第177話「何故かの(桃井さんルート)6」



「じゃあ、いただきます」

「サクラは今日はハンバーグランチにしたんだねー」

「ええ、そういうモモはカレーね」

「うん! カレーは世界で一番美味しい食べ物だからねー」

「……………」


(おかしい! 何故か気付いたら、ぼっちの俺が学校でトップクラスの美少女二人と昼飯を一緒に食べている件……って、俺メッチャ場違いだろ! しかも、この二人とあまり接点ないからさっきから会話にも全然入れてないし! まぁ、接点があったところで『ぼっち』の俺がこの二人とまともに会話できる姿が全然想像できないんだけどな!

 しかし、桃井さんがカレーで朝倉さんがハンバーグか……二人とも子供っぽいメニューだけど、こうしてみると――)


「わーい、カレー美味しい! たのしーい!」

「ウフフ、モモったら相変わらず美味しそうに食べるわよね」

「…………」


(桃井さんは大盛りカレーをどこぞの大食い女王みたいに爆食いしているのに対し、朝倉さんの方はハンバーグをまるでどこぞのフレンチでも食べるみたいにナイフとフォークで切り分けて一口づつ食べている。二人ともメニューは子供っぽいのに朝倉さんの方が断然に大人っぽく見える……やっぱり、朝倉さんは学校一の美少女と言われるだけあって、ハンバーグを食べても完璧美少女なんだな。

 うん、お隣のおっぱい巨乳とはえらい違いだ)


「う~ん、美味しい! って、あれ? 安藤くん、私の方を見てどうしたのー? あ! もしかして……私に見とれちゃったかなー?」


(えへへーなんてね♪)


「え? ああ、違う違う。ただ、桃井さんって朝倉さんと比べたら『子供だなー』って思ってただけだから、気にしないで」


(うん、朝倉さんは上品で大人っぽいけど、桃井さんは子供っぽくて元気でいいな)


「なるほど、なるほど……よし、安藤くん! その喧嘩買ったよー怒!

「何で!? さっき、桃井さんも自分でそう言ってたじゃん!」

「ウフフ、二人って意外と仲良しさんなのね」

「朝倉さん! のんきに笑ってないで食べ終わったカレーの食器で俺の頭を叩き割ろうとする桃井さんを止めてぇ――っ!」




「「「ご馳走様でした」」」


「ウフフ、とても楽しい食事だったわ」

「俺は胃も精神も疲れきったです……」

「ふーんだ! アレは安藤くんが悪いんだからねー」

「桃井さん、でも、流石にいきなり食器を振りかぶるのはどうかと思うよ……?」


(しかし、これで地獄の昼休みももう直ぐ終わりだ。後は授業が始まるまでの残りの時間はラノベでも読むか)


「じゃあ、俺は教室にもどってラノベでも読むからこれで……」

「えーっ! 安藤くん、せっかくなんだから一緒にここでお話でもしようよー?」

「ウフフ、そうね。てか、安藤くん……貴方、このタイミングでよくそんな自分を貫き通すようなセリフ言えるわね……」

「え……俺って今、そんな変なこと言った?」

「うわぁ……安藤くん、その反応は流石の私もドン引きだよー……」

「安藤くん、貴方どれだけ『一人ぼっち』をこじらせて……可哀想な子!」

「え! ちょ、二人ともその反応は何!? これって、一緒に飯食うだけだったよね!? じゃあ、食い終わったら解散でいいじゃん! だ、ダメなの……?」


(謎だ……やっぱり、ぼっちの俺と学校一の美少女達とでは飯を一緒に食う価値観が違うのかな?)


「…………」

「…………」

「…………」


(((なんか、気まずい……))) 


「……」 チラッ


(うーん、どうしよう……何だか、ご飯食べた後、安藤くんを落とす為に軽くおしゃべりする予定だったのに、何故か場の空気がものすごーく重くなっちゃったよ……よし! なんとか、話題を変えてこの空気を払拭しよう!)


「あ! そ、そういえばさ! 安藤くんが読んでいる本……小説? みたいなの? 

 あれってどんな本なのー? 私、気になるなー」

「え、ラノベのこと?」

「――っ!」


(モモ、ナイス! 空気を読んでとっさに話題を変えたわね。ならば、私も乗るしかないわね。このビッグウェーブに!)


「ああ、ライトノベルのことね! 確かに、安藤くんっていつも教室で本読んでいるわよね」

「うん、そうそうライトノベルって言って――ん、あれ? 朝倉さんってラノベのこと知っているの?」

「サクラ、ライトノベルって……何?」

「え……」


(し、しまったわぁぁあああああ――――っ! 私ったら、何を迂闊に『ライトノベル』って単語使っているのよぉおおおおおおおおおおお! 普通の女の子が、ましてや私みたいな学校一の超完璧巨乳美少女がラノベを知っているとかおかしいでしょぉおおおおおおおおおお!

 ま、待ちなさい私! お、落ち着くのよ……まだ、誤魔化しは効くはず!

 ここは一旦、さっきの発言を誤魔化すのではなく……あえて、それを利用するわ!) ←この間わずか0、1秒


「……えぇ、ライトノベルなら私も何冊か読んだことはあるわよ?」

「うぇえええええええ!? マジで! あ、朝倉さんもラノベ読んでるの!?」

「うっそぉぉおおお!? そそそ、それって……サクラと安藤くんが同じ趣味ってことおおぉ!?」


(わぁああああ! ちょっとまてまて、待ってぇええええ! そのパターンはダメだよ! だって、それって一気に同じ趣味で二人の仲が一気に縮まる展開じゃん!)


(嘘だろ!? あ、あの朝倉さんがラノベ好き……だと? そんな、まさかこんな身近にラノベ好きを豪語するほどの人がいたなんて――)


「だって、ライトノベルって『ハローポッター』みたいな小説のことでしょう?」


「……え?」

「ん~~?」


(え、ハローポッターって、あの映画にもなった魔法使いの男の娘が悪の大魔王の復活を阻止する奴かなー? あれが……ライトノベルなの?)


(そ、そういうことかぁ~……なるほど、俺とした事があの朝倉さんがラノベを読むのかと思ってビックリしちゃったぜ、確かにラノベの定義は曖昧だからあの作品もラノベと言えば言えなくは……いや、無理がある気も若干するがラノベだよな。

 って、朝倉さん、それは俺が思ってたラノベじゃないよ!

 まぁ、でも一般の人からしたらラノベってそんな認識だよな。はぁ、一瞬ラノベ仲間ができるかと思った俺がバカバカしいぜ)


「二人とも急に黙ってどうしたの?」

「えーとね……朝倉さん、それは俺が読んでいるラノベとはちょっと違うかなーてね?」

「ああ、だよねー。だって、サクラが言う『ハローポッター』なら私だって読んだことがあるんだよー」

「うん、あれは実写映画化もして国民的人気な小説だから間違えるのも仕方ないけどね。俺が読んでいるラノベっていうのは、それらの小説よりも挿絵が多くて読みやすくしたマンガみたいな小説のことだよ」

「あら、そうだったのね。私ったら『ライトノベル』って言葉はテレビで聞いた事があったから、つい勘違いしちゃったわ」



 計・画・通・り スッカーン!



「もう、サクラったら紛らわしいよー」

「ウフフ、ごめんなさいね」


(これで、私がラノベを知っている疑惑は完璧に晴れたわね。あえて、私がラノベを中途半端に知っているフリをすることで、この二人は私が本当にライトノベルのこと知らないと認識させることができたわ。

 でも、もしもこの場にいたのが安藤くんだけだったら……私の趣味がバレても――なんてね。ウフフ)


(フゥ……まさか、安藤くんとサクラの間にフラグが立ったらどうしようなんてヒヤヒヤしちゃったよ。まぁ、結局は私の取り越し苦労だったんだけどねー♪

 でも、なんでだろう。この二人を放置したら危険だって予感が何故かまだ続いているんだよねー……?)




【次回予告】


「ワタシ……イインチョウ……デバン、ホシシ……

 皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ。

 さーて、次回の『何故かの』は?」


次回 「彼を落とす為のたったひとつの冴えたやりかた」 よろしくお願いします!


「長かった桃井さんルートも次回で最後よ♪

 じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ! 出す手は決まった? 今日は更新が遅れちゃったお詫びとして、皆には今日の『ペタリンじゃんけん』で【チョキ】を出す権利をあげるわ! 是非、使ってみてね♪


 ペタペタ・ペタりん♪  じゃん・けん・ポン♪」 



















































【チョキ】



「私とお揃いなんて贅沢ね♪」


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