第156話「新生徒会長」



 そして、ついに朝倉さんのスピーチが始まった。



『どうも、応援ありがとう。朝倉です♪』


 

   ………………………………



    …………………………



     ……………………





「朝倉さんの演説、凄かったね!」

「うん! やっぱり、朝倉さんは凄いよね!」

「とっても、すごーい演説だったね!」

「流石は学校一の美少女だったぜ!」




「…………」


(もう、演説も投票も終わったのに、皆まだ朝倉さんの演説の話しているよ……まぁ、それも仕方ないか。だって、朝倉さんの演説は本当に素晴らしかった。

 今までのポンコツを封印し、やる気と自信に満ち溢れ真の力を解放した朝倉さんの姿は――

 『 朝倉さん(完全究極体バージョン!)』と密かに俺は名づけたほどだ)


「委員長……終ったな」

「ええ、安藤くん。貴方は本当に良くやったわ……」

「いや~、流石は朝倉さんだったな。まさか、マニフェストで【クラス替えの自由化】を打ち立てるなんてな」

「でも、あのマニフェストは効果的だったわね……マニフェストだけ見れば実現不可能な話に思えるけど、それをまさかあそこまで用意周到に準備して実現可能な政策にしちゃったんだから、それで生徒の支持も興味も一気に引き付けた所からの求心力を持っていく魅力的なスピーチ……」

「しかも、朝倉さんって舞台栄えするからなぁ……」

「なんせ学校一の美少女だものね」

「まぁ、これで長かった選挙も終わりだな」

「結果だけ見れば呆気ないものね」

「あぁ……」


(確かに朝倉さんには全力で挑んで欲しいとは言ったが……まさか、朝倉さんがあそこまで完璧なスピーチをしてくるとは予想外だった。しかも、順番がトリってのがデカイよな……てか、生徒会と先生達も投票の集計が早すぎるだろ? 何で全員の演説が終って一時間しか経ってないのにもう結果がでちゃうの? 大丈夫? これ集計ミスとかしてないよね……)


「てか、他の奴はまだ朝倉さんのスピーチの話題で盛り上がってるのかよ」

「仕方ないわよ。きっと、朝倉さんがスピーチで語った内容がそれだけ魅力的だったってことなんだからね?」




「やっぱり、朝倉さんのマニフェスト良かったよね!」

「うんうん! だって、次の学年からはなりたいクラスを希望できる希望制なんて斬新すぎるでしょ!」

「皆がクラス替えのたびに不安にならずに、これからの学校生活を楽しめるように考えたマニフェストって言ってたもんね!」

「ああ、流石は学校一の美少女と言われるだけあって、他の二人とは違い生徒の為のマニフェストだったもんな!」

「それでいて、超絶美少女!」

「すごいスピーチだったもんな」


「「「ああ!」」」


「でも……」

「……うん」

「やっぱり――」


「「「『あの』スピーチを聞いた後じゃな……」」」




「ねぇ、安藤くん。分かってる? 皆があれだけ朝倉さんのスピーチの話題をするのはね……もし、朝倉さんが生徒会長になったら、あの時に朝倉さんがスピーチで語ったような学校になったのかな。って、思っているからなのよ」

「そんなことくらい俺が一番分かってるよ……」


(だから、俺はこの選挙結果をさっきからずっと見続けているのだ。

 皆が話題にする朝倉さんや石田が作り出したであろう学校生活への期待に、俺が応えなければいけないのだと――)



【生徒会長選挙、投票結果】


・石田くん 投票数  82票  投票率 23%


・安藤くん 投票数 150票  投票率 42%


・朝倉さん 投票数 124票  投票率 35%



(――あぁ、この選挙結果……集計ミスでしたとかになんねぇかな?)


「うぅ、責任感というプレッシャーが重たい……」

「今さら何言っているのよ……」






【次回予告】


「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ。

 最初に言っておくけど、別に一話飛ばしたとかじゃないから、安心していいわよ♪

 さーて、次回の『何故かの』は?」


ついに終わった生徒会長選挙……そして、ここから新しい生徒会が始まるのです。


次回、何故かの 「生徒会のメンバー」 よろしくお願いします!



【問題】『新生徒会のメンバーは誰になるでしょう?』


「とーっても性格の良い委員長の私が、皆にヒントを教えてあげるわ!

 新生徒会の生徒会長以外の役職は【副会長、書記、会計】の三つよ♪」



*連載はまだ続きます。完結じゃないよ。

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