第81話「戦争(デート)」
(俺の彼女はエロい)
「それでね! そのなろうラノベなんだけどもうコミカライズとドラマCD化が
決定しているのよ! どう、凄くないかしら!」
「うん、そうだね。まだ一巻が出たばっかりでそこまでメディアメックスが決定している作品は珍しいよね」
(最初、待ち合わせ場所のファミレスに着いた時は何故か不機嫌だった朝倉さんも『なろう』の話を始めたらすっかりご機嫌になったな。きっと、夏休みの間は俺以外に『なろう』の話ができる相手がいなかったからそれで不機嫌だったんだろう)
(うふふ! 安藤くんったら待ち合わせ場所に来て早々に――
『あれ? 朝倉さん、夏休みに入ってイメージ変えた? 今日の朝倉さんも凄く可愛いよ♪』
――って、言ってくれたわ! キャァアーーッ! もう、安藤くんったら私の事を一週間近くも放置してくれてどうしてやろうかしら……!! って、思っていたけど、久しぶりに会ったっていうのに直ぐ私が髪を一ミリ切ってさらに今までつけていなかった可愛い髪留めを付けたのに気付くとは……流石は私の彼氏ね!)
(あ、それとも最初に朝倉さんに言ったあの『魔法のことば』が関係しているのか? 俺が慌てて家を出る前に妹が――
『お兄ちゃん! もしかしたら朝倉先輩は超不機嫌かもしれないから会ったら直ぐにさっきの魔法の言葉を言ってね! いい? たとえお兄ちゃんが気の利く事をいえなくても、女の子は常に何かしら変わり続ける生き物なんだから、さっきの言葉を言っておけば大体は何とかなるから!』
――って、言ってたから言ったけど流石は妹だな。今度、お礼に高いアイス買ってやろう。しかし、正直言って俺には朝倉さんの何が変わったのかさっぱり分からんぞ?
てか、今の俺に分かるのはとりあえず、白いワンピースに黒のカーデを羽織りシュシュで髪を軽くまとめた朝倉さんは大人っぽくって『エロい』ってことだけだ)
「それでね! こっちの作品の作者は再来月にも他の作品の書籍化が決まっててね!」
「うんうん」
(朝倉さんがエロい理由その1
まず、さっきからテンション上がってテーブルの向かい側の席から乗り出すようにして俺に話しかけてくるが、ワンピースの胸元が大きく開いている所為で、すっごぉおい! ギリギリのところまで胸元が見えそうになっている!)
「さらにね! こっちの作品はとある理由でなろうから削除されちゃったんだけど、なんとその後に書籍化が決定して出版されたのよ!」
「おおー」
(朝倉さんがエロい理由その2
今日の朝倉さんはリップクリームをつけているのか、なんか唇がテカっているし、顔もさっきから近い所為ですっごぉおおく! 『キス』をした時のことを思い出してドギマギする! しかもこんな目の前に絶世の美少女の顔があると言うのも俺の精神的に良くない)
「でも、私思うのよね……最近何故か何でもかんでもゴブリンに頼りすぎじゃないかしら? 『転生したらゴブリンだった件』『ゴブリン倒し続けて気付いたらレベル1のままでした』とかなんでこんなゴブリンブームが起きているのかしら?」
「やっぱり、面白いからでしょ」
(朝倉さんがエロい理由その3
目の前のどこに視線を向けても俺の精神がヤバイので下に目線を向ければそこにはワンピースの裾から出る朝倉さんの長い『足』が! 朝倉さんの太ももエロすぎぃイイイイイイイイイ! 何アレ!? 芸術? 白いワンピースという清楚なイメージに対してその裾から生える両足の絶対領域はまさに神秘(エデン)! くっぁあああああ! アレに視線を向けていると妙な背徳感すら感じる! 朝倉さんは学校ではそんなガード緩く無いと言うのに……まさか、これがカレカノ効果と言う奴なのか?
つまり、朝倉さんは俺と言う彼氏に魅力的な自分を見て欲しいと思いこのような完璧美少女コーデをして来たと言うわけだ。な、何て彼氏思いの彼女なんだ……胸は無いけど、美人で性格も良くて時々ポンコツで可愛いくて彼氏思いとか最高の彼女じゃねぇか! 俺……こんな彼女もらって本当にいいのかな? 罰とかあたらない?
しかし、朝倉さんはあくまでもこのエロいコーデと仕草を『自分を魅力的に見せる』ためにやっているのであって、決して俺に『エロ目線で見て欲しい』からやっているわけではない。だとしたら、俺がこんなにエロ目線で見ているのは失礼ではないだろうか……そうだ! 妹の言うとおり、せっかく俺に『彼女』という奇跡が舞い降りたのに俺がこんな様子じゃ朝倉さんに嫌われちゃう! 劇では思わず感情が高ぶって朝倉さんに『キス』をするという大事件を起こしたが、普通に考えればあれも警察沙汰か少なくても停学だもんな。
だから、自重するんだ俺!
エロ目線で見るなとは言わない……でも、せめてそれを朝倉さんに気付かれたり欲望に押し流されて朝倉さんに『キス』をしたり『抱きしめる』なんてことは決して無いようにしよう!)
「そういえば新作のラノベで『サヤエンドウにさよならを』っていう女子高生がサヤエンドウを手に入れるラノベがあってね」
「へー、そうなのね」
(…………それにしても、安藤くん。なかなか私の事を『エッチな目』で見てこないわね? うーん、おかしいわ……さっきから、ちょくちょく安藤くんと話している最中にワザと胸元をギリギリまで見えないように見せたり、ワザと顔を近づけたり、ワザと長い足をアピールしたりするけど、安藤くんの反応がどうも薄いのよね? これじゃ……
私、安藤くんに捨てられちゃうかも!?
私は考えたわ。安藤くんが私を一週間近くも放置した理由……それはきっと安藤くんの欲望が足りないからよ! だって、思い出してみれば劇での安藤くんは私を抱きしていきなり『キス』をしてくるほど内心では私の事を――そ、その……すすす『好き』なのよ! つまり、私よりも安藤くんの『愛』の方が大きいのは明白! なのに彼がここまで私に手を出してこないのはきっと安藤くんには『エッチな欲望』が少ないからよ!
だから、そこで彼女の私がワザと清楚でありながらも薄着のスキの大きい服を着て『完璧美少女』ならではのセクシーアタック! を仕掛けることで安藤くんの内に眠る『男の子』としての本能を呼び起こさせるのよ!
そ、そうしたら……安藤くん、また私を『ギュ!』って、抱きしめたりしてくれるかしら?
ま、まぁ! もともと、安藤くんは男の子としての『欲望』が少ないようだから、私がいくらアピールをしても手を出すとしたら軽く抱きしめる程度が限界でしょうね。べ、別に! 『チュー』とかを期待しているなんてことは無いんだからね!)
「そういえば、そろそろ夏の『なろう』作品のアニメが始まるね」
「どっちもロボットものだから楽しみだわ!」
(しかし、今日の朝倉さんはエロいな~~)
(もう、こんなにアピールしてるのに……なんで表情一つ動かさないのよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!) スカスカ
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