第32話「知りたい」
「安藤くん、そろそろ休憩にしましょうか?」
「ああ、そうだね。何だかんだもう一時間以上は勉強してるのか……授業以外でこんなに勉強したの初めてだよ」
「初めてって……安藤くん、だから数学以外の点数が低いのよ。むしろ、安藤くんは普段勉強しないの?」
「勉強してる暇があったらラノベ読んでるからね」キッパリ
(その気持ちすごく分かるわ! でも、ちゃんと勉強している私が100点取れないのに、勉強をしてない安藤くんが100点取っているのは納得がいかないわね……)
「てか、勉強をしてないって宿題とかいつやるのよ? そもそも、安藤くんって普段勉強しなのに何で数学は100点取れるの?」
「ん、宿題? 宿題なら数学はやっているよ。授業中に」
「え! 授業中に!? ど、どういうこと?」
「いや、数学の宿題っていつも、教科書に書いてある次にやる授業の範囲の問題が出るじゃん? だから、授業中はその日にやる授業の内容はあらかじめ前の授業で把握してるから、俺は授業中に次にやる範囲の内容を自分で予習してるんだよ。だから、俺の教科書は常に少し先の範囲の問題まであらかじめ解き終わってるんだよ」
「つまり……授業の時間だけでその日の授業の内容と予習と復習に宿題までやっているってこと?」
「そういうこと」
「安藤くん……そこまでできて、何で他の教科はからっきしなのよ」
「いや~俺って暗記とか苦手だから」
「数学も暗記でしょ」
「いやいや、数学は『計算』だから」
「そういうもの? なのかしら……でも、安藤くんラノベ読むのに国語も苦手なのね」
「あはは……文章問題は得意なんだけど、漢字とか古文とか無理!」
「うふふ、そうなのね」
(何故か私、安藤くんって今までラノベ読んでたから文系なのかと思ったけど、意外と理数系だったのね。ただ安藤くんを眺めているだけだったあの頃じゃこんなこと思いもしなかったわね。はぁ……前はただ安藤くんとラノベの話がしたいって思っていただけだったけど、今は――)
「もっと、安藤くんのことが知りたいわ……」
「え」
「へ!」
(あ、朝倉さんいまなんて言った!? 俺のことが知りたい? どうして……もしかして――っ!)
(ヤダ! 私ったら何でこんなことを口に出して……あ、安藤くんに聞こえちゃったわよね!?)
「朝倉さん、今のは……」
「ち、違うの! 安藤くん、今の……はははは」
ガチャ!
「「ッ!?」」
(この音は……え、もうそんな時間か!)
(ウソ! 誰か帰ってきた! もしかして、安藤くんの……)
バタン!
『ただいま~~……あれ? ねぇ、誰か来てるのーー?』
「あ、安藤くん! 誰か帰って来たみたいだけど……もしかして、安藤くんのご両親かしら?」
「いや、この時間に帰ってくるのは…………おそらく、俺の妹だと思う」
(…………っえ!)
「安藤くんの妹!?」
【おまけss】「スコップ2」
「朝倉さんは、俺からのオススメ以外にはどんな風に新しいラノベを探しているの?」
「ズバリ、表紙買いね!」
「…………」
「ち、違うのよ! ちゃんと、あらすじとか中身を踏まえた上での表紙買いなんだから、そのところは勘違いしないでよね!?」
「いやいや……でも、結局は表紙が良さそうなのを中心に買うってことでしょ?」
「ま、まぁ……ね」
「因みにそれで現状で積んであるラノベ何冊くらいあるの?」
「…………十冊くらいかしら?」
「読もうよ! 朝倉さん、俺に他のオススメのラノベ聞く前にその積んだラノベをまずは読もうよ!」
「うぅ~~っ! だって、だって、だってぇ……安藤くんがオススメしてくれるラノベの方が私が選んだ奴よりも断・然! 面白そうなのがいけないのよぉおおおおお!」
「なんか、凄い理不尽なこと言われたんだけど!?」
「もう、安藤くん! せせ、責任とって……今日の帰り、わ、わちゃ……私が! 新しいラノベを本屋で探すのに付き合ってもらうんだからね!」
「そして、さらに凄い理不尽なこと言われたんだけど!? まぁ、別に帰りに本屋寄るくらい……俺で良ければ付き合うよ」
「そう! じゃあ、決まりね♪」
(ウフフ! ヤッターッ! これでまた安藤くんと本屋さんデートよ!)
「そういえば、安藤くんはどのラノベを買うか迷った時、最終的にはどの要素で買うラノベを選ぶのかしら?」
「買うラノベを迷った時か……うーん、そうだね」
(まぁ、でもそう言う時は大抵……)
「やっぱり、表紙かな!」
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