第42話「デートプラン」




「じゃあ、安藤くんまずは何処に行きましょうか?」

「うーん、そうだな……」チラッ



『どうせ、お兄ちゃんのことだからデートプランとか考えてないでしょ? だから、妹の私がお兄ちゃんの変わりにデートプランを考えておいたから、当日はこのプランにしたがって行動してね。くれぐれも朝倉先輩に失礼の無いように!』



(っと、言われて渡された妹のメモ用紙……先ずは?)


デートプラン①

『多分、朝倉先輩は朝は何も食べてないんじゃないかな? 朝倉先輩だから待ち合わせは少し早めに来ていると思うし、最初はまず食事に誘うこと!』


(なるほど、食事か……なら松●屋だな! ん? 続きがある……)


注意

『いくらお兄ちゃんでも、流石にありえないとは思うけど……くれぐれも血迷って牛丼屋とかに連れて行かないこと! 相手は朝倉先輩で女性なんだから、女の人が気兼ねなく入れる食事のできるカフェなんかがオススメ! 待ち合わせ場所の近くに3件ほど良いカフェがあるから、候補に迷ったらこの中から選んでエスコートしてあげて!

 誘い方は――』


(ふむふむ……妹よありがとう! 完璧なナビだぜ!)


(安藤くん、何見てるのかしら……? っは! も、もしかして今日のデートの為に安藤くんがデートプランを考えてきてくれたのかも! だとしたら、あれは安藤くんが考えたデートプランね。きっと、事前に調べたプランを確認しているに違いないわ! だ、だとしたら、私は安藤くんを立てるためにもここは気付かないフリをした方が良いわね!)


(よ、よし! 朝倉さんをカフェに誘うぞ!)


「あ、朝倉さん!」

「あー今日も空が青いわねーーん、何かしら? 安藤くん」


(来たわ!)


「この近くにランチが美味しいカフェがあるんだけど良かったら先にそこで食事にしないかい?」←棒読み


(安藤くん、何でそんな棒読みみたいな喋り方してるの……? はっ! もしかして、安藤くん緊張してる!? そりゃそうよね! 最近は安藤くんに夢中で忘れてたけど、私って思い出せば学校一の美少女よ! そんな学校一の人気者である私とデートをしているんだから安藤くんが緊張しないわけ無いじゃない! ええそうよ。きっとそうだわ! だって、この私が今にも心臓がバクバクいって顔が緩みまくりそうなのを必死に我慢しているのに、安藤くんがなんにも気にしていなかったら不公平よ! うふふ……でも、あの安藤くんが私のことを意識してそこまで緊張しているのだとしたら、ここはデキル女として気付かないフリをしてあげるのが正解ね)


「わ、わぁあ! そうなの? 私もちょうどお腹が減っていたから嬉しいわ!」←棒読み


(よし! 上手く誘えた! 朝倉さんにも、俺が妹のカンペを読んでいる事はバレてなさそうだし……俺って意外と演技の才能があるのかもしれないな!)


(ふ、ふぅ……何とか上手く平常心のまま答えられたわね! 安藤くんも私が緊張して今にも死にそうなのはバレてないみたいだし、私って意外と演技の才能があるのかもしれないわ!)


「じゃ、じゃあ、行こうか」←棒読み

「そ、そうね」←棒読み


(くそっ……プリキ●アでもないのに胸のドキドキが止まらない)


「…………」ドキドキ


(うぅ……さっきから胸のドキドキが止まらないわ)


「…………」バックン! バックン!



((で、でも……手を繋いだまま移動するのはメッチャクチャ緊張する……どうか、胸のドキドキが相手にバレませんように!))







【おまけss】もしかの「もしも、安藤くんが女の子だったら?」



「あら、おはよう。安藤さん」

「はわ! はわわ……お、おはようございますです……朝倉さん」

「あら、安藤さんったらそんなにかしこまらなくてもいいのよ? だって、私達は同じクラスメイトなんですもの」

「そそそ、そんな恐れ多いこと……でで、できないですよ! だだ、だって、朝倉さんは私達女子の中でもトップクラスの美人さんですし……それに比べて私なんて……フッ、ただの冴えないラノベオタク女子ですよ……」

「安藤さん……」


(うむむ……安藤さんったら、そんなこと言って私をいつも避けるんだから! ほ、ホントは私だって『なろう』大好きのラノベオタク女子なのよ? だから、同じラノベ好きとしてはもっと安藤さんと仲良くしたいのだけど……)


「で、では! 自分はちょっと先生が来るまでトイレに引きこもって――ふぎゃぁ!」

「ああ! 安藤さん!? そんないきなり立ち上がったらこけるわよ!」


(はわわ! 急に立ち上がったら足がもつれて……)


(安藤さん、危ない……私が支えてあげないと――っ!)


「安藤さん、手を出して!」

「は、はい!」


 パシッ!


「はわわ……私がこけそうになったのを支えていただいてすみませんです……」

「ふぅ、いいのよ。だって、安藤さんが無事だったんですもの♪」

「あ、朝倉さん……」

「安藤……さん?」


(朝倉さんの手……優しい温かさです) 


(安藤さん、固まったけどどうしたのかしら? そういえば、安藤さんの目って……良く見ると透き通ってて綺麗ね)


「…………」 じー

「…………」 じー



((あれ、この気持ちって……なんだろう?)) ポッ


 


結論

 これはこれで、何かが始まりそう。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る