第116話「君の名は」



 キーンコ~ンカッコ~ウ♪


「ふぅー、今日もやっと授業終わったな……さて!

 暇だな……」


(いや、何でだよ! これでも俺って生徒会長選挙に立候補している身だよね!? なのに、何でこんな暇なんだよ!)


「こんな俺に比べて朝倉さんは生徒会長とミーティングとか他の運動部への顔合わせがあるから一緒には帰れないって言うし……」


(それに比べて俺は……)



回想


『委員長、今日の放課後は俺の予定どうなってるの?』

『特に何も無いわよ』

『え……』

『いや、そんな顔をされても本当に予定なんか無いわよ』

『でも、朝倉さんは生徒会長とミーティングとかするんだよ? なら、俺達もミーティングとか――』


『安藤くんの場合、私以外にミーティングする相手もいないでしょう?』


『…………』シーン

『それに今更、私達で話すことなんて無いわよ』

『な、なら! 俺達も別の部活とかに顔を売りに――』


『売るような顔も無いのに一体何を売るのよ』


『グハッ!』 ←安藤くんの心に5000のダメージ

『どう、少しは状況が理解できたかしら? 私達は動くにはまだ圧倒的に準備が足りてないのよ。今は私があのアホ(山田)を使ってその辺の下準備をしているところだから、時が来たらちゃんと声をかけるわ。安藤くんはそれまで待機ね。まぁ、しいて言うなら朝倉さんの用事が終るまで学校内をうろついて少しは他の生徒に顔でも覚えてもらいなさい』

『…………はい』



「……………」


(まぁ、そんな感じで委員長の遠慮の無い言葉によって心に深いダメージを追った俺は現在虚しいほどの暇をもてあましているわけだが……)


「委員長が顔を売って来いっていうから学校をうろついているけど暇だな。これなら、いっそのこと朝倉さんの用事が終るまで図書室でラノベでも読むか!」


(今の時期は委員長は選挙活動の仕事があるから、図書室にいるのは委員長以外の図書委員なので委員長に見つかって小言を言われる心配も無いしな!)


 ガラガラ~


「…………」


(うん、やっぱり図書室は人があまりいないからいいな。今日は図書委員を含めても他に女子が一人いるだけか――って、ん? あの巨乳……何処か見覚えがあるぞ?)


「~~♪」

「…………」 じー


(うーん、誰だっけなぁ……あのおかっぱ頭、そしてメガネ……キッチリと着こなした制服……そして、Dカップと見られる巨乳――そうだ!)


「副会長の推薦人の人じゃん!?」

「うぇ! なな、何? って、貴方は石田くんと言い合いになってた……

 安藤くん、だよね?」

「うん、えーと……君は確か――」

「あ、うん」

「確か――……」

「……え」

「…………」

「あ、あの……無理をして思い出さなくてもいいよ? 私って影が薄いから、あはは……」

「いや! 待って! 直ぐに思い出すから!」


(や、ヤバイ……マジで名前が出てこない。ただでさえ相手がぼっちで影の薄い俺なんかの名前を覚えてくれていたのに、その俺が相手の名前を忘れているとか気まずいどころの話じゃないぞ! ええい、なんかと思い出すんだ! 確か――こう、巨乳で! メガネで! おかっぱで……地味な巨乳の――)


「そうだ! デカ林さん!」

「藤林です!」







【次回予告】


「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ。

 さーて、次回の『何故かの』は?」


図書館で、新たな巨乳に出会った安藤くん! 果たして安藤くんは新たな巨乳をゲットして仲間に加えることができるのか? 


次回、何故かの 「『D』を超える者」 よろしくお願いします!


「これは確かに、石田くんが嫌いそうなタイプだ……」


* 次回予告の内容は嘘予告になる可能性もあります。

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