第182話「伝説の番長」
「大変だーッ! 北都高の番長がウチの学校に攻めて来た!」
「「「な、なんだってーっ!」」」
「グランドでウチの番長と北都高の番長がタイマンだって!」
「マジで!? 見に行こうぜ!」
「イェース!」
「ウチの番長と北都の番長どっちが勝つか賭けようぜ!」
「そんなのもちろんウチの学校の番長だろ!」
「じゃあ、俺もウチの学校の番長に賭ける!」
「おい、それじゃあ賭けになんねえだろ? 仕方ないな……じゃあ、俺は北都高にかけるぜ!」
「賭けの対象は何にする?」
「『焼肉マン消しゴム』でよくね?」
「「「賛成!」」」
その頃、グランド
「おう、おう! おぉうう!? おうコラ! てめぇが、南都高の番長か!
オォオオオオオオオラァアアアアアアアアア!」
「アァアァアアアン!? ああああん、あんあん? うあうぉおおおんコラ!?
何だてめコラ!? 北都高の番長がウチの高校に何用じゃオウ?
ブラァアアアアアアアアアアアアアア!」
「や、やべぇ……あれが番長同士の争い……俺達程度のチンピラじゃ正直何を言っているか分からないから全然戦いに入っていけねぇ……」
「番長マジヤベェ! あんなの人間の知能レベルじゃ全然ねぇべさ……」
「おう、コラ! おうおう!? こちたぁ~今日はいい天気だからんんなぁあああ! じゃからけん、散歩ついでに南都高の番長の首をもらいに来てやたけんオラァア!」
「んぁぁあああああああああああん!? テメコラ、何ん寝言ほざいとるけんじゃゴラァアアアアん~ッ!? テメ見たいな北都高のガキ共にやる首何ざおもちじゃねんじゃいオルゥウウラァアアアアアア!」
「ホジャバァアアアゴラァ――くぁwせdrftgyふじこlpィイイイ! なら、今ここで決着つけてやるばいじゃオギャアアア!」
(――っく! さ、流石は南都高の番長だぜ……このメンチの切り方、威嚇の声、番長感……どれをとっても今までの番長とは比べ物にならないくらいの迫力や……でも、いくら相手が強そうでも俺は負けられへん! 俺には北都高の番長のプライドと、補習でおいてきた仲間達の想を背負ってここに立っているんや! だから、仲間の想いを心火に燃やしてでも、南都高の番長をぶっ潰すまで帰れへんのや!)
「んんんぁああああンオラジャイギャダバアアアアア! シャアーーッ! ウラァアアッ!」
(ひ、ヒィイイイイッ! な、何だって北都高の番長がウチに攻めてくるんだよぉおおおーっ! 俺は所詮、嘘とハッタリとメンチだけで南都高の番長になっただけの男で、正直ケンカなんか一度もしたこと無い軟弱男なんだよ~っ! 今まではハッタリかまして威嚇するだけで相手が逃げ出してたけど……北都高の番長にそんな小手先の威嚇が通用するはずもないし、今度こそ俺の見せ掛けだけの番長人生の終わりだぁ~っ!)
「ハラミヤキザカナボンジリィイーッ!」 ← 威嚇
「ジャバキヤガダシィーッ!」 ← 威嚇
(ヘヘヘ……流石は南都高の番長やで、威嚇程度じゃ埒が空かん。そろそろ、腕での勝負に――)
「…………」 ゴゴゴゴゴゴッ! ← 覇王のオーラ
「「ッ!?」」 キュピーン! ← 悪寒
(ハッ! な、何やこの背筋を凍らすような悪寒……まるで、覇王がまとうようなオーラは!)
(ウハ! この災厄の魔王が蘇ったような覇王のオーラ! これは、アノ御方の殺気だ!)
「…………ァ」 ゴゴゴゴゴゴッ! ← 覇王のオーラ
(あっ! 山田くんだ~♪ ねぇねぇ、こんなグランドで集まってどうしたの? この人たちは違う高校みたいだけど山田くんのお友達かな~? あ、そうか! 分かった! きっと、これから皆で鬼ごっこするんだね? ねぇねぇ、そうでしょう! だったら……ぼ、僕も入れて欲しいなぁ~~テヘ、ダメかな……?)
「朝倉のアニキィイーっ! き、来てくれたんですね!」
「何! あ、朝倉だと!? まさか、コイツが南都高の『伝説の裏番』か……南都高には表の番長を越える真の裏番が存在するって噂は本当だったのか……へへ、ならその伝説、俺がぶっ潰してやんよ! かかって来いやぁああああああああああああ!」
「わざわざ……朝倉のアニキに出てもらうなんて、俺が不甲斐ないばかりにすみやせん!
ゲッヘヘヘェ~っていうわけで、アニキ! アイツが北都の番長です! なんか~あいつらがウチにケンカ吹っかけてきたんですよ! チョー調子ノッてますよね! ムカつくじゃないっすかぁ~? ゲッヘヘヘェ~だから『いつもの』みたいに一睨みで撃退しちゃいましょう! 朝倉のアニキならチョー余裕ですって! ゲッヘヘヘェ~……」
「…………ゥアッ!」
(えっ! 一緒に鬼ごっこに入れてくれるの!? わーい、ヤッターっ! それにしても、山田くんは本当にいい人だなぁ~だって、クラスでも目立たない僕みたいな人とも友達になってくれるし、同級生なのに『アニキ』とか『ウラバン』なんてニックネームで呼んでくれて、他の人と遊ぶ時なんかいつも僕みたいな人間を呼んで一緒に遊んでくれるんだもん! 僕は山田くんみたいな友達がいて本当に幸せ者だよ♪ うーんと、それで話を聞いていた感じだといつもの流れで僕が鬼でこの他校の山田くんのお友達が逃げる役なのかな?
よーし! 今日も精一杯『鬼の役』を頑張るよ~♪)
「な、何やワレ……!? 伝説の裏番だろうが、この北都高の俺がビビッて逃げ出すと思ったんか! ンダラバッシャーイ!」 ← 威嚇
「…………ァァア?」
(『ンダラバシャイ?』何だろう……挨拶かな? じゃあ、僕も挨拶しなきゃ! だって、挨拶しないと逃げないって言うし、それじゃいつまでたっても鬼ごっこ始められないモンね!
まずは初対面の人達だし……笑顔、笑顔、満面の笑顔で挨拶だよ♪)
「グゥ――……ゥゥ」
「な、何や!?」
(く、来るんか……!?)
「オイ! 南都高の野郎共! 死にたくない奴は目を閉じて耳を塞げぇえ! アレが来るぞぉおおーーッ!」
(ヤバイ――アニキの『アレ』が来る!)
「来るぞ! 伝説の裏番の『アレ』だ!」
「嫌だぁああああ! 死にたくなーい!」
「目を閉じろオオオオオ!」
「耳を塞げぇえええええ!」
「女、子供は近づけるなぁああああああああ!」
「――グワッハハハ……ッ! さぁ、逃げるがいい……グァワッハハハッ!」 ← 笑顔
(あ、笑顔だけで挨拶忘れちゃった! でも、鬼ごっこ開始の合図しちゃったし、今からしなおすのも変だよね? それに相手が逃げる側だから、ここで言うべき挨拶は――)
「ガッワッハハ……始めようか『サヨウナラ……』」
「う……ウワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ! こ、殺されるうるぅううううううううううううううううううううううううううう!」
「おかぁあああああああさああああああああああん!」
「死にたくななぁああああああああああああああああああああああい!」
「ギエッピィイイイイイイイイイイイイイイイイイ!」
「…………」
(あれ? ちょっと、遠くまで行きすぎじゃないかな? それじゃあ、僕が追いかけられないよ……?)
「スゲェエ! 『笑顔』一つで北都の連中が逃げて行った!」
「これが『伝説の裏番』か!」
「今のが伝説の『デーモン・スマイル』か!」
「朝倉のアニキ、マジパネェっす! これで北都の連中もデカイ顔できませんわ! マジあざーすっ! おらぁああああ! お前らもアニキに礼を言わんかいらぁあああああ!?」
「「「アニキッ! マジあざぁああああああーすっ!」」」
「…………?」
(うーん、よく分からないけど……きっと、相手の子が門限で帰っちゃったのかな?)
「番長マジやばくなーい?」
「すごーい!」
「あらあら……何の騒ぎかしら?」
「あ、安西先輩! 見て下さいよ~北都高の番長が攻めてきてウチの裏番長が撃退したんですよ~!」
「たのしーい!」
「あらあら、それは凄いわね……ウフフ♪」
(朝倉くんが『伝説の裏番』って噂は本当なのね……やっぱり、あまりかかわらない方がいいかしら?)
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ♪
さーて、次回の『何故かの』は?」
次回 「学校一のマドンナ」 よろしくお願いします!
「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ! 出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわよ。 チョキチョキ~♪
ペタペタ・ペタりん♪ じゃん・けん・ポン♪」
【チョキ】
「ちょっと、ヒントがあからさまだったかしらね♪」
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