第63話「罰ゲーム」
「ちょちょ、ちょっと待って桃井さん! お互いを『ロミオ』と『ジュリエット』で呼び合うって……このショッピングセンターの中で!?」
「そう! あ、もちろん呼ばれる方は安藤くんが『ロミオ』でサクラが『ジュリエット』だからねー」
「そんなの分かるわよ! って、そうじゃなくて……モモ? さ、流石にそれは恥かしいのだけど……」
「何言っているの! サクラ、これはあくまでもサクラのためなのよ……?」
「モモ……」
「役になりきれないサクラの為に現実でロミオとジュリエットを演じることでリアルにジュリエットになりきれて、ついでに安藤くんとの雰囲気も――おっと、危ない危ない……あ、因みに私は二人がお題を守って達成できるかの監視役もありまーす」
「ん? 桃井さん、今なんか言おうとしなかった?」
「なんのことかなー?」
(ふっふっふ、最初はサクラの大根役者をなんとかできないかーって、思ったんだけど良く考えれば恋する女の子の演技ってサクラには必要ないんだよねー。つまり、今日はそれをサクラに分からせるための作戦なんだよねー)
(仕方ない……朝倉さんの演技向上のためと言う理由がある以上、ここはなるべく朝倉さんを呼ばないように一日過ごして――)
「あ、因みに委員長からの課題で『今日は二人とも三十回以上は互いの事を役名で呼ぶこと! もし、三十回以上呼べなかったり、本名を言った場合は罰ゲームだから!』だってー」
「「罰ゲーム?」」
「あー、まだ言って無かったねー。もし、役名じゃなくて本名を言ったら罰ゲームがあるのよー、デートが終るまでに役名を三十回以上呼べてなくても罰ゲームしてもらうよー」
「も、桃井さん……因みにその罰ゲームって?」
(何かすげえ嫌な予感がするぞ……)
「うん、罰ゲームを受ける人は相手側に『愛の言葉』を囁いてもらいます」
「「愛の言葉!?」」
「ちょっと、モモ! あああ、愛の言葉って……例えば私が罰ゲームを受けたら、安藤くんに愛の言葉を囁くってことでしょ!?」
「あ、あさ――むぐ!」
(ヤバ! 思わず、俺が名前を呼ぶところだった!)
「うん! じゃあ、サクラには安藤くんに『愛の言葉』を囁いてもらおうかなー」
「え、安藤くんどうしたの――って、へ!? モモ、どうしていきなり私が安藤くんに、あああ『愛の言葉』を囁くことになるのよ!」
「えーだって、今サクラが―
『あああ、愛の言葉って……例えば私が罰ゲームを受けたら、 安藤くん に愛の言葉を囁くってことでしょ!?』
―って、言ったでしょう?」
「あ……」
「あさ――じゃなかった。ジュリエットさん……もう、デートは始まってるみたいだから、迂闊な発言は気をつけよう」
「うん……そうね、あんど――」
「ジュリエット、ストーップ!」
「はぐぅ! あ、危なかったわ……その、ありがとうね。ろ、ロミオ……」
「うん……」
((この呼び方、凄く恥かしい……))
「はーい、イチャついているところ悪いけど、サクラには罰ゲームの愛の言葉を三回、安藤くんに囁いてもらうよー?」
「って、モモ! 何で愛の言葉を三回も囁かなければいけないのよ! 罰ゲームは愛の言葉一回じゃないの!?」
「うん! だって、サクラはもう三回も安藤くんの名前を呼んでるよー」
「へ……?」
「あー、そう言えば確かに呼んでるね……」
「え! 安藤くん……う、ウソでしょ?」
「はい、四回目ねー」
【おまけss】「髪型」
「ねぇ、安藤くん」
「何かな、朝倉さん?」
「安藤くんの読んでるラノベって……」
「?」
「黒髪ロングヘアーのヒロイン率多いわよね。黒髪ロングのヒロインが安藤くんの好みなの……?」
「ふぁい!? え……いやぁ、そ、そうかな……? 確かに、言われれ見れば多いかも?」
「ふ、ふーん……そうなんだ~」
(朝倉さんったらいきなり何を言い出すかと思えば……まぁ、でもラノベの趣味の話だもんな。別に俺が個人的に黒髪ロングの女子を好きという意味で聞いたわけでは無く、黒髪ロングのラノベヒロインが好きって話だ。うん、ラノベと
(安藤くんは黒髪ロングが好き……安藤くんは黒髪ロングが好き……安藤くんは黒髪ロングが好き……安藤くんは黒髪ロングが好き……安藤くんは黒髪ロングが好き……安藤くんは黒髪ロングが好き……安藤くんは黒髪ロングが好き……安藤くんは黒髪ロングが好き……安藤くんは黒髪ロングが好き……安藤くんは黒髪ロングが好き……安藤くんは黒髪ロングが好き……安藤くんは黒髪ロングが好き…………つまり! イコール、安藤くんは私の黒髪が好きってことよね! みゅキャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!)
「ま、まぁ……そもそもラノベって黒髪ロングのヒロイン多いから偶然かもね。あは、あはは……」
「え、なんですって?」
「朝倉さん、なんでいきなりラノベに出てくるテンプレ難聴主人公みたいな反応してるの!?」
(私、一生黒髪ロングヘアーでいるって決めたわ!)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます