第113話「大盛り味噌ブタチャーシュー麺」



「…………」 キョロキョロ


(よし、誰もいないな)


「大佐、前方確認良し……理科室前まで移動可能です」

「了解しましたわ。では、私は理科室まで進みますので、スネークは引き続き先の進路を確保してくださいまし」

「大佐、了解した。こちらスネーク、引き続き任務を続行する……」 キョロキョロ


(最初、会長が『万が一誰かに私達が一緒にいるのを目撃されるか話し声を聞かれれば選挙に影響する可能性もありますわ。ですから、会話だけでもお互いの名は言わずにこれからは互いをコードネームをつけて呼ぶことにしますわ!』とか、言い出した時は胸だけじゃなくて、頭もスカスカになったのかと思ったが、実際にこれやってみると意外と楽しいな……なんか、会長もノリノリだし)


「大佐、前方良し、このまま進んで問題なし……」

「了解ですわ。今、理科室からそちらに移動しま――」

「っ!? ま、待てペッタンコ大佐! 緊急事態だ! 人が来た! 待機だ、ペッタンコ!」

「りょ、了解です――わ……って、ちょっと待ちなさい! 貴方、今さりげなく私の事を――」


「『プリン』に『うに』をかけると『しょうゆ』の味になるって本当かなー?」


「敵が来た! 話は後だ。早く隠れろ!」

「っく、後で覚えてくださいまし……」


(よし、生徒会長はなんとか理科室の中に隠れたな……しかし、こんな時に限ってアイツがくるとは嫌な予感しかしないな……)


「おっ! 安藤じゃん!」

「おう、山田か。こんなところでどうした?」

「いやさー生徒会長なんだけど、なんか凄い事になっちゃたじゃん?」

「ああ、主にお前の所為でな」

「だから、謝っておこうと思ってさ! よくよく考えたら、俺って生徒会長に謝ってなかったわ!」

「お前、それ……普通は最初にやることだからな?」

「おう! だから謝りに来たんだよ! それで、安藤。生徒会長が何処にいるかしらね?」


(生徒会長なら、ちょうど隣の理科室にいるが……まぁ、言える訳もないしここは適当に誤魔化しておくか)


「生徒会長なら、さっきシャワーを浴びて――

『あら、何だか急にハラが減ってペタペタリンリンですわ! ここは学食で大盛り味噌ブタチャーシュー麺をがぶ飲みしたい気分ですわね♪』

 ――とか言って学食に向かったぞ。今なら、急げばまだ間に合うんじゃないか?」

「そうか! 安藤、サンキューな!」

「おーう、急げよ~」


(ふぅ……これで邪魔者は立ち去ったか)


「会長、これで安心して先に進めるぞ!」


「――って、貴方は何を言ってくれてるんですかぁああああああああああああ!」


「ぐぁっ!? か、会長……いきなり怒り出してどうしたんですか……?」

「『どうしたんですか?』じゃ、ありませんことよ! なんなんですか、さっきの超適当な嘘は! 私はあんな変なことは言いませんし、まして『大盛り味噌ブタチャーシュー麺』なるものをがぶ飲みなんてしませんわ! さりげなく、この機会を利用して私の評判を下げるような噂の拡散は止めてくださいまし!」

「いやいや……ほら、俺も焦ってたんですよ。そもそも、あの場を誤魔化しようにも俺って生徒会長のキャラって『ペッタ! ペッタ!』と『腹黒』のイメージしか無いもんで……つい☆」 テヘペロ♪

「テヘペロ♪ じゃ、ありませんわよ! どうして、貴方の中の私のイメージそれしかないんですの! 私は生徒会長なんですから、もっと全校集会の時の完璧な時の私のイメージとかあるでしょう!」

「いやいや、生徒会長こそ俺と言う『ぼっち』を舐めないでいただきたい。俺みたいな『ぼっち』は基本的に他人に興味なんて無いんで生徒会の人間の顔とかキャラとか普通に覚えてないからね?」

「なんて……ことですの。私、本当に貴方の事が心底嫌いになりましたですわ」

「そりゃ、どうも……」


(うーん、少し騒ぎすぎたな。誰かが来る前にさっさと落ち込んでいる生徒会長を生徒会室まで送り届けたいが――)


「あれ? なんか、こっちの方から安藤くんの声が聞えた気がするのだけど……」


「「っ!?」」


(この声は朝倉さん! 何でここに!? 人気の無い理科室の前で体操着姿の生徒会長と一緒にいる俺とか……なんかこの状況ヤバイ気がする!)


(しまったですわ! そういえば私、後で朝倉さんと打ち合わせをする予定でしたわ! こんな姿で彼女の前に出るには……)


((とりあえず、隠れないと!))


 ガラガラ~ パタン…… ← 二人が理科室に隠れる音


「あれ~? なんか、安藤くんがいる気配がしたのだけど……いないわね?」 キョロキョロ



 ―理科室―


「「…………」」


「って、何で貴方まで隠れてますの!?」 ←小声

「つい、うっかり……」 テヘペロ♪


 





【次回予告】


「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ。

 さーて、次回の『何故かの』は?」


迫る朝倉さん、逃げる生徒会長、安藤くん。

突然の朝倉さん襲来は二人にに希望を捨てさせた。そして、遂に自爆を迫られる生徒会長。


次回、何故かの 「朝倉さん、襲来」 よろしくお願いします!


この次も、サービス、サービスゥ!


* 次回予告の内容は嘘予告になる可能性もあります。

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