第153話「スピーチ」



『それでは、これから生徒会長選挙、立候補者によるスピーチを始めたいと思いまーす♪

 司会は元生徒会、三年生「書記」

 私「メガネ」が勤めさせていただきまーす♪』


「「「キャー、メガネちゃーーん!」」」 ←観客の生徒達


『はーい! メガネ部の皆~、声援ありがとうね♪』



「うわぁ、またあの人が司会なんだけど……ねぇ、委員長。この学校ってまともに司会できる奴いないの?」

「いないから彼女がやっているんじゃない?」



『では、選挙の流れを説明しまーす。

 各自、立候補者はこのスピーチでそれぞれの『マニフェスト』を発表してください。もう既にマニフェストを発表している方もいますが、生徒の中にはまだ立候補者の方のマニフェストを知らない人もいます。なので改めて各自の『マニフェスト』『動機』などをこのスピーチでお伝えください!

 このスピーチは全校生徒の前でご自身をアピールできる最後のチャンスです! 是非、最後まで諦めずにご自身の声をお伝えください♪

 そして、生徒は全ての立候補者のスピーチを聞き終わったら、お手元の投票用紙に書いてある立候補者の名前のどれかにチェックをつけて投票してくださいね。

 投票用紙は回収し次第、教員の先生方と元生徒会一同で直ぐに結果を発表しまーす。


 では、最初のスピーチはこの方から! 熱狂的な校内放送の衝撃は今も忘れられない!

 元生徒会副会長の石田くんでーす!』


『そのことはもう忘れてくれ!』


「「「ブゥゥウウウ! ブゥゥウウウ!」」」

「「「キャァアアア! 石田くーーん! 彼女がいても大好きぃいいい!」」」




「さて、ついに石田くんのスピーチが始まったわね……」


(スピーチの順番は『石田くん』『安藤くん』『朝倉さん』と、安藤くんは二番目だけど――)


「安藤くん。私は直ぐに一般生徒の席に座るけど……準備はいいわね?」

「おう、委員長! 覚悟ならとっくにできてるよ」


(前の支持率は『朝倉さん、50%』『石田、38%』『俺、12%』でとても良いとはいえないけど……それでも、俺が勝つにはこのスピーチで挽回するしかない!)


「そういえば、安藤くん。選挙で生徒会長を目指すこと……朝倉さんには言ったの?」

「え? あぁ、うん。それなら、委員長達に報告した日の前日に電話で伝えてある。因みに、朝倉さんには選挙に全力で向かってほしいとも伝えたよ」

「それで、朝倉さんは何て?」

「『分かったわ! でも、私は安藤くんを応援してるからね! その上で、全力で安藤くんを叩き潰すわ!』だって……」

「容赦無いわね……あなたの彼女」

「まぁ……」


(でも、これは必要なことだ。もし、朝倉さんが俺に遠慮してスピーチに失敗し、石田が当選なんてなったら目も当てられないからな)


「あ! てか、委員長。俺まだ委員長の書いてくれたスピーチの原稿もらってないじゃん! 委員長、早くスピーチの原稿を渡してくれよ。もう、俺の順番始まっちゃうぞ?」


(まったく、委員長も原稿を渡し忘れるなんて、うっかりが――)


「は?」

「え?」


(あれ? なんか――嫌な予感……)


「あ、安藤くん……何言ってるの……? スピーチの原稿なら二日前に書いてとっくに渡したはずよ?」

「はぃいいい!? いやいや! そんなの全然もらって無いんだけど!」

「はぁああ!? う、嘘よ! だって、私はあの時――あ、そういえば……ちょうど、安藤くんがトイレに行ってたから、山田に渡すように言ったような……」

「おい、マジかよ…………」


「「…………や、や」」


((や、山田ぁあああああああああああああああああああ!))




『あるからして、僕のマニフェストは全ての生徒が安心できる学校づくりを目指し――』


「ふぁ~~っ!」


(副会長のスピーチ長くて何言ってるかわかんねえな! ん、スピーチ……? 何かを忘れて――あ! なんか腹減った! ヤベエ! メチャクチャ腹減ってきたぞ!)








【次回予告】


「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ。

 さーて、次回の『何故かの』は?」


 まさかの原稿がない状態でスピーチに挑む安藤くん!? ぶっつけ本番で壇上に上がる安藤くんは緊張のあまり頭が真っ白になってしまうのだった。

 果たしてそんな状態の安藤くんが掲げるマニフェストとは?


次回、何故かの 「マニフェスト」 よろしくお願いします!


「はは、はは……どうだぁ。生徒が皆、ラノベのようだぁ……」 ブツブツ 


* 次回予告の内容は嘘予告になる可能性もあります。


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