第149話「答え」
『朝倉さんって、生徒会長になったら、したいことある?』
「…………」
(もう、夜中だって言うのにいきなりこんなメール送られても、朝倉さんも困るよなぁ……)
コンコン……ガチャ
「お兄ちゃんー? 起きてるー? 私、お風呂上がったけど入らないのー?」
「おぉ……ゴメン、ちょっと考え事してたわ。てか、妹よ。ノックをしてから部屋に入るの早すぎね? お兄ちゃんも急に部屋に入られると驚くからね?」
「えぇ~だって、お兄ちゃんどうせ部屋にいてもラノベ読んでるだけでしょ?」
「そりゃ、そうだけどさ……」
(それでも、お兄ちゃんにだってタイミングが悪い時くらいあるんですよ?)
「じゃあ、直ぐにお風呂入るなら電気はつけておくね~」
「おう……あ、そうだ! 妹よ。また沸かすのも面倒だし、お湯はそのままでいいからな?」
「わかったぁー、ちゃんとお湯は入れ替えておくね~♪」
「あれ……俺、今お湯はそのままでいいって言ったよね?」
「うん、ちゃんとお湯は変えておくから、お湯が溜まるまで十分くらい待ってね~♪」
「俺、お湯は変えなくていいって、言ったよねぇえええええええ!?」
バタン!
「……酷い」
(お兄ちゃんはただ純粋に我が家の光熱費を心配しての発言だったのに! これが、娘に『お父さんと洗濯物を一緒にしないで!』って言われた時の父親の気持ちか……)
スカ~ン♪ スカ~ン♪ ←朝倉さんからのメール
「お、朝倉さんからの返事だ」
(さて、朝倉さんはなんて答え――)
『三年生も安藤くんと一緒にいられる様に、クラス替えを廃止にするわ!』 スカーン!
「流石、朝倉さん……俺の予想の斜め上を行く回答だぜ……」
(しかし、わざわざこんな理由でクラス替えを廃止なんてしたら、絶対に批判起こるだろうなぁ……だって、俺みたいな『ぼっち』と一緒のクラスになりたいなんて理由だぞ?
まさか『ぼっち』の俺にそこまで言ってくる彼女が出来るなんて――)
「――ん?『彼女』がいるのに……『ぼっち』?」
(あれ? これって――俺『ぼっち』って言えなくね?)
「い、いかん……『ぼっち』が体に染み付いてて忘れてたけど、彼女持ちになった時点で『ぼっち』卒業してるじゃん、俺ぇ……」
(なんでこんなことに、俺は今まで気付かなかったんだ……? ぼっちが体に染み付いていたから? それとも――いや、違う。
確かに俺の周りの環境は一年前と比べてはるかに変わっただろう。友達――いや、流石にそれは調子に乗りすぎか? でも、友達とははっきり呼べる自信が無くても『桃井さん』や『委員長』に『吉田』そして『沢渡』と比較的クラスでも良く話す『知り合い』と呼べるような人達もできた……そして、何より朝倉さんという『彼女』ができたじゃないか!
でも、それは俺の周りの『環境』が変わっただけで、俺の中の『心』がその変化を受け止めれていないんだ。だから、俺は今の今まで『彼女』がいるのに自分がまだ『ぼっち』だと思い込んでいた。
そう、俺の状況が『ぼっち』でなくなったとしても、俺の心はまだ『ぼっち』のままなんだ!)
「つまり、俺は『ぼっち』でなくなる事を――自分が『変わる』ことを無意識に恐れていた?」
(だから『ぼっち』で無くなっていることに気付かなかったと……って、何だそれ! 俺ってば『心のぼっち』拗らせすぎだろ!?)
「君は『何をなしたい』か……」
(例え、自分が『ぼっち』でないと気付いたとしても……それでも、俺は自分が信じられない。
――もしかしたら、知り合いだと思っているのは俺だけで、桃井さんや委員長は俺の事をただのクラスメイト程度にしか思っているかもしれない。
――自分が特別に相手と仲が良いわけでなく、もしかしたら、自分がいないところで相手は他の誰かと自分以上に親しく喋っているかもしれない。
――もしかしたら『ぼっち』じゃなくなったと思っているのは俺だけで、俺はまだ『ぼっち』のままなのかもしれない。
そんな不安が、俺の中にはまだ残っている。俺は『俺自身』が信じられない……俺という『人間』に価値を見出していないし、俺自身に魅力をなんら感じない。
つまり、俺は自分に自信が持てない。
だけど――
『なら『私』を信じて!』
そんな俺を――
『だから、結婚しゅるぅうううううううう』
――好きだと言ってくれる人が……できた)
「そうだ。答えなんて元から自分の中にあったじゃないか」
(俺が『何をなしたい』か……朝倉さん、見つかったよ)
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ。
さーて、次回の『何故かの』は?」
決まった『答え』
しかし、安藤くんにはまだそれを実行する『手段』が思い浮かばない!!
困った安藤くんはクズをも掴む思いである人物に相談するのだが……
次回、何故かの 「ルーレット」 よろしくお願いします!
「ガッハッハッハ!」
* 次回予告の内容は嘘予告になる可能性もあります。
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