第190話「二位じゃダメなんですか?」



「安藤先輩、私一年だから良く分からないんですけどぉ~、実際のところ北都高とウチの学校ってどっちが今までの戦績的に体育祭強いんですかぁ~?」

「うーん、そうだな。ぶっちゃけ、去年の体育祭の結果も思い出せない俺にはまったく分からんな……藤林さんなら知ってる?」

「うぇえ! わ、私……? あはは、ゴメンね。私も覚えてないや……」

「もぉー、お兄ちゃん! 去年の体育祭はお兄ちゃんの学校が大差で相手の学校に負けてたでしょ? 何で、覚えてないのかな……」


「「め、面目ない……」」 ← ぼっち×2


「お、お前達……僕は一体何処からツッコめばいいんだ」


(とりあえず、藤林には帰りに大好きな『あんまん』でも買ってやるか……)


「ウフフ、そうね。妹ちゃんの言うとおり、去年の体育祭は北都高の圧勝だったわね。何故か向こうの高校って進学校のわりには体育会系の生徒が多いのよね……

 でも、妹ちゃんは良く覚えてたわね?」

「うん、サクラお義姉ちゃん! だって、去年の体育祭で応援しに行った時にあまりにもお兄ちゃんのやる気が無かったんで説教したら――


『ムリムリムリ、だって今のスコア60対150だぜ? イマイチ、チーム分けが意味不明だけど……とにかく俺のクラスの空気が死んでるから逆転は無理だね。もしこれで逆転できたら、俺の持っているラノベを参考書に全部変えてやるよ! うん、賭けてもいいね』


 って、言ってたんでよく覚えてます!」

「なるほど、未だに安藤くんの部屋にラノベがある事が去年大敗した何よりの証拠ね」


(だって、妹ちゃんならその約束絶対に守らせそうだし)


「つまり、体育祭は北都高の方が強いってことなんですねぇ~」

「まぁ、そう言う事になるな……正直、ウチの学校はこと合同体育祭に関しては北都高に負け越している。このままだと、今年も勝つのは難しいだろうな……

 安藤、貴様も生徒会長なんだ。少しはウチの学校が北都に勝つ方法でも考えたらどうだ?」

「えぇ……石田、そんなの別に考えなくてもよくね? だって、話を聞く限り北都高って相当強そうだし――」


(てか、そんなの考えるの面倒だしここは適当にそれっぽいこと言って誤魔化そう)


「フッ、それによぉ……何も『勝つ』ことだけが体育祭の醍醐味じゃねぇだろ? 皆で一つの目標に向かって一致団結する。そこで生まれる『経験』とかクラスを超えた生徒の『団結』こそが何よりも大事じゃないのかね!」 キリッ!


(よし、決まった……)


「安藤……貴様、そう言って本音はただ仕事が増えるのが面倒なだけじゃないだろうな?」

「ギクゥ!」 ← 安藤くんに10のダメージ。


「てか、お兄ちゃんの口から『一致団結』とか、そのセリフは白々しいにもほどがあるから……お兄ちゃん、そういう言葉はまず、団結できるだけの友達ができてから言おうね?」

「ゲフゥ!」 ← 安藤くんに9999のダメージ。


「流石は安藤くんだわ! 略して『さすあん』よ。キャァーッ!」

「あ、朝倉さん、その略称は止めようか……」 


「キャハハ~、先輩が『クラスの団結とか』キリッ! って、マジでウケるんですけどぉ~♪ てか、先輩もう一度だけさっきの言ってくださいよぉ~『何も勝つことだけが体育祭の醍醐味じゃねぇだろ?』 キリッ! って……プアッハハハ! ヒィい……マジでおなか痛いんですけどぉ~♪」 キャピッ!

「~~ッ!」 ← 今頃になって恥かしくなってきた 


「あはは……てか、安藤くんってさっき自分で言った体育祭の醍醐味……何も味わったこと無いよね?」

「え……でも、それは藤林さんも同じじゃないの?」

「…………」

「…………」


「「ブハァア!」」


「あ、安藤くーーん!」

「ふ、藤林ぃいいい!」



 安藤くんと、藤林さんに100のダメージ。



「ふぅ……酷い目にあった。ちょっと、俺が良いこと言っただけですぐこれだよ」

「うぅ、なんで私まで被害に……」

「もう、元々はお兄ちゃんが真面目に話し合わないのが悪いんでしょ?」

「でもなぁ……正直、体育祭ごときでわざわざ頑張ってもなぁ……ねぇ、二位じゃダメなん?」

「キャハハ、先輩ったら~それじゃ『二位』じゃなくて『ビリ』になるじゃないですかぁ~てか、マジウケるんですけどぉ~♪」 キャピッ!

「いや、別にウケないから……」


(何か別に勝ちにいく理由があれば別なんだけど……)


「安藤くん、その気持ちは分かるわよ。でも、残念ながら今年の合同体育祭……私達にはある問題があるのよ」

「問題……? 朝倉さん、それってどう言うこと?」

「実はね……学校の生徒達から生徒会長への不満が高まっているって声があるの」

「何それ!?」

「あぁ……そう言えば、ウチのクラスにも兄ちゃんに不満を持っている子がいたね」

「マジで!?」


(え、俺……生徒会長だけど、そんなの何も聞いてないよ?)


「キャハハ、先輩ってぇ~基本的に学校の噂とか気にしないタイプですよねぇ~♪

 でも、朝倉先輩の言うとおりですよぉ~? まぁ、主に不満の声を上げているのはニ、三年を中心とした運動部の人達ですねぇ~」

「ニ、三年を中心とした運動部……俺、そいつらに何かしたっけ?」

「はぁ……安藤、君はこの前の部活動に対する部費の予算説明会のことを覚えているか?」

「ん? 石田、それって確か……先週辺りにやった来年度の部費を各部の部長を集めてまとめて説明した会議の事だよな?」


(確か、あれは俺が生徒会長になって始めてやった大きな仕事だったな。部費の予算打ち合わせとかは会計の姉ヶ崎妹の仕事だけど、姉ヶ崎妹も生徒会に入ったばっかりだったから予算の打ち合わせとかは計算が得意な俺が主に組んだんだっけ……)


「ああ、そうだ。どうやら、その時の説明会で運動部全般の部費を大きく削減した事が生徒会長の君に不満が溜まった主な理由らしい」

「あぁ、そういえば――



予算説明会の回想


『どうして、ウチの陸上部の予算が三分の一もカットされなきゃいけないんですか!』

『……え? だって、陸上部の予算って半分が市営のグラウンドへの交通費と利用費に使われてるんだもん……しかも週に二回のペースで、これって正直無駄じゃね?

『無駄じゃありません! それに、学校が休みの日曜日にも練習するためには市営のグラウンドが必要なんです!』

『いや、学校が休みの日に使うのは分かるよ……でもね、これ日曜日だけじゃなくて、学校がある水曜も使っているよね? しかも、使用時間は二時間だけなのに利用料は八時間使っている日曜日と変わらないし……ぶっちゃけ、無駄でしょ? せめて、週一でいいんじゃん』

『週一じゃダメなんです! 大会で優勝するためには定期的に本格的なゴム素材のトラックで走らないと感覚が鈍るんです! 週一じゃ足りません、私達陸上部は大会で一位を取る為に必死で練習しているんです! これは必要な経費です!』

『二位じゃダメなんですか!?』

『ふざけないでください!』


 

 ――うん、思い出した……」


(そう言えば図書室の予算を上げる為に、無駄が多かった部活動の予算を根こそぎ削減したんだっけ……)


「そして、今回の合同体育祭だ。もし、これで今年もウチの学校が負ける事になれば……不満を持っている運動部の生徒達は『生徒会長が運動部の予算を削ったからだ!』と声を上げて騒ぎ立てるだろう。さらに、最近では『体育祭で負けたら、運動部を弱体化させた生徒会長は責任を取って辞任するべき』と運動部の生徒を煽っている奴まで出てきている……」

「おいおい、石田。こんな大変な状況で、わざわざ騒ぎを大きくしようとするそのバカは一体何処の誰だよ?」

「ねぇ、お兄ちゃん? そうは言うけど、ついさっきまでその『大変な状況』をまったく知らないでイチャコラしていたのは一体何処の生徒会長さんだったかな?」

「はて、なんの事か……姉ヶ崎姉じゃねぇの?」

「キャハハ、先輩ったら何言ってるんですかぁ~、お姉ちゃんにそんな相手が出来た事なんて今まで一回もありませんよ~♪」


「「「「あ…………」」」」 シーン ← 生徒会のカップル一同


((((なんか、聞いちゃいけないこと聞いちゃった……))))


「そ、それで……石田くん、その運動部の生徒を煽っている子って誰かは分かるのかしら?」

「あ、ああ……騒ぎを大きくして運動部を煽っている犯人は――


 新聞部のゲス谷だ」







【次回予告】



「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ。

 さーて、次回の『何故かの』は?」



次回  「カフェに浮気を求めるのは間違っているだろうか?」 よろしくお願いします!



「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ! 出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ?


 ペタペタ・ペタりん♪  じゃん・けん・ポン♪」 



















































【チョキ】



「次回予告のタイトルは嘘予告になる場合もあるわよ♪」


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