第138話「食べ放題」



『私と付き合ってよ』



(なんて言うから、何かと思えば――)


「ほら! 安藤くん、早く食べないと料理がドンドンなくなっちゃうよ!」

「…………桃井さん、そろそろこの状況を説明してくれないかな?」


(目の前のテーブルには色とりどりの『料理』『料理』『料理』そう料理の山が桃井さんの手によって積み重なり……何で、俺は休日のランチに桃井さんと一緒に駅前の食べ放題バイキングなんかにいるんだろう?)


「んー? 何って見てのとおり、ランチ限定の食べ放題バイキングだよー♪」

「いやね……俺が聞きたかったのはここが何処なのかを知りたいんじゃなくて、何故俺が桃井さんと一緒に食べ放題のランチに誘われたのか? って、ことなんだけど……」


(この人、絶対に分かっててボケるよな……)


「えへへー、実はここのバイキングのランチって一人だと高いけど、二人なら二人目が半額になるんだー。だから、誰かと一緒に来て会計を割り勘にして来ようと思ってたんだけど……ほら、サクラってあんまりこういうのは無理でしょ?」

「あぁ~……なるほどね。確かに朝倉さんはあんまり食べない方だからね。なるほど、それで男の俺なら朝倉さんよりは食べれると読んで誘ったと?」

「そういうこと♪ 迷惑だったかなー?」

「いや、まぁ……俺も腹は減ったし、そもそも迷惑なら店に入る時点で断っているよ」

「ホント! 良かったー……じゃあ、これで一杯食べられるねー♪」

「まぁ、問題はそもそもこれを全部食べきれるのか? って所なんだけどね……」

「大丈夫! 大丈夫! 私って意外と良く食べる方だからね! あ、でもこれは皆にはナイショだよー? 安藤くんだから、教えてるだけなんだからねー?」


(ふふー♪ こんな風に言ったら、安藤くん変に意識しちゃったりするのかなー?)


「そうですか……まぁ、心配しなくても誰にも言わないから安心してよ。むしろ、俺の場合はそれを聞いても、言う相手がいないまであるから」

「えぇーなにそれー、つまんない! ぶぅ~!」

「つ、つまんないって……」


(別に面白い話を言う必要性も無いんだよなぁ)


(もっと面白い反応を期待してたのにーっ!)


「因みに、安藤くんは食べ放題って結構食べられる方? それともサクラより?」

「うーん、どうだろう? 別段、俺って同年代の誰かと一緒に食べるって経験が少ないからイマイチ自分が食べる方なのか分からないんだよね。でも、妹よりは食べるし、朝倉さんよりは食べられると思うよ」

「そ、そっか……なんか、前半部分の理由を聞いて何故か胸が痛くなったけど、安藤くんが人並み以上には食べる方で安心したよー」

「……?」


(おっぱいが痛いってどうしたんだろう……? 食べ過ぎの胸焼けかな?)


「では、安藤隊員! 我々はこれより、食べ放題の代金を回収するべく多いに食べなければいけない! 無論、代金以上に食べてしまってもかまわない!」

「イエッサー!」

「では行くぞ! まずはあのお寿司と焼肉から殲滅するのだー」

「隊長! 私は、それより先にテーブルの揚げ物類を先に片付けるべきだと思うのですが!?」

「安藤隊員、問題ないさ……全て、食べれば良かろうなのだーッ!」



 30分後



「安藤くん……ダメ、もう……生まれちゃうよー」

「桃井さん……貴方、さっきまで『このくらいまだまだ余裕だよー♪ よし、今度は追加でカレーもよそって来ちゃうね♪』とか言ってノリノリで茶碗と皿を三つほど持ってきましたよね?」

「安藤くん……ダメだよぉ……私、そんなにいっぱい入らない……もう、いっぱいなんだよ?」

「うん、自業自得だよね?」


(てか、桃井さん。さっきから発するセリフの一言一言がチョイチョイ『エロい』気がするのは気のせいですか……?)


「ふぅーっ! 食べた、食べた!」 ポンポン!

「いやいやいや……桃井さん? 何、もう食べ終わった見たいな空気出してるの!? まだ、テーブルに料理が残っているの見えているよね?」

「およよぉ……安藤くんはこんなに苦しんでいる私にまだ食べろっていうのね……なら、サクラに『うぇーん! もうお腹の中いっぱいなのに、安藤くんがまだ私の中に詰め込もうとするよ~!』って、メールを……」

「何!? その悪意しかないメール!? 分かった! 分かったよ! 後は俺が食べるから、桃井さんは休んでください、お願いします!」

「わーい! 安藤くん大好き~♪ よ! 流石は安藤くん♪」

「まったく……」 モグモグ


(まぁ、しかし、桃井さんも良く食べたよな……これだけ食べるならあの『巨乳』の理由も納得だわ。やっぱり、栄養が胸に行く体質なんだろうな)


「むぅー? 安藤くん、何私のお腹見てるのかなー? ヤラシイのはメーだよ!」

「桃井さんがそれを言うのかぁ……いや、別に変な目で見てた訳じゃなくて純粋によく太らないなーって思ってさ」

「ちょ!? ふ『太る』とか……安藤くんデリカシー無さすぎだよ! もう、プンプン! なんだからねー?」

「人前で散々大食いしてた人が言うセリフじゃないんだよなぁ……」







【次回予告】


「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ。

 さーて、次回の『何故かの』は?」


テーブルの上に残された大量の料理、まさかのギブアップ宣言の桃井さん。

残された安藤くんは制限時間以内にテーブルの料理を食べきれるのか!?

次回はこの流れで真面目な話をやります!


次回、何故かの 「答え」 よろしくお願いします!


「何を言っているんだこの爆食おっぱいは?」


* 次回予告の内容は嘘予告になる可能性もあります。


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