第137話「魅力」
「ありがざましたー」
(チッ! もう、二度と私の前に現れるな! このハーレムぼっち野郎が!)
「まさか、あんな場所で桃井さんと出会うとはね……でも、服を一緒に選んでくれて本当に助かったよ。なんかお礼ができればいいんだけど……」
「アハハー、そんなの全然気にしなくて良いよー♪ それに今日買った服だってサクラとのデート用なんでしょう? なら、サクラに相談できないのも仕方ないしねー」
(うーん、でも普通のカップルならそういうのをデートの理由にして一緒に服を見たりするものだと思うんだけど……まぁ、そこら辺は安藤くんにはハードルが高いのかもねー)
「でも、私としてはー、あの安藤くんがサクラの為にこうして隠れてファッションの勉強をしているのは意外だったかなー?」
(正直、安藤くんってそういう見た目とか全然気にしない雰囲気あるもんねー? でも、よくよく思い返してみたら前に映画とかプールに行った時も必要最低限の格好をしていたのはこういう努力の賜物なのかなー?)
(てか、服を買った流れて桃井さんと一緒にいるけどこの後どうしよう? 俺って基本は『ぼっち』だから、こうして外で知り合いと出会った時の対処法とか知らないんだよな……)
「アハハ……まぁ、俺の場合付き合っている相手が相手だから、やっぱり必然的に横に並ぶ事が多いと見比べたりされるわけで……」
「あー、確かにサクラが隣に並ぶとねー……うん、その気持ち分かるなー。私もサクラと遊ぶ時は迂闊な格好できないからね」
(サクラと二人で外に出るとナンパとかしょっちゅう来るもんねー。まぁ、そのたびにシッシッ! って、追い払うけど……)
「それはもう周りの目が凄いこと! 凄いこと!」
「あーなるほどね……」
(確かに桃井さんと朝倉さんが並ぶと『格差』が凄いもんなぁ……) ←遠い目
(サクラって本当に美人で可愛いからしょっちゅうナンパの的になるんだよねー、それにくらべて私の場合は背が大きいし、サクラに比べて可愛げも無いしー、その上寄ってくるような男は皆目線が『胸』ばっかり! もう、ホント……皆の見る目がサクラと私で全然ちがうんだよねぇー)
「だから、今日は桃井さんがいてくれて本当に助かったよ」
「うんうん! そうでしょーう? だって、私ならサクラと比べて魅力も低いからー、安藤くんと並んでも釣り合いが取れるもんねぇ?
って、誰がサクラより魅力が低いんじゃーーい!」
(まぁ、今ではサクラとの長い付き合いでそのコンプレックスにも折り合いが――)
「桃井さん、何言ってるの……俺からしたら桃井さんだって十分に魅力的でしょ?」
(ホィイイッ!?)
「え、あ、安藤……くん? 何を言っているのかなー?」
「いや……何ってそのままの意味だけど?」
(いやいやいや、クラスで朝倉さんに次ぐ人気を得ておきながら『魅力』が無いとは……この『おっぱい』は何を言っておるのでしょうか?)
「だって、桃井さん人気者じゃん」
「え、あぁ……まぁそうだけどぉー……でも、それと『女の子』として魅力は違うというかー」
「でも、桃井さんってウチの学校の男子に告白とかされてるでしょ? それって桃井さんの言う『魅力』ってやつじゃないの?」
「え! 安藤くん、何でそんなこと知ってるの!?」
「あ、ヤバ……」
「ふぅ~ん、その反応……サクラだなぁ~?」
(朝倉さん、ゴメン!)
(サクラぁ~次に会った時はこちょこちょの刑だからねぇ~)
「ふぅ……確かに安藤くんの言うとおり告白は何回かされたことあるよー? でもね。そういう人達って、私が空気を読んで合わせているのを『俺の事が好きなんだ!』って勘違いして告白して来ちゃう人とか、あとは露骨に『胸』を見てくるような人なんだもん!」
「へ、ヘーソウナンダ……」
(べ、別に……俺は胸ばっかりなんか見てナイヨ……?)
「だからかな。なんか、どの人も『私』って個人を見てないような気がするんだよねー?」
「ふーん。でも、それは違うんじゃないかな?」
「え、安藤くん、違うって何が?」
「うーん、なんていうのか……確か、前に俺が桃井さんの『キャラ』のことを『本物』だって言ったことがあったよね?」
「あー……うん、あった!」
(確か、あの時は私が自分で演じた『キャラ』で作った友達を『本物』って言えるのか悩んでたのを安藤くんが『本物』だって一蹴してくれたんだよねー)
「つまり、あれと同じだよ。確かにその告白してきた人達は桃井さんの『周りに合わせる明るいキャラ』を『自分に惚れてる』って勘違いして告白してきたかもしれないけど、それは逆に言えば相手に勘違いさせるほどの『魅力』が桃井さんにあったってことじゃん? だって、桃井さんはその『キャラ』を含めて『桃井さん』って個人なんだから、たとえ桃井さんのキャラだけに引かれてても、それは『桃井さんの魅力の一部』なんだと俺は思うよ」
(てか、桃井さんって基本深く考えすぎなんだよなぁ……自分が人一倍周りを良く見ている分、それだけ自分自身のことも知ってもらえないと気がすまないタイプなのか?)
「で、でも……私がサクラと一緒にいるとサクラばっかりナンパされるよ?」
「そこはホラ、ウチの彼女さんが飛びぬけて魅力的なだけで、決して桃井さんの魅力が低いことにはならないから」
「えぇええーっ! 安藤くん、そこで自分の彼女を持ち上げるぅうう!?」
「あはは、でも、大丈夫だよ。桃井さんは十分魅力あるって! それに――ほら……『胸』だって俺は桃井さんの十分な『魅力』の一つだと思う……よ?」
(朝倉さんには縁の無い十分な……ね)
「え……ふ、フーン、ホォ~ウ……安藤くんも私の『胸』は魅力だと思うんだねぇー?」
「っ!? あ、あくまで、俺の主観的な『意見』だから! べ、別に変な意味じゃないよ! いや、マジで!」
「ほうほうほう……そうですかぁー? へぇー~♪」
「桃井さん!? その反応絶対にわかってないよね!?」
「大丈夫ー、大丈夫ー♪」
(でも、そっか……私の『キャラ』を知っている安藤くんでも、この『胸』は私の『魅力の一部』だと思ってくれるんだ……なら、それも『アリ』だよね)
「そうだ! 安藤くん、さっき私に『お礼』したいって言ってたよねー?」
「え、まぁ……言ったけど」
「なら、私と『付き合って』くれると嬉しいなー♪」
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ。
さーて、次回の『何故かの』は?」
【問題】 安藤くん+桃井さん+デート= 答えはなんでしょう?
次回、何故かの 「?べ??」 よろしくお願いします!
「わーい! 安藤くん大好き~♪」
* 次回予告の内容は嘘予告になる可能性もあります。
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