合いからスタートだな」

「なるほど、こうして、最初に脱落した人間が進行させるのか……」


(フムフム、大体の流れはつかめたぞ! ここからは僕も本気を出して――)


「えー、では『石田』が『人狼』の犠牲者になりました! 『石田』抜きで話し合いを進めてください」

「何ィイイイイイイイイイイ!?」


 【石田】脱落


「…………」


(これで、残るのは『山田バカ』と『沢渡バカ』に『白銀バカ』だけ……楽勝だな)



 結局この後、安藤人狼が一人勝ちしてゲームは終わった。





【次回予告】


「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ♪

 安藤くんってば、途中からツッコミサボってたわね……。 

 さーて、次回の『何故かの』は?」


次回「女子会」 よろしくお願いします!


「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ! 出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ?

 ペタペタ・ペタりん♪  じゃん・けん・ポン♪」 




































【パ――】





と、みせかけて【チョキ】


「皆のコメント、評価、待ってるわ♪」


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