第115話「隠し場所」
「やっぱり、こういうシーンでロッカーの中を確認するのがラノベとかでは鉄則よね♪ まぁ、それで実際に中に誰かが入っているなんていうのは流石にありえないけど……こういうシュチュエーションだと一回は開けないと損でしょ!」
(しまったぁあああああああああああああああああ! 空き教室のロッカーの中に隠れるとか鉄板すぎて怪しまれて当然だったぁああああああああああああ!)
(こ、このボケナスぅううううううううううううう! 全然、ロッカーを確認しに来ないと思ったら、ただメインディッシュに取っておいただけじゃないですのぉおおおおお!)
「うぅ……やっぱり、こういうのって開ける瞬間が一番ドキドキするわね!」 スカン! スカン! ← 心臓の音
「「…………」」 ドクン! ドクン! ← 心臓の音
(動けない……大佐! 動けない! 指示をくれ……大佐、ペッタンコ大佐! 指示をくれ!)
(ちょちょちょ!? 怖いのは分かりますがいくら押されても何処にも逃げられませんわよ! そ、それよりも……当たってますわ! い、いろいろと!?)
(いろいろって何がだよ! てか、狭いんだからしかたないだろ!)
「さぁ、開けるわよ――」
((き、来たァ――ッ!? もうお終いだぁあああああああああああああああああ!))
カチャ
「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ! み、見つけたぁあああああああああああああああああああああああああああ!」
「「――――ッ!」」
((終わった――って……あれ、ロッカーの扉が開き切ってない? てか、今の声は……))
「ビックリしたわ……急に大声を出すから誰かと思ったら、山田くんじゃない。見つけたって私のこと?」
「おう! 朝倉さん、やっと見つけたぜ! 俺だ! 山田だぜ!」
((や、山田ァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!))
(山田、良くやった! 思い返せば元々の元凶はお前なんだけど、今この場に限ってはお前の出現はナイスプレーだ!)
(山田くん、でかしましたわ! 貴方が大声を出したおかげで朝倉さんがロッカーを開ききらないですみましたわ……でも、良く考えればこの男がボールなんかを蹴っ飛ばさなければこんな事も……うーん、複雑な気持ちですわね)
「でも、山田くん。どうして、私を探していたの?」
「おう! 実は俺の所為で生徒会長が『かくかくしかじか』な感じになってさ。それで今日、生徒会長が予定してた朝倉さんとのミーティング? ってやつが出来そうに無いからキャンセルにしたいって生徒会のやつらが言ってたから、俺がその伝言を頼まれて朝倉さんを探してたんだぜ!」
「あら、そうだったのね。山田くん、ありがとうね」
「おう!」
「そうね……ミーティングは中止って話だけど、ちょうど私も暇しているし生徒会の人達とだけでも話したい事があるから……山田くん、生徒会の人達がいるところまで案内してくれるかしら?」
「もちろんだぜ! 生徒会のやつらは今はちょうど体育館裏で休憩してるはずだぜ!」
「何で生徒会の人たちがそんなところにいるのよ……」
「さっきまで、生徒会長にボールをぶつけちゃった件で、皆で俺をフルボッコにしてたから疲れたんだと思うぜ!」
「それで、何で山田くんはピンピンしているのかしら……?」
「こう見えても、俺は視力が良いからな!」
「……まぁ、いいわ。とりあえず、行きましょうか」
「おう!」
ガラガラ~
「…………」
「…………」
カチャ……
(誰も?)
(いない……ですわよね?)
「「はぁ~~た、助かったぁ……」」
その後、生徒会室
「やっと、生徒会室まで戻れましたわ!」
「ミッションコンプリート!」
「えーと、予備のパットは……ありましたわ! これでやっと人前に出れますわ~~」
「ちょっと待て、何で予備のパットが生徒会に飾ってある神棚の中から出て来るんだよ……」
「だ、だって……ご利益がありそうではないですか……」
(いや、むしろバチが当たりそうなんだが?)
「取り合えず、これで俺はお役御免だな」
「ま、待ちなさい! ですわ……」
「…………まさか、この期に及んでまだ何かあるとか言わないですよね?」
「そうではありませんわよ!」
「じゃあ、なんですか?」
「それは――……」
「何もないから帰りますよ?」
(なんだ? 生徒会長にしてははっきりしないな……)
「だ、だから――ああ、もう! べ、別に……今回だけは感謝いたしますわ!
で、ですが……次に会った時は敵ですからね! か、覚悟してくださいまし!? それだけですわ……ふん!」
(え? まさか、今のお礼?)
「…………」
「何ですの……その顔は?」
「いや、生徒会長ってなんか面倒臭い性格してるなーって、思いまして……」
「いいから、さっさと出て行ってくださいますか!? 貴方がいてはいつまでたっても
「大佐、了解した!」
ガラガラ~
「まったく、本当に……し、失礼な男ですわね!」
(でも、少しだけ……楽しかったことも、無くはないですわね♪)
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとう! 『学校一の美少女』朝倉さんよ♪
さーて、次回の『安藤くん』は?」
生徒会選挙の仕事が無く暇な安藤くんは図書館で暇をつぶすことにした。しかし、そこには先客がいて――
次回、何故かの 「君の名は」 よろしくお願いします!
「安藤くんの場合、私以外にミーティングする相手もいないでしょう?」
* 次回予告の内容は嘘予告になる可能性もあります。
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