第188話「生徒会の新戦力」



「安藤くん、昨日の北都高の生徒会長は凄かったわね」

「朝倉さん、そうだね……正直、俺もあの手の人物は山田一人で十分だよ」

「というかだな……貴様、安藤! 何故、昨日は僕が副会長だと言う誤解を解かなかったんだ!? おかげで、北都の生徒会長達が完全に僕の事を会長だと誤解していたじゃないか!」

「まぁまぁ、石田くんも落ち着いてね?」

「止めるな、藤林! 僕はこの男に今日と言う今日こそは生徒会長とはどうあるべきかを教えてやらなければ気がすまないんだ!」

「何だよ、石田? せっかく、俺が二日も連続で生徒会室に来ているって言うのに何の文句があるんだよ?」

「生徒会長が生徒会に毎日顔を出すのは当たり前だ! むしろ、隙を見れば直ぐに帰ろうとする生徒会長の存在の方が異常なんだ! そもそも、君は生徒会長としての自覚がだな!?」

「まぁまぁ、石田くん。どうどう……」 ナデナデ


(石田くんは頭をナデナデしてあげると落ち着くんだよね……)


「む、藤林? こんな……ことで僕が――むぅ」

「どう? 石田くん、落ち着いた?」

「ああ、すまない。藤林、みっともない姿を見せたな」

「あはは、そんなの別にいいよ? だって、私は石田くんのそんな姿が好きなんだもん」

「藤林……」

「石田くん……」


「「…………」」 じーー


(私も、あんな風に安藤くんをナデナデしてあげたいわ……いや、むしろ私が安藤くんにナデナデしてもらうものアリなのでは?)


(…………リア充、爆発しろ)


「ねぇ、安藤くん」

「……何、朝倉さん?」

「えっと――」


(あれ、どうしましょう! いざ、頭をナデナデしてもらおうにも『私の頭をナデナデして欲しいの!』って、そんな恥かしい言葉を私の部屋ならまだしも……こんな皆のいる生徒会室でお願いできるわけないじゃない! だだだ、だって、私は『学校一の美少女』と言われるような超完璧美少女なのよ? そんな私が『頭、ナデナデして欲しいのぉ……』なんて、可愛らしくお願いしている姿を見せたら、皆の『完璧美少女な朝倉さんのイメージ』を崩しちゃうじゃない! うぅ~でも、安藤くんにはナデナデして欲しいし、私の家まで我慢するのも忍耐力的に無理だし、どうすれば……よし、こうなったら目で直接安藤くんに訴えかけるのよ!

 私と安藤くんほどの、強烈な愛で結ばれた完璧カップルになればアイコンタクトだけで会話するなんて造作もないわ!

 安藤くんに届け、私の思い。ぐぬぬぅ……えい!) スカッ!


「ぐぬぬぅ……」 じーー

「…………?」


(朝倉さんが突然、目で何かを訴え始めた……うーん、トイレでも我慢しているのかな? うん、そうだねぇ。朝倉さんって、自分のありもしない完璧なイメージを気にするタイプの『ポンコツ美少女』だから、きっとトイレに行くのが恥かしくって困っているんだろう。

 しかし、それを俺に訴えかけられてもどうする事も出来んのだよなぁ……いや、待てよ? もし、これがラノベの主人公ならどうするだろうか……? たとえ『ぼっち』とは言え、俺も一度は主人公を目指し実際に生徒会長にまでなった男だ。なら、こういう時こそ、今まで読んできたラノベの主人公達の経験を活かして、状況を打破するべきではないだろうか?

 うーん……でも、俺が今まで読んだラノベでこんな状況は――あったよ! そうだ。確か、有名な三人のラノベ作家複数のレーベルを跨いだシェアワールドの作品の一つクリオネコードシリーズの『そんな変態は壊してしまえ』の冒頭にそんなシーンがあったじゃないか!

 あれ? でも、あれって結局どう助けたんだっけ……? 確か主人公が急いでトイレに向かおうとする女の子を押さえつけて……えーと、体に触れて揺らしまくったんだっけ? うーん、それでその後どうなったのかは思い出せないけど……まぁ、とりあえず体に触ればいいんだよな?)


「朝倉さん、少しだからね?」 ナデナデ

「え、安藤くん……」


(やった! 安藤くんが私の頭をナデナデしてくれたわ! きっと、私のアイコンタクトが伝わったのね。でも……『少し』なんて言わず、もっとナデナデしてくれてもいいのよ……?) 


(朝倉さん、もう『少し』の辛抱だからね。もう少し、すれば生徒会も終ってトイレに行けるからね!)


「朝倉さん、大丈夫! 生徒会が終ったら……(トイレに行けるから)ね?」

「安藤くん!」


(そそそ、それは! 生徒会が終ったら、もっとナデナデしてくれるってことね!)


「あああ、安藤くんったら、何を言っているのかしら~? べ、別に私はそんなこと(ナデナデに期待なんか)全然思ってないんだからね!? で、でも……安藤くんがそこまで望むのなら……し、仕方ないわねぇえ~~ウフフ、今日は生徒会が終ったら私の家ね♪」 デレデレ

「うん、大丈夫だよ。朝倉さん、俺は分かってるから……」


(朝倉さんったら、トイレに行きたいの必死に隠しちゃって可愛いなぁ……って、え? 家に行くまでトイレ我慢するの! いや、学校のトイレで良くない? もう、生徒会の前のトイレは男女ともウォシュレットに変更済みだよ?)


「安藤きゅん……」

「朝倉さん……」


(本当に家までトイレ我慢するの?)


