第207話「花言葉」
「朝倉さん、このようなワンピースはいかがでしょう?」
「早坂さん、ありがとう。あら、凄くいいワンピースだわ! でも、これだと……胸元が強調されてだ、大胆じゃないかしら……?」
(胸元が大きく開いたワンピースとかだと、私って胸元が若干控えてだから、あまり似合わないのよね……)
「朝倉さん、それなら問題ありません。ほら、このようにこちらのストールと組み合わせれば――」
「まぁ! これなら、そこまで大胆じゃないし、私に似合って清楚なイメージね! 早坂さん、一緒に服を選んでくれてありがとうね?」
「とんでもございません。早坂も、朝倉さんと一緒に服を見れて十分楽しませていただいております……」
「そ、そうかしら?」
「ええ。早坂はこうして同年代の女性と服を見に来る経験はあまりないので……」
「そうなのね……実は、私も女の子の友達とはあまりこういう所は来ないようにしているから、気持ちは分かるわ」
「……朝倉さんもそうなのですか?」
「……早坂さんもそうのね」
((――だって、他の子は皆、胸が大きい子ばかりだから!))
「あの人達には早坂の気持ちが分からないのです! この前、メイド達と衣替えのメイド服を選んだ時なんか――
『えぇー! だって、この服きつそうじゃない? 特に胸元とか?』
――ですか! 早坂は生まれてこの方、ウエストがきつくなることはあっても、胸元なんか一度もキツイと思ったことありませんよ! むしろ、その話を聞かされて胸が詰まる思いです!」
「そうなのよね! 私なんか親友に『E』カップがいるのよ! しかも、この前……流れでうっかりその子とデパートの下着売場に来たら……
『えへへー、実は最近下着がキツイんだよねー。また大きくなっちゃったのかなー?』
――よ! こちっとは『また』なんて接続詞一度もその話題で使ったことないわよ! なんなの! 自慢なの!? そんなに邪魔なら私がもらってあげるから一割でもいいから今すぐによこしなさいよ!」
「そうなのです。そうなのです……それに比べて、朝倉さんは――」
「そうよね。そうよね……それに比べて、早坂さんは――」
((『大きくない』から、話しやすい!))
「…………なげぇ」
(朝倉さんと、早坂さん、すっかり意気投合してるな……てか、何の話で盛り上がってるんだろう?)
「ハッハッハッ
(つまり、彼女達が笑顔なら、それでいいじゃない、かね
「……うん、何言っているのかサッパリだわ。てか、おたくの
(結局、あの後何故か行動を一緒にすることになり、女性人二人で服を見に行った挙句……女性服入り場に入る度胸も無い俺はこのウザさわやか王子の坊ちゃまと二人っきりで取り残されたわけだが、会話しようにも俺コミュ障だし、坊ちゃまは何言っているか分からないし……)
「ハッハッハッ
「ツバキ……なにそれ美味しいの?」
「ハッハッハッ
「完璧……」
(……なるほど、確かに早坂さんは朝倉さんと同じで『完璧(完全に鉄壁な胸の略)』だな)
「つまり『完璧(虚乳)』同士で気が合うだろうから二人っきりにしたってことか?」
「ハッハッハッ
「…………は?」
(なんか、坊ちゃまからいらないカミングアウトを聞いてしまった気がする……)
「えっと……おい、坊ちゃま? その告白は俺みたいな奴に話してよかったの……?」
「ハッハッハッ! 別に、君みたいな従者に話したところで何も問題が無い、さ
「…………え?」
「いらっしゃいま――」
(――ハッ、塩!)
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ。
さーて、次回の『何故かの』は?」
次回 「完璧な人間」 よろしくお願いします!
「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ! 出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ?
ペタペタ・ペタりん♪ じゃん・けん・ポン♪」
【チョキ】
「今回は短めの更新でゴメンなさいね? お詫びに山田を置いておくわ♪」
「皆ぁあああああああああああああ! 今回は短い更新でごめんぬあぁあああああああああああああああああ! その代わりにぃ~ 俺が来た! 皆、俺の名前を言えるかぁああああああああああああああああああああい! そう! 俺の名前はぁあああああああああああーーーーっ!!!
俺だ俺だ俺だ! 山――
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