第203話「お前だけの現実」
「やぁやぁ、これは朝倉さんじゃないか! 合同体育祭の打ち合わせではお世話になった、ね
「やはり、我が
「え、ええ……北都高の白銀さんと早坂さんも、こんな所で奇遇ね♪」
「ハッハッハ! まさに、そう、だね! しかし、朝倉さんの方も面白い組み合わせ、だね
「…………」
(ああ、そうか。そういえばコイツ俺のことを生徒会長じゃなくて、雑用係かなんかと勘違いしてるんだったな。まぁ、誤解を解くと余計ややこしくなりそうだしなぁ……)
「えーと、白銀くん? 安藤くんは――」
「ハッハッハ! 朝倉さん、みなまで言わなくても大丈夫、さ! 僕には分かるよ。確かに僕や朝倉さんのように気高き『リア充』には従者となる者が必要だから、ね
「え……従者? それをいうならお二人だって――ハッ! もしかして……」
(確か、白銀さんは何処かの御曹司で、早坂さんはその家のメイドさんだって聞いたけど……まさか『従者』とは『恋人』の隠語!? 白銀くんは私達が付き合っているのに気づいて、その隠語を使ったのね! だとしたら、白銀くんと早坂さんも――はっ! ご主人様とメイドの禁断の恋!? って……キャァ~~ッ!)
「ウキャァ~ッ!」 クネクネ~♪
「…………」
(朝倉さんのことだから、ご主人とメイドの禁断の恋とか突拍子もないこと考えてるんだろうなぁ……。どうせ、北都の生徒会長が何かのワガママ言ってメイドの早坂さんを連れ回してるだけだと思うけど……)
「二人は……その、デートの途中だったりするのかしら?」
「それは――」
「ハッハッハッハ! 朝倉さん、残念ながらこれはデートではない。これは、僕がリア充を極める為の『勉強』なの、さ
「「リア充を極める勉強?」」
「そうさ! 僕はいずれ全てのリア充のトップに立つ男、さ! だけど、早坂が――
『坊ちゃま。真のリア充を極める為には、庶民が行うデートと言うのも勉強するべきではないでしょうか? 僭越ながら、この早坂。坊ちゃまの為なら、庶民のデートスポットをご案内させてもらう所存です……
あ、因みに、ケーキが美味しいと評判のカフェがあるので、早坂は坊ちゃまのお金でなるべく高いケーキをご馳走になりたい気分でもあります』
――って、アドバイスをくれてね! だから、早坂に庶民のデートを教えてもらいにきたの、さ
「「それ、メイドに高いケーキをタカられてるだけじゃない!?」」
「お二人とも少々勘違いしていませんでしょうか? 別に、この早坂、坊ちゃまにケーキを奢らせたのは、ただ『高いケーキが食べたかった』だけではなく、坊ちゃまに『デートのマナー』を教えていたからなのです」
「…………」
(いや……『高いケーキが食べたかっただけではなく』――って、普通にタダでケーキが食いたかったのを認めてるよね?)
「え、デートのマナー……って、高いケーキを奢らせることが?」
「そうなの、さ! 朝倉さん。早坂が言うにはデートの費用は男が全額を出すのが、できる男の『デートのマナー』なの、さ
「ちょ、はぁ!?」
(おい、そこのバカっちゃま! 何、朝倉さんの前で『
「そう……かしら? 別に、私はそういうのは気にしないけど?」
「朝倉さん……ッ!」
(朝倉さん、マジ女神! スカスカとか言ってスミマセンでしたぁあああぁあ! せめて、次のデートくらいはまともな所に連れて行けるように頑張ります……とりあえず『と○ま園』くらいには連れて行ってあげられるようにお金をためよう!)
「そうでございますか……確かに、中にはそういう人もいるでしょう。それはきっと、そのパートナーに『金銭』以上の魅力を感じているからだと、早坂は思います」
「ええ、そうかもね♪」
(確かに、安藤くんの魅力は『お金』なんてモノでは計れないわね……なんたって、安藤くんの魅力には『安藤ニウム』って言う、私の脳回路に直接幸福的指数を発生させる成分が――)
「……しかし! 坊ちゃまみたいに『財力』だけが『魅力』の人間にはこの戦い方しかないのです! 坊ちゃまみたいな『世間知らず』の『能天気ナルシスト人間』が白銀家に見合うパートナーを手に入れるにはその恵まれた『財力』を惜しみなく活用し『金の力』で相手の判断能力を鈍らせて、奪いとるしか無いのですよ!」
「「なんか、すげえ開き直り始めた!?」」
((でも、確かに言われてみればそんな気もする……))
「ハッハッ! 早坂、それだと僕が『お金』以外に魅力が無い人間に聞こえる、よ
「…………」
「…………」
((いや、その通りだと思うけど……))
「坊ちゃま。私は決して、そのような意味で言ったつもりは――」
(――ありますが……)
「ハッハッハッ! 早坂、みなまで言わなくても分かる、さ! 僕に難しい話は分からないけど、早坂は僕のような恵まれた人間は庶民への施しを忘れちゃいけないってことだよ、ね
「あぁ――まぁ、はい……そんな感じです。坊ちゃま」
「…………」
「…………」
((何か適当に流しちゃった!?))
「フム、ちょうどいい機会だし……早坂、今日は彼女達と一緒の席に座らせてもらおうではない、かな
「……マジ?」
「え……」
(せっかくの安藤くんとのデートだから、できれば二人きりが良いけど――でも、そんなこと交流相手の生徒会長に言えるわけないわよね……)
「なるほど……朝倉さん達、お二人の事情をまったく考慮しないこのご提案……流石は坊ちゃまです。この早坂、坊ちゃまのその図々しさに御見それいたしました」
「ハッハッハ! そんなに、褒めて照れるじゃない、かね
「「うわぁ……」」
((早坂さんの嫌味がまったく聞いてない!?))
「では、朝倉さん。申し訳ございませんが……坊ちゃまがこう言うのでご一緒させていただいても良いでしょうか?」
「わ、私はかまわないけど……」
(本当は安藤くんと二人っきりが良いけど……、こんな所で断れる勇気なんて――)
「結構です」 キッパリ!
(いや、純粋に数回会っただけの他人と相席とか嫌でしょ……?)
「「え、ええぇええええええええええええええええ!?」」
(安藤くん! 何を断っているのよぉおおおおおおおお!? って――ハッ! もしかして……これは安藤くんの『私を独り占めしたい』って気持ちの表れなの! そ、そうだとしたら……キャーッ! 愛が大きすぎるわよぉ~~♪) スカスカ
(この人……この状況で坊ちゃまの相席を断るとか正気ですか!? そんなことして、坊ちゃまの機嫌を損ねたら学校交流目的の合同体育祭にどんな影響が出るか――)
「ハッハッハ! では了承の返事ももらえたことだし遠慮なく座らせてもらおう、かね
「え、何で……?」
((でも、坊ちゃま超強引に相席しちゃったぁああ――――ッ!?))
「ハッハッハ! 君は面白いことを言うね。何故って、君が僕に返事をしたのだよ?『
「お、おう。そうか……」
(お前が思うなら、そうなんだろうな……お前だけの現実では、な?)
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ。
さーて、次回の『何故かの』は?」
次回 「語彙力とケーキ」 よろしくお願いします!
「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ! 出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ?
ペタペタ・ペタりん♪ じゃん・けん・ポン♪」
【グー】
「次回予告のタイトルは嘘予告になる場合もあるわよ♪」
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