第三章【夏休み】
第80話「チキンレース」
ミィィーーン、ミンミンミィイイイン……ツクツクホーーシ! ツクツクホーーシ! ミョンミョンミョン……ジィイィィィ――――――ツクツクウィーーヨン! ツクツクウィーーヨン! ツクツクウィーーヨン! ミィィーーン……
「夏……だわ」
(夏休みが始まって早三日……安藤くんからの連絡――未だに『無し』)
「何でよ!? 私達付き合っているんじゃないの!? 『彼氏』と『彼女』でしょ!? なのに何で夏休みに入ってから一度も連絡が無いのよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
(はっ! も、もしかしたら、安藤くんは釣った魚には餌をあげないタイプもとい――買ったラノベは部屋に積み上げるタイプ!? 買ったらもう満足して読まないで、積んだままにするって言うの!? もしかしたら私もその積みラノベの仲間入り!?)
『朝倉さん、ゴメンね。今は新しいラノベ読んでるから……このシリーズ読み終わったら連絡するね』 ←妄想の中の安藤くん
「そんなの嫌だわ! 安藤くん、私をかまってぇえええええええ!」
(このままだと本当にそんな事になったりして……くっ! か、解決方法なんて、分かってるわよ! 私から連絡を取ればいいんでしょ!?
だって、安藤くんは積極的に動くタイプじゃないし……こういうのは私の方から誘った方が良いってのは知っている。けどぉ……)
『え! 朝倉さん。わざわざ連絡してきてくれたの? ゴメンね。俺……気が気が利かなくて……でも、俺が連絡するより先に連絡してきてくれるなんて、朝倉さんよっぽど俺に会えなくて寂しかったんだね? もう、朝倉さんは本当に――
お可愛いこと……』 ←妄想の中の安藤くん
「ムキャァアアアアアアアアアアアア! そそそ、そんなことある訳ないでしょ! 私は別に安藤くんが寂しがっていると思って連絡しただけなんだからね! で、でも……いくら私が否定した所で先に『連絡』をしたのは私……そうなったら、どうあがいても私の方が会えなくて寂しがっていたという結論になってしまう……そんなのは駄目よ! だって、私は『学校一の美少女』つまり、交際相手に会えなくて寂しさのあまり連絡を取るなんて私の『完璧美少女』のプライドが許さないわ!」
(だから、連絡をしてくるのは『安藤くん』から、じゃないと駄目なのよ!)
「こうなったら安藤くんから連絡があるまで絶対に私からは連絡しないわよ! ふ、ふん! 私が安藤くんに会えなくてこんなにも苦しいんだから、きっと今頃……安藤くんの方だって私に会えなくて、ラノベも読めないくらいに意気消沈しているでしょうね!
でも、絶対に私からは連絡してあげないんだからね! さぁ、私に会いたければ今すぐに自分から連絡をすることね。
アーーハッハッハッハッハッ!
…………はぁ、安藤くん会いたいよぉ~」
三日後、安藤くんの家
「…………」
「ブッハッハッハ! あー、この『転生したら盾でした』ってめっちゃ面白いな~~プッ……アーーハッハッハッハッハッ!」
「…………お兄ちゃん?」
「おう、何だ妹よ?」
「お兄ちゃんって確か……朝倉先輩と付き合い始めたんだよね?」
「ああ、そうだけど良く知っているな」
「『良く知っているな』って――朝倉先輩ほどの有名人に彼氏ができたとか……もう、学校中の生徒なら誰でも知っている大ニュースだからね? しかも、その相手がお兄ちゃんだって言うし……私がお兄ちゃんの妹だって誤魔化すのどれだけ大変だったか」
「は? 何でお前が俺の妹だって隠す必要があるんだよ?」
「私にだっていろいろあるの! もう、お兄ちゃんのラノベ馬鹿!」
「ラノベは関係ないだろ!」
(はぁ……本当に夏休み前の学校は大変だったな。だって突然、サクラお義姉ちゃんとお兄ちゃんが付き合ったって言う大ニュースが流れて『何それ!? 私、お兄ちゃんから何も聞いてないんだけど!?』ってなるし……
その上、学校中の皆が噂の真相を確かめようとするけど――
・サクラお義姉ちゃん ←噂の張本人 でも『美少女』過ぎて近づけない。有象無象が気安く話しかけられる人物じゃない。
・私のお兄ちゃん ←噂の張本人 でも、『ぼっち』過ぎて近づけない。気安く話しかけるなオーラが出て話しかけられない。
・私 ←お兄ちゃんの妹 あれ? こいつ、もしかして噂の人物の妹じゃね? よし、こいつから話を聞こう!
