第191話「喫茶店に出会いを求めるのは間違っているだろうか?」



 スカコ~ン♪ カン~♪ コンコン~♪ スカコン~♪ カ~ンコン~♪ ← 普通のチャイムの音



「安藤くん、確か今日は生徒会もお休みだし一緒に帰りましょう♪」

「朝倉さん、ゴメン……今日はちょっと、用事があるから先に帰っててくれる?」

「え、ええ……分かったわ。安藤くん」


(安藤くんが…………用事?)



 ガラガラ~ ←  安藤くんが教室から出て行く音



「ねぇ、サクラ。今日は安藤くんと一緒に帰らないの?」

「あ、モモ。うん……なんか用事があるらしいのよ」

「ふーん、そうなんだ。珍しいねー?」

「ウフフ、そうね。でも、安藤くんも最近は石田くんとか私以外にも話す人が増えたし、いい事じゃないかしら」


(まぁ、それでもぉ~? 安藤くんの『彼女』としては、私を優先して欲しい気持ちも無くはないのだけど……)


「朝倉さん、それは甘いわよ!」


「「委員長!?」」


((毎日学校で会っている筈なのに、何故か凄い久しぶりに見た気がする……))


「委員長、甘いってどう言う事かしら……?」

「朝倉さん、安藤くんのあの行動……もしかしたら浮気の前兆かもしれないわ」

「ウニョッ! ううう、浮気ですってぇえ!?」

「えぇー浮気?」


(うーん、私はあの『安藤くん』に浮気をする度胸があるとは思えないけどねー?)


「二人とも甘いわね……この世に『絶対』なんて言葉は存在しないわよ!

 そんな幻想を信じて『彼氏』だから『彼女』だからと油断していたら、いつの間にか横からしゃしゃり出て来た女に男を取られる事だってあるの! そう例えば、一人だけ名前のもらえないキャラがいたとして――

 彼女は周りのキャラは名前をもらえているし、自分は初期から登場しているメインキャラなんだから、いずれ自分にも名前がもらえるだろうと高を括っていたら……

 気付いた頃には、名前持ちの新キャラがポンポコ増えて! 当の本人は『え、このキャラってもう名前ないのが個性みたいなもんでしょ?』って言う、何処の能力無効系の能力者!? みたいなアイデンティティー勝手に付けられていて……そんなのよこすくらいなら、さっさと名前よこしなさいよぉおおおおおおおおお!」


「…………」

「…………」

 

((何だろう、何故か委員長の言葉に不思議と重みがある……))


「はぁはぁ……って、ことになるわよ!?」

「モモ! もし、委員長の言ったとおりだったら……ど、どど、どうしましょう!?」

「サクラ、落ち着こうねー? あれは委員長の悪い冗談だからねー?」

「でもぉ……」


(思い返してみたら、確かにここ最近安藤くんは私に隠れて先に帰っちゃう事が週一くらいの頻度であるのよね……それで生徒会もちょくちょくサボっているし、もしそれが私以外の女の子との密会だったら!?)


「ほら、委員長も悪ふざけしないでサクラに何か言って!」

「はいはい、分かったわよ。桃井さん」


(しかし、この状態の朝倉さんになんて言えばいいのかしら?)


「…………」

「あうぅ~あ、安藤くんが……」 オロオロ

「もしかしたら今頃、安藤くんは巨乳の女の子と二人っきりだったりして……」 ボソ


「ムギャァアアアアアアアアアアア!?」


(そ、それは絶対にダメェえええええええええええええええ!)


「委・員・長ぉ~~?」

「も、桃井さん、違うの! だって、そう言った方が面白そうだったのよ!」

「あうあう……」


(安藤くんが……安藤くんが私に隠れて、女の子が巨乳と密会なんて……) ← テンパってポンコツになってます


「き、決めたわ……安藤くんを尾行するわよ!」




「で、急いで尾行してみたわけだけど……」

「ねぇ、サクラ。安藤くん、これ何処に向かっているのー?」

「うぅ……モモ、そんなの分からないわよ! 安藤くんの家とは反対方向だし……も、もしかして本当に誰かと会うつもりなの!?」

「いや、朝倉さん。安藤くんは用事があるって言ってたんだから、誰かに会うのは当たり前じゃないかしら……?」

「そうだよねー? じゃなきゃ用事があるなんて言わないよねー?」

「二人とも、安藤くんの事を分かっていないわね」


「「……?」」

 

「安藤くんが用事と言ったら『妹ちゃん』関係または『ラノベ』以外にありえないじゃない! そもそも、安藤くんの交友関係で一緒に行動を共にするレベルの相手は『私』か『妹ちゃん』ぐらいしか存在しないのよ! そして、今日は妹ちゃんが所属するテニス部の活動日だから必然的に安藤くんの交友関係で行動を共にするような相手はいないはず……だからこそ、安藤くんが言っていた用事は消去法で『ラノベを買う』しかないわ!」


(それに、確かこの先にはラノベの品揃えが充実している大きな本屋さんがあるはず……だから、きっと安藤くんの言う『用事』って言うのは今日が発売日のラノベを買いに来たとかに決まっているわ!)


「うーん、確かに安藤くんって積極的に誰かと行動を共にするタイプじゃないよねー?」

「でも、それが安藤くんの言っていた用事だとしたら、何で朝倉さんを誘わなかったのかしら? だって、朝倉さんは安藤くんの彼女だし、二人でよく本屋によって帰るんでしょ?」

「おぉー、確かに委員長の言うとおりだねー。だって、安藤くんはサクラに自分の趣味を隠しているわけじゃないんだから、普通は一緒に買いに来るよねー?」


(それに、確かサクラも安藤くんと同じでライトノベルが好きなんだよね……なら、わざわざサクラに隠れて買いに来るのは怪しいんじゃないかなー?)


「それなんだけど……安藤くんって、女性向け小説の少しえっちぃモノを買う時だけ、何故か私に隠れて買おうとするのよね……」

「女性向け……」

「……小説?」

「えぇ……」


(それなのに、過激な表紙や挿絵のある『魔装魔王のD×H』とか『満腹術師のやり直し』とかのラノベは、私がいても平気で買うし目の前で読むのよね……正直、女性向けのラノベは私の好みの対象外だから読まないけど、挿絵や内容の過激さは一緒でしょ? 一体何が違うのかしら……?)


「あ、サクラ! 安藤くんの向かう先に本屋さんが見えてきたよ!」

「この様子だと、安藤くんの用事は本当にラノベを買いに来ただけのようね……」

「ほ、ほら、言ったでしょう!」


(わわ、私は安藤くんは浮気なんてしないって分かって――)


「え、あれ? 安藤くん、本屋さんじゃなくてその隣の喫茶店に入っちゃったよ!」

「な、何ですってぇえええええええええ!?」

「二人とも、直ぐに追いかけるわよ!」



 カランコロ~ン♪


「いらっしゃいませー、何名様でしょうか♪」

「ちょっと、委員長! もっと隠れないと安藤くんに見つかっちゃうわよ!」

「朝倉さん、大丈夫よ。どうやら、安藤くんは奥の席に行ったみたいだから、そう簡単に見つからないわ!」

「それより、私はもっと声を小さくした方がいいと思うよー? あ、三人であっちの窓側のテーブル席がいいでーす♪」


(あそこの席なら安藤くんの席に近いし、安藤くんの視界に映らないですむかな?)


「あ、はい、かしこまりました♪」


(何だコイツら……)



「それで、安藤くんは!?」

「うーん、どうやら誰かと一緒にいるみたいね?」

「わぁー本当だ……じゃあ、ここで待ち合わせしてたってことなのかなー?」

「そにゃ!? う、嘘でしょ……ああ、相手は誰なの!?」


(ままま、まさか、本当に安藤くんが私に黙って密会なんて……

 一体相手は何処の巨にゅ――)



「安藤くん、遅いですわ! 貴方って人は一体この私をどれだけ待たせたら気がすみますの!」

「いやいや……これでも、学校終わって速攻で来たんだけど? てか、二年は三年と違って短縮授業じゃないんだから俺が来るのが遅いのは仕方ないでしょ……ねぇ、会長?」

「安藤くん、その『会長』と呼ぶのはもう結構ですわ。何故なら、私はもう引退した身です。ですから、私の事は『姉ヶ崎先輩』とお呼びなさいですわ!」

「へいへい、分かりましたよ……ペッタンコ大佐」 ボソ

「貴方、今なんて言いました!? この『ぼっちのスネーク』ぶっ飛ばしますわよ!」



「ねぇ、朝倉さん……」

「サクラ、あの人って……」

「え、ええ……」


(((姉ヶ崎元生徒会長!?)))






【次回予告】



「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ。

 さぁ、やっと私の出番よ! 皆待たせたわね♪ この調子で次回も私、バンバン活躍しちゃうわよ!

 さーて、次回の『何故かの』は?」



次回  「会長ぼっちVS会長ペッタンコ」 よろしくお願いします!



「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ! 出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ?


 ペタペタ・ペタりん♪  じゃん・けん・ポン♪」 



















































【グー】



「次回予告のタイトルは嘘予告になる場合もあるわよ♪」


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