第91話「好み」


「ひぁ~~……水着ってこんなに種類があるのね」

「サクラ、感心してないで新しい水着を探さなきゃねー?」

「そうよ、朝倉さん。今日は朝倉さんが、安藤くんをイチコロにする為の水着を選びに着たんだから」

「そうそうー、それにせっかくの助っ人にも来てもらったからねー?」

「わーい! 今日はサクラお義姉ちゃんと一緒に買い物できて嬉しいです♪」

「妹ちゃん、わざわざ私の水着選びに付き合ってもらってごめんね?」

「サクラお義姉ちゃんのためなら全然大丈夫です! それに、私も今日は自分の新しい水着を買うつもりでしたから♪」

「そうなのね。なら、良かったわ。そう言えばモモと委員長も水着は買わないの?」

「うーん、そうだね……最初は買わないつもりだったけど、せっかくショッピングモールの水着売場に来たんだし何か買おうかなー?」

「そうね。私も何か気に入ったのがあれば買ってもいいわね」

「なら、各自で好きな水着を選んでファッションショーでもどうかしら? ここは試着も出来るし、それなら私もいろんな水着が見れて参考にもなるのだけど?」


(そうすれば事前に皆がどんな水着を着るか見れるから水着が被る事も無いわよね……もし、明日のプールでモモと同じ水着とかになったら――)



『うふん!』 スカーン

 ↑

 同じ水着

 ↓

『えへへー』 ボイーン



(大事故だわ……それを避けるためにもリサーチは必須よ!)


「いいね。私は賛成だよー」


(どんな水着なら、安藤くんは面白い反応をするかなー?)


「そうね。せっかく、女の子同士で集まったのだし、そういうのもアリかもしれないわね」


(せめて……安藤くんとかに笑われないような水着を選びたいわね……)


「私も大丈夫です! サクラお義姉ちゃん!」


(まー、もう本当に水着とか? どうでもいいんだけどー? それでも、お兄ちゃんが私の新しい水着を『すっげぇええ、見たいです! お願いします!』って、言うから? 私はお兄ちゃんの『妹』だし、しょうがないよね~~♪)


「あ、因みに……い、妹ちゃん? そ、その……安藤くんはどんな水着が好みか? って、分かるかしら?」


「「っ!?」」


「え、お兄ちゃんの水着の好みですか……?」

「べべべ、別にこれは特に深い意味は無いのよ! ただ、私は安藤くんの彼女でもあるわけだし……そそそ、そにょ……少しでも、安藤くんが喜ぶ水着を選びたいだけなんだからね!」

「あははーサクラ、それ照れ隠しになってないからね?」

「ふぇ! モモ、それどう言うこと!?」

「まぁ、でも……『彼女』としてはそれでいいんじゃないかしらね?」

「い、委員長!?」

「ムフフ~~サクラお義姉ちゃん……やっぱり、私はサクラお義姉ちゃんが大好きです♪」

「妹ちゃんまで!? え、私何か変なこと言った!?」


(まったく、お兄ちゃんは本当に幸せ者だな~。でも、お兄ちゃんの水着の好みか……本棚の下段的にはやっぱり『おっぱい』なんだろうけど、サクラお義姉ちゃんにそんな残酷なことは言えないし……種類的には『地味系メガネ』『巨乳』『清純派』『後輩系』とかなんだけど……)


「そうですね~お兄ちゃんの水着の好みは……」

「好みは?」 ゴクリ

「…………」 ゴクリ

「…………」 ゴクリ


「ビキニですね」


「ビキニね!」

「ビキニかー」

「ビキニ……」

「はい、ビキニです♪」


(適当に無難なの言っておけばいいよね? お兄ちゃんのことだし『大小』に関わらず露出が多ければ満足だと思うし~♪)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る