第175話「何故かの(桃井さんルート)4」


【作戦フェイズ3】


(さっきの休み時間は安藤くんの意外な告白の所為で、私ともあろうものが敵を目の前に尻を向けて逃げるなどという愚行をしてしまった……しかし、よくよく考えれば安藤くんのあの告白。あれはきっと純粋な意味での告白では無いと思う。

 だって、何故なら安藤くんは『ぼっち』だから! 普段『ぼっち』でクラスメイトと接点を持たない安藤くんがトチ狂ったようにいきなり私に告白するだろうか?


 答えは否だ!


 つまり、状況を鑑みれば、あの安藤くんの告白は……きっと、一般的な意味で私が魅力的だと伝えたお世辞だ!

 だって、そうとでも考えなきゃあの『安藤くん』が私にいきなり告白だなんておかしいもんねー?

 でも、いくらお世辞とは言えあの安藤くんに『告白』に近いような言葉をもらえたのは考えようによってはプラスだと思う。

 だって、安藤くんって自分から積極的に動くタイプじゃない……だからこそ、彼がお世辞でも私を魅力的だといったと言うことは少なからず私に対しての『異性的魅力』を抱いている証拠だと思う。

 じゃあ、ここは正念場だ。安藤くんの心が私に興味を持っているであろう今のうちに……さらに、アタックしてたたみかける!

 見た感じ『ぼっち』で『奥手』で『めんどくさい』性格の彼を落とすチャンスは今しかないんだから!


 その為にも、今度の作戦は――)



 キーンコ~ン以下略 ← 昼休みのチャイム



「安藤くーん♪ ねぇ一緒に屋上で食べよう?」


(そう、ズバリ一緒にお昼作戦! てか、これくらいあからさまにアタックすればいくら鈍そうな安藤くんでも流石に私を意識しちゃうもんねー?)


「え……」


(うぇえええええええええええええ!? 何で俺、あの桃井さんから昼飯に誘われてるんだ!? てか『ぼっち』の俺なんかが学校一の巨乳の桃井さんと飯なんか食ったら、学校中の男子に殺されちゃうよ! 

 よし、ここは丁重にお断りさせていただこう)


「ご、ゴメン。それ無理」

「うーん……そっか、仕方ないよね」

「う、うん……」


(よし、何とか桃井さんに失礼にならないように断れたぞ! 最近は俺もよく人と話すようになったから少しはコミニュケーション能力が上が――)


「だって、屋上は基本立ち入り禁止だもんねー♪ じゃあ、学食で食べようか。安藤くん」

「ムムムッ!?」


(あれ!? こ、断れてない……だと? しかも、何故か一緒に食べる事が前提になっている!?)


(フッフッフ、安藤くんったら甘いよー? この桃井さんが安藤くんが誘いに乗らないのを読めないとでも思ったのかなー? そんなの当然分かっていたに決まってるじゃん! だから、あえて『屋上で食べよう』って誘ったんだよー。そうすれば、安藤くんが断ってもそれは『食べる場所の提案』を断ったことにできるからねー? そして、その後は安藤くんに会話の主導権を渡さずに学食へ連行する!

 安藤くんは『ぼっち』で『ヘタレ』だから、多少は強引にでも話を持っていけば逆らえずに流されるはず!)


「ねぇねぇ、安藤くんは何食べる? カレー? やきそば?」

「も、桃井さん! 俺は別に食べるつもりは――」

「えー、カレー食べないのー? 安藤くんは贅沢だなー、学食のカレーって凄く美味しいんだよー?」

「いや、だからカレーの話じゃなくて……」

「ああ、そうか! ラーメンだね♪」

「それも、違――」

「じゃあ、定食かなー? なんと、今日の定食は特性イナゴ――」

「お願いだから、俺の話を聞いてぇえええええええええ!」



(ふふーん、絶対に一緒にお昼食べるまで主導権は渡さないんだからねー?) ブルン! ブルン!




【次回予告】


「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ。

 さーて、次回の『何故かの』は?」


次回 「何故かの(桃井さんルート)5」 よろしくお願いします!


「――って、この番外編まだ続くの!? まぁ、いいわよ……

 じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ! 出す手は決まった? 今日は【グー】ピックアップ! なんと98%の確率で【グー】を出すわよ!


 ペタペタ・ペタりん♪  じゃん・けん・ポン♪」 



















































【チョキ】




「1%を引き当てるなんて、とてもツイてるわね♪」


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