第202話「メイドとご主人様」
「い、いらっしゃいませー……二名様でよろしかったでしょうか……?」
(何だ、こいつら? 見た目はカップルだけど、会話がご主人様とメイドって言うか……そういうサービス?)
「ハッハッハ! 何名か? など、愚問だね……何故ならば! 僕という完璧なリア充はこの世にただ一人しか存在しないから、ね
「バカですか、坊ちゃま? 勝手に私の存在を抹消しないでください。すみません、二名でお願いします」
「か、かしこまりましたぁ~……」
(え、つまり何? 『キャァ~! 私達、二人だけど~? 二人で一人のカップルだから~
「そ、そこら辺の席へどうぞ~……」
(この世のありとあらゆるY染色体絶滅しろ!)
「ハッハッハッハ! 早坂、一体僕はどこに座ればいいの、かな
「先ほど、店員さんに言われたセリフをまったく聞いていないとは……坊ちゃま、流石です」
「ハッハッハ! 早坂、この程度のこと褒めるまでもないさ……なんたって、僕はリア充の中の王になる存在――『リア王』だからね
「あ――はいはい、凄い凄い。流石は坊ちゃまですね。略して『さす坊ちゃ』です」
「ねぇ、安藤くん。アレって……」
「朝倉さん、言うな! アレに気付かれたら絶対に面倒な事になる!」
(ここに来て、北都高の生徒会コンビだっとぉおおおおおおおおおおお!?
何であいつらがこんな所でデートみたいな事してるんだ? え、もしかして北都高の二人ってそういう関係?
てか、俺はあっちの会長に生徒会長だと言う事がバレたら、絶対に面倒な事になるしできればこのまま隠れて店を出たいんだけど……)
「安藤くん? …………ヌハッ!」 ガラガラスッカァーン! ← その時、朝倉さんに電流が走る音
(――ハッ! 安藤くんったら、もしかして……。私と二人っきりのデートを邪魔されるのを嫌がっているのね!? だから、安藤くんったら北都高の二人が来た瞬間、身を低くして見つからないように体を隠したんだわ! んもぉ~~う♪ 安藤くんったら、そんなに私と二人っきりが良いからって、愛が深すぎるでしょぉ~~♪)
(……こんな状況なのに、朝倉さんは何で体をクネクネさせてんだろう?)
「朝倉さん? できれば、朝倉さんも見つかんないよう身を低くしてほしいんだけど……」
「ウフフ~♪ 安藤くんったら、仕方ないわねぇ~」 クネクネ~♪
スカーン~、スカーン~ ← 幸せなリア充のオーラ
「ハッハッハッハ! では、ミス早坂。僕達はあのテラスの席を――」
(むむむ……? なにやら、近くから凄いリア充のオーラを感じる、ね
「――っと思ったが、やはり、あの奥の席にしよう、かね
「かしこまりました。坊ちゃま」
(三度のティータイムより、目立つ事が好きな坊ちゃまが人気の無い奥の席を選ぶなんて珍しいですね……って、あれは――)
(ぎょえぇええええええええええええええええええ! 北都の生徒会長、よりにもよって俺達のいる席の方に近づいてきたんだけど!? や、ヤバイ……。このままだと奴らに見つかってしまう! 何とかして、隠れるか逃げるかしないと――)
「もしかして……そちらのカップルは、南都高の生徒会の方でしょうか?」
「ッ!?」
(ヤバイィイイイッ! きき、気づかれ――いや、まだだ! 幸い、相手のあの話し方は『もしかして、知り合いかな?』程度でまだ確信は持っていないはず! ならば、今取れる最善の選択肢は『認める』では無く『誤魔化す』でも無く『無視する』だ!
何故なら、下手に誤魔化すとかえって、相手に興味関心を持たれてしまうからだ。
その分、相手の呼びかけを無視する方法なら、こっちが無視すれば相手は『あれ、やっぱり、雰囲気が似ているだけで他人かも……』っと、間違って他人に声をかけてしまった羞恥心で保守的になり、それ以上は声をかけてこなくなるからだ。
ソースは中学の時に妹と間違えて、他クラスの女子に声をかけてしまった、俺!)
「朝倉さん、ここは無視を――」
「あら、北都高の早坂さん達じゃな~い♪ って、あらヤダ! 隠れていけないといけなかったんだわ……」
(カップルって言われて、嬉しさのあまり反応しちゃったわ……) スカーン……
(この――、スカスカがぁああああああああああああああああああッ!)
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ。
さーて、次回の『何故かの』は?」
次回 「安藤ニウム」 よろしくお願いします!
「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ! 出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ?
ペタペタ・ペタりん♪ じゃん・けん・ポン♪」
【グー】
「次回予告のタイトルは嘘予告になる場合もあるわよ♪」
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