第189話「生徒会長より優れた妹などいない」
「え! 妹よ……お前、ウチの学校の体育祭が他校と合同って知ってたの? え、何で? だって、お前まだ高一だからウチの学校の体育祭なんて始めてじゃん」
「そんなの知っているに決まってるじゃん。去年の体育祭、私がお兄ちゃんを応援する為に見に来たのを忘れたの?」
「あ! そういえばお前、母と一緒に来てたなぁ……」
(そして、あのクソ親父は新台の導入日だとか言って来なかったなぁ~)
「安藤きゅん!」 スカ!
「はいはい。朝倉さん、もう少し我慢してね?」 ナデナデ
(朝倉さん、まだトイレ我慢しているのか……)
(凄い! 今日の安藤くんは何故か目が合うだけでナデナデしてくれるわ!)
「安藤……君は当時入学もしてなかった妹が理解していたことを、今まで知らなかったのか……」
「石田くん、その話はそれくらいにしよう……ね?」
(だって、その話は私にも効くから……あはは)
「あ、えっと……石田先輩と藤林先輩ですよね? 始めまして、お兄ちゃんがいつもお世話になってます。多分、本当に……私、お兄ちゃんの妹の安藤――」
「な、何ぃい――ッ!?」
「うぇええ――ッ!?」
「ひゃ! えっと、石田先輩も藤林先輩も……突然、叫んでどうしたんですか?」
(何か知らずに失礼なことでもしちゃったのかな?)
「あ、安藤の妹が……こんなにも、礼儀正しい……だと!? 嘘だ! あ、ありえない! コイツの妹ならいきなりタメ口で話しかけて来てもおかしくないと思っていたのに……」
「いい、石田くん! 流石にそれは妹さんに失礼だから、落ち着いて……ね? ほ、ほら! きっと、血が繋がっていない兄妹とかなんだよ!」
「そうか、その可能性があったか!」
「…………」
(そっかぁ~、失礼なことをしたのはお兄ちゃんの方だったかぁ……)
「てか、お兄ちゃん。一体、石田先輩に何をしたの……?」
「おいおい、妹よ……その『どうせお兄ちゃんが原因でしょ?』みたいな態度は、流石のお兄ちゃんでも傷つくぜ?」
「安藤きゅん!」 スカ!
「はいはい」 ナデナデ
「あ、うん、そうだよね。ゴメンなさい……」
(そうだよ。流石に、いきなりお兄ちゃんを疑うのは――)
「ただ、別に……始めて出会ったトイレで大喧嘩して、その勢いで生徒会長の椅子を奪い合う事になって、その過程でコイツの秘密を知った新聞部と共闘し、結果的に石田が落選して、俺が生徒会長に就任しただけで――
……うん、何もしてないぞ?」
「よし、とりあえず一発だけお兄ちゃんをぶん殴ってもいいかな?」
(何が『うん! 何もしてないぞ?』だよ! メチャクチャしまくってるじゃん! むしろ、何でそこまでされて石田先輩は副会長を引き受けてくれたの!? 石田先輩メチャクチャ良い人だよ! むしろ、そこまでいくと苦労人のオーラ出てるよ!)
「石田先輩、本当にウチのお兄ちゃんがバカでゴメンさない!」
「うぅ……藤林、僕は一体夢でも見ているのか? この生徒会に……まさか、こんなにまともな後輩が入ってくるなんて……」
「あれれぇ~? ちょっと、石田先輩ったら~『まともな後輩』なら前生徒会長の妹でもある私がいるじゃないですかぁ~アハ!」
「石田くん、夢じゃないよ! きっと、これは生徒会で頑張った石田くんへのご褒美なんだよ! 『生徒会長』っていう一番欲しかったものはもらえなかったけど、その代わりに神様が石田くんに『まともな生徒』を私達に与えてくれたんだよ……ね?」
「あ、あれ……? ちょ、無視ですかぁ~? マジでありえないんですけどぉ~?」
「藤林!」
「石田くん……」
「…………」
(何やってんだあいつら? とりあえず、リア充爆発しろ)
「安藤きゅん!」 スカ!
「はいはい」 ナデナデ
「うわぁ~、目を離すと直ぐにこうなるのか……」
「ほらねぇ~? これマジで目に毒っていうかぁ~……もう、性質の悪い公序良俗違反みたいなぁ~?」
「うん、そうだね……」
(生徒会室とは名ばかりで、一体何処の休憩できる施設かな……?
うん、私がしっかりしないと!)
(っていうかぁ~、コイツが生徒会に入って、私の存在マジ薄くなってない……みたいなぁ~?)
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ。
さーて、次回の『何故かの』は?」
次回、何故かの 「これでも彼女はメインヒロインです」 よろしくお願いします!
「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ! 出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ?
ペタペタ・ペタりん♪ じゃん・けん・ポン♪」
【チョキ】
「次回予告のタイトルは嘘予告になる場合もあるわよ♪」
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