(ムフン! やっぱり、私と安藤くんは愛と言う名の強い絆で結ばれた完璧なカップルね♪)



「はぁ~い、以上がぁ~? 新生徒会の日常でぇ~す♪ 的なぁー? さて、お兄さんが会長を勤める新生徒会の日常を見た感想はあるかなぁ~安藤先輩の……

 い・も・う・と・さん?」 キャピ!


(っと、いうことでぇ~、本日は新生徒会に特別ゲストとして安藤先輩の妹さんに来てもらいましたぁ~的なぁー?)


「え、何このリア充の無法地帯……? は? ここが生徒会? 相手がいない、非リア充への拷問部屋とかじゃなくて?」

「マジマジでーす。ここが正真正銘の生徒会ねぇ~? あ、因みにこれが日常風景でぇ~、先輩達がこんな風に無自覚でノロケ始めるのが、あとニ、三回は一日の活動の中で起きる感じ的なぁ~?」

「へぇー……お、お兄ちゃん達生徒会で何してんの……てか、これで無自覚とか性質悪いな」


(この女から『お兄ちゃん達が生徒会で好き勝手しているから、助けてください……』なんてまさかのSOSが来たから……まぁ、何かの罠か? それとも、お兄ちゃんがよほどボケナス的なことでもやらかしたかと思って、生徒会に来てみたら……)


「なんか、あさっての方向で盛大にやらかしまくってた!?」

「キャハハ~、それそれ! そのツッコミがマジで欲しかった的なぁ~?」

「その反応、どういう意味なの!?」

「キャハハ~、マジでナイスツッコミ! 的なぁ~? マジでハマるんですけどぉ~♪」 キャピ!


(うんうん、これでこそこの女を生徒会に呼んだかいがあるってもんだよねぇ~)


「まさか、アンタ! このツッコミの為だけに私をお兄ちゃんのいる生徒会に呼んだの!?」

「キャハハ~、それマジ正解♪ 的なぁ~?」

「『的なぁ~?』じゃ、ないよ! はぁ? ツッコミの為に生徒会に呼び出されるってどう言うこと!? てか、じゃあ最初の『お兄ちゃん達が生徒会で好き勝手しているから、助けてください……』って、まるで別人かのように頼み込んできたアンタはなんだったのよ!」


(あの時は、私だって……普段は私のことを『職場の出世レースで争う同期のライバル』並みに敵視するアンタがあんなに必死な表情でお願いするからよっぽどのことなんだと思って生徒会まで来てあげたのに……まさか、ツッコミが欲しいってバカみたいな理由だとは――)


「いや、だってさ……二組のリア充カップルに挟まれて仕事する私の気持ち考えてよ……マジで胸が痛くなるから……」

「意外と深刻な問題だった!?」

「それに私ってぇ~? 元々はボケ担当だからツッコミってキャラじゃないしぃ~?」

「そんなのは知らないよ!」

「あとぉ~? 私は後輩だから先輩には強く言えないけど……お兄さんのボケは妹が責任をもってツッコむのが『兄妹きょうだい』ってものじゃないのかな~?」

「うぐっ! そ、それを言われると……」


(確かに、兄のボケは妹がツッコむ――)


「――って、無いよ! よく考えたら、そんな法則どこにもないよ!?」

「あぁ……良かった。私、今……マジでボケてる……」

「ボケれただけで、ガチ泣きの感動!? 何、アンタどれだけキャラ死んでたの!」

「キャハハ! マジでウケるんですけどぉ~♪」 キャピ!

「なんか壊れたレコードのように突然、キャラ主張し始めた!?」

「そのツッコミ、マジ最高! じゃあ、今日から生徒会のツッコミ役よろで~す♪」

「なんか、いきなり意味不明な役職に任命された!? え、てか……私一人でお兄ちゃん達全員のツッコミするの? 無理無理無理!?」

「キャハハ! マジでウケるんですけどぉ~♪」 キャピ!

「この女……ボケに回って、既に会話する気ゼロだと!?」


(うぇえ~……私一人でお兄ちゃん達のツッコミとかホントに無理だよぉ……だって、お兄ちゃんは言わずとも思考回路が謎でボケてるし、サクラお義姉ちゃんもお兄ちゃんのことになると頭の歯車が一気にギアチェンジしたあげくエンスト起こすくらいポンコツになるし……てか、そもそも残りの二人の生徒会役員は面識無いし、その上にこの女までボケに回るんでしょう?

 ボケ五人に対してツッコミが一人ってイジメか!)


「とにかく、私は生徒会役員じゃないし無理だから――」

「あぁああ! ちょっと、待って待って! てか、マジでタンマ! もう、このノロケ空間に一人は嫌ぁ~……」

「うぅ……確かに、それは気の毒だけど――」


(でも、だからと言って私がこの女を助ける理由もメリットも――)



「生徒会に入れば出番増える……的なぁ~?」 ボソ

「うん! お兄ちゃん達のツッコミは任せて♪」




【妹ちゃん】 生徒会手伝い(ツッコミ役) に就任。




「藤林……」

「石田くん……」


「安藤きゅん!」

「朝倉さん……」



「てか、お兄ちゃん達、まだやってたの!? 生徒会の仕事しようよ!」

「キャハハ! マジでウケるんですけどぉ~♪」 キャピ!







【次回予告】



「出番なんて無かった……うん、知ってた♪

 皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ。

ルルル~分かってた~♪ 私に出番なんて無いなんて~♪

 さーて、次回の『何故かの』は?」



次回、何故かの  「生徒会不信任案」   よろしくお願いします!



「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ! 出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ?


 ペタペタ・ペタりん♪  じゃん・けん・ポン♪」 



















































【グー】



「因みに、次回予告のタイトルは嘘予告になる場合もあるわよ♪」


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