第194話「拷問」
「そう……つまり安藤くんが姉ヶ崎先輩と一緒にいたのは生徒会の現状報告だったのね」
「うん、だから委員長が言ってたようなことは一切無いから安心していいよ。朝倉さん」
「ありがとうございましたー」
(お、あのカップルだけ店に残ったけど……ついに、二人っきりになって別れ話か?)
「ふぁ~良かったわ……ハッ! と、当然、私は安藤くんが浮気なんてしないって信じていたんだからね!? ほ、本当よ!」
(もぉ~、モモと委員長も浮気が誤解だと分かったとたんに帰っちゃうんだから! 姉ヶ崎先輩も『これ以上ここにいると不愉快な誤解が生まれそうなのでこれで失礼いたしますわ』って、帰っちゃうし……)
「朝倉さん、大丈夫だよ。俺は全部分かってるから、どうせ悪いのは全部委員長だから」
(どうせ事態を面白がった委員長がそそのかし、朝倉さんがポンコツでついでに桃井さんが軽く噛んでいる。まぁ、そんな所だろうな……よし、罰として明日のトイレ掃除は山田にやらせよう)
「でも、安藤くん。姉ヶ崎先輩に生徒会の活動報告のついでに相談もしているって言ってたけど、具体的に何を相談していたの?」
「え、まぁいろいろなんだけど……この前で言えば生徒会のトイレをいち早くウォシュレットに変えるための迅速な手続きのすっ飛ばし方とか相談したし、今日は――ほら、この前北都高が来て話した『合同体育祭』? アレについて――」
『実際に、去年の合同体育祭を仕切って北都高に惨敗した元生徒会長さんにお聞きします! ずばり、惨敗した敗因はなんでしょうか?』
『貴方、この私にケンカ売ってますわよね!?』
「――ってな事を相談したね」
「安藤くん、それは相談って言うより煽っているようにしか思えないのは気のせいかしら……」
(うぅ、安藤くんと姉ヶ崎先輩が変な関係になると思っている訳じゃないのだけど……でも、何故か二人の距離感って妙な不安ができるのよね)
「決めたわ! 安藤くん、これからはその『生徒会の活動報告』私も一緒に参加するわ!」
「え、何で?」
(いや、別に
「いらっしゃいませ~」
(この男……鈍感か!)
「な、何でって……それは――」
(そそ、そんなの安藤くんを独り占めにしたいからに決まって……って、そんな恥かしいこと言える分けないでしょぉおおおおおおおおお!
でも、ここで言えなきゃ――……くっコロ!)
「そ、そんなの……」
「そんなの?」
「へいらっしゃい~」
(お、何か恥かしいことでも言うのか? 流石はバカップ――)
「そんなの……安藤くんの『メインヒロイン』は私たった一人に、決まってるからよ!」
「ありがとうござ――ぐはぁあ!」
(これは……予想以上の恥かしさ……聞いているこっちが恥かしさと甘さで吐くわ!)
「朝倉さん……もしかして、ずっと俺と会長のこと心では気になってたの?」
「だ、だって……それは気になるでしょう?」
「朝倉さん……そうだよね。ゴメンね? 気付いてあげれなくて……」
(そうだよな。いくら朝倉さんでも不安になることくらいあるよね……だからこそ、ちゃんと言葉にして安心させてあげなきゃ!)
「安藤くん……」
「朝倉さん……でも、大丈夫だよ! だって、俺の心の中の挿絵のページは全部朝倉さんだけで埋まっているから!」
「いらっしゃ――うげろぉ!」
(ここに来て、強烈なボディーブローだと!?)
「あ、安藤くん……私もよ! 私だって、心の中の本棚は安藤くん全108巻セットで埋まっているわ! もちろん表紙も背表紙も裏表紙も全て描き下ろしの安藤くんよ!」
「げえぼろぉ!」
(そして、アッパーのコンビネーション……)
「朝倉さん、それは違うでしょ……」
「え、安藤……くん?」
「フッ……表紙は俺達のツーショットだよ♪」
「安藤きゅん!」
「ひでびゅ!」
(もう、やめてぇええええええええええええええええええええ!)
二人が店を出たのはこの2時間後だった。
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ。
なんか最近、どこぞのバイト店員よりも出番が少ない気がするのよね……
さーて、次回の『何故かの』は?」
次回 「権力」 よろしくお願いします!
「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ! 出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ?
ペタペタ・ペタりん♪ じゃん・けん・ポン♪」
【グー】
「次回予告のタイトルは嘘予告になる場合もあるわよ♪」
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