――って、感じで当日は一年から三年生まで、皆が私の教室に事情を聞きに来て大変だったんだよ! あの時は、桃井先輩と委員長さんが事態を予測して助けに来てくれなかったら、どうなっていたか……)
「――って、そうじゃなくて! せっかく『社会不適合者』で『ラノベオタク』の『生涯独身貧民』有力候補の『ぼっち』なお兄ちゃんに『美少女の彼女』っていうありえない奇跡が舞い降りたのに……なんで、お兄ちゃんは夏休みが始まってからずっと家にいるの!?」
「長い長い長い……てか、俺どれだけ属性つけてるんだよ……まるで、なろうの主人公のスキル並にキャラ個性多すぎだろ……」
安藤くん レベル5 体力10 友達0 攻撃力3 防御5 スピード5
スキル:『社会不適合者』『ラノベオタク』『生涯独身貧民の有力候補』『ぼっち』『美少女の彼女持ち』
総合能力:E(ザコ)
(まぁ……でも、妹の言いたい事も分かる。つまり、妹は『彼女ができたのにデートもしないで家で何ラノベばっか読んでるんだ。この野郎!』って、言いたいんだろ?)
「しかし、妹よ……お兄ちゃんは何も、彼女の存在を自分の都合のいい妄想だと思ってラノベに逃げていたわけではないのだよ!」
「…………じゃあ、夏休みが始まってから、朝倉先輩を放っているのは何なの?」
「気遣いさ!」 キリッ!
「……気遣い?」
「ああ! 夏休みが始まり、人生で始めての彼女ができた俺は考えたんだよ。この夏休み……俺は朝倉さんに連絡をするべきなのか?」
「ふんふん……ん?」
「そして、思ったのさ!『もしかしたら、俺から勝手に朝倉さんに連絡したら迷惑かも?』っとな!」
「…………?」
(私のお兄ちゃんは一体何を言っているのだろう?)
「つまりな、いくら夏休みだと言っても朝倉さんにもきっと予定とかあるだろう? それを付き合い初めだからと言って何度も連絡したら迷惑じゃないのかなーって、思ったんだよ。だから、俺はあえてこの夏休みの間は……
『自分からは積極的に朝倉さんへ連絡をしない!』っと、決めたのさ!」 ドヤッ!
「…………」
「それに、朝倉さんから連絡が来ないのはやっぱり朝倉さんもいろいろ予定があって忙しいからだと思うんだ。だって、暇だったら連絡くれると思うじゃん」
(おいおい、この馬兄(ばにぃ)ちゃん? サクラお義姉ちゃんの性格分かっているよね? あのツンデレなお義姉ちゃんが自分からお兄ちゃんに連絡をするようなタイプに思える? あれは確実にお兄ちゃんが連絡するまで待つタイプだよ?)
「バ――お兄ちゃん……それ、もしも朝倉先輩から連絡来なかったらどうするつもりなの? もし、朝倉先輩から連絡無かったら夏休み終っちゃうよ?」
「いや、流石に俺だって定期的には連絡を取るつもりだぞ? まぁ、そうだな……そろそろ一週間経つし、明日くらいメールで予定を聞いて、一週間後に待ち合わせとかなら朝倉さんも予定を開けれると思うんだ」
「oh…………」
(つまり、夏休みが始まってからお兄ちゃんとサクラお義姉ちゃんの二人はこんな状況ってことだよね……)
『夏休みだわ! 安藤くんと何処行こうかしら! でも、自分からは恥かしくて誘えないわ……そうだわ! 安藤くんが連絡してくるまで待ちましょう!』
『夏休みが始まったし、朝倉さんに連絡しようかな? でも、朝倉さんも忙しいかも知れないから俺からは連絡しないでおこう!』
↓
『『連絡来ないな…………』』
「お兄ちゃんバカじゃないの!? いや、バカだよね! てか、大バカすぎるでしょ!?」
「うぉお!? い、妹? いきなりどうしたんだよ?」
「どうしたんだよ? じゃないよ! お兄ちゃん、今すぐ朝倉先輩に連絡して! そして、今から直ぐにデートするの!」
「い、今!? てか今日連絡して今日デートするのかよ!?」
「そうだよ! まだ一時だから急げば時間はあるから!」
「いや、でも……それは朝倉さんの都合も――」
「早くしないと、お兄ちゃんの部屋にあるラノベ全部売るよ!」
「は、はいぃいい!」
(そして……慌てて朝倉さんに電話したら、直ぐにこの後デートすることになりました)
*【コメントについてのお願い】
いつも『何故かの』を応援していただきありがとうございます。
今回はコメントについてお話したいことがありましたので、こちらでコメントについての方針を書かせていただきます。
『何故かの』は読者の皆にコメント欄も含めて楽しんでいただける作品にしたいと思っています。
なので、できる限りコメントの削除、またはブロックはしない方針でした。
しかし、新しく読んでくれるようになった方の中でまれに一定ラインを超えるコメントをする方がいます。
誤字の報告、過度な下ネタ、山田いじり、どんなコメントでも『何故かの』は大歓迎です!!
ですが、他者を嘲笑、愚弄したり貶めるようなコメントはNGです。
最初にも書きましたが『何故かの』はコメント欄も含めて読者の皆に楽しんでいただけるような作品したいと思っております。
コメント書く際は『自分だけが楽しいコメント』になっていないか気を付けていただけると幸いです。
ですので、今後上記のような他者が不快に思われるようなコメントは削除、またはブロックさせていただきます。
本当は『何故かの』を楽しんでくれた方のコメントを削除するなんてことはしたくないですし、申し訳なく思います。ですが、より皆が『何故かの』を楽しめるように今回のことを報告させていただきました。
どうか、ご理解ご協力をお